勉強法の常識No.S44
ドキドキ(緊張)は、パフォーマンスを下げるだけって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ウソ
緊張そのものは消えなくても、「体が本番の準備をしている」と受け止め直したら、数学の点が上がった実験があります。
ウソとは… 研究の結果、この常識は支持されません。逆効果のこともあります。
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「テスト中に不安を感じると、点が下がると思われています。でも最近の研究では、体の高ぶりは成績を下げず、むしろ助けることもあるとわかってきました。」
アメリカの大学院入試の準備をしていた学生たちの一部は、模擬試験の前に、こんな説明を受けました。続きはこうです。「試験中に不安を感じても、心配はいりません。もしドキドキしてきたら、その高ぶりが力を貸してくれているのだと思い出してください。」
もう一方のグループは、この説明を受けずに、同じ模擬試験を受けました。
大学院入試の前に配られた言葉
2010年、心理学者のジェイミソンらが行った実験です。参加したのは、3か月以内にGREという試験を受ける予定の学生60人でした。GREは、アメリカの大学院に進むときに多くの人が受ける試験で、数学と言語などの分野があります。
実験の前後には、だ液を集めました。だ液には、体が興奮して高ぶっているときに増える物質が含まれています。これを測れば、体の高ぶりの度合いがわかります。
模擬試験の結果、説明を受けたグループは、数学で平均739点を取りました。説明を受けなかったグループは684点です。一方、言語の分野では差がありませんでした。
本番の試験でも、差は残った
話はここで終わりません。1か月から3か月後、学生たちに本物のGREの成績表を持ってきてもらいました。
本番の数学の平均点は、説明を受けたグループが770点、受けなかったグループが706点でした。実験室で一度だけ聞いた説明が、1か月以上あとの本番の試験にまで影響していたことになります。説明を受けたグループは、本番の日の緊張について、「高ぶりが成績を助けた」と答える人が多く、自分に自信が持てなかったと答える人は少なめでした。
ただし、この実験には弱点もあります。本番の試験を期間内に受けて成績表を持ってきたのは、60人のうち28人だけでした。人数は少なく、効果が出たのも数学だけです。
ドキドキは、消えていなかった
この実験で目を引くのは、だ液の測定結果です。説明を受けたグループでは、高ぶりを示す物質が、むしろ増えていました。緊張が静まったから点が上がったのではありません。体は同じように、あるいはそれ以上に高ぶっていた。変わったのは、その高ぶりの受け止め方でした。
緊張すると、私たちは「落ち着け、落ち着け」と自分に言い聞かせがちです。でも、心臓の鼓動を無理に止めることはできません。止められないものを止めようとして、かえって焦ることもあります。
この実験が示しているのは、別の道です。高ぶりを敵とみなさず、本番に向けて体が力をためている合図だと受け止める。それだけで、同じドキドキが違う意味を持つのかもしれません。
心臓の音を、味方にする
原田英語のおすすめは、試験の前に心臓がドキドキしてきたら、心の中でこう言うことです。「よし、体が本番の準備を始めた」。手のひらの汗も、速くなった鼓動も、戦う準備ができてきたしるしだと考えてみるのです。
緊張をゼロにする必要はありません。その緊張を、どう読むかです。
参考文献
Jamieson J., Mendes W., Blackstock E., Schmader T. (2010). Turning the knots in your stomach into bows: Reappraising arousal improves performance on the GRE. Journal of Experimental Social Psychology, 46, 208-212.
doi.org/10.1016/j.jesp.2009.08.015✓ 実在と内容を確認済み
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