勉強法の常識No.S22

徹夜しても、翌日の勉強には影響しないって、ホント?

判定日 読了 約3分音声 3:55文献 1件

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読む前に予想この常識、あなたはどう思う?

先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。

判定:ウソ

徹夜は、前の日に覚えたことだけでなく、次の日に新しく覚える力まで弱めます。脳の画像でも確かめられています。

ウソとは… 研究の結果、この常識は支持されません。逆効果のこともあります。

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テスト前日の夜、範囲はまだ半分残っている。今夜は寝ないでやり切ろう。そう決めたことがある人もいるのではないでしょうか。

2007年、ユー、ウォーカーらの研究チームは、そうした徹夜をした次の日の脳を調べました。論文の要旨は、こんな一文で締めくくられています。睡眠時間がどんどん削られている今の社会を考えると、これは心配な発見だ、と。

ひと晩眠らずに、翌日覚える

これまでの研究で、覚えたあとの睡眠が記憶を固めることはわかっていました。では、覚える前の睡眠はどうでしょうか。前の晩に眠っていないと、そもそも新しいことを覚える段階でつまずくのではないか。チームが確かめたかったのは、この点です。

実験では、ひと晩眠らずに過ごした人たちと、ふつうに眠った人たちに、新しい出来事を覚えてもらいました。そのあいだの脳の活動を、画像で調べたのです。

記憶の入り口が働かない

注目したのは、海馬という場所です。海馬は、新しい出来事を記憶として取り込むときに働く、記憶の入り口のような場所です。

ひと晩眠らなかった人たちは、覚えている最中の海馬の活動が、はっきり弱くなっていました。そして、あとで確かめると、覚えた内容の残り方も悪くなっていました。

変わっていたのは海馬だけではありません。眠らなかった人の脳では、目を覚ましておくことに関わる脳幹や視床という場所と、海馬とのつながり方も、いつもとは違っていました。さらに、うまく覚えられたかどうかに関わる前頭前野の場所も、よく眠った人とは別の場所でした。徹夜明けの脳は、ふだんとは違う状態で、なんとか覚えようとしていたことになります。

研究チームは、こうまとめています。前の晩の睡眠がないと、新しい経験を記憶にする力が、脳の働きの面でも、成績の面でも大きく損なわれる。学習の前の睡眠は、次の日に記憶を作るために脳を準備しておく役目を持っているようだ、と。

徹夜で失うもの

睡眠と記憶の話というと、覚えたあとに眠ると記憶が固まる、という面がよく取り上げられます。この研究が示したのは、その反対側です。睡眠は、覚えたことを固める仕事に加えて、次の日に覚えるための準備もしています。

つまり徹夜をすると、損は2回あります。前の日に覚えたことを固める時間がなくなります。そして次の日に新しく覚える力も弱まります。徹夜明けの授業がなかなか頭に入らないのは、気のせいではないのかもしれません。

ただし、この実験で調べたのは、ひと晩まるごと眠らなかった場合です。睡眠を1〜2時間削った程度でどれだけ影響が出るかは、この研究からはわかりません。また、試験の点数そのものを測ったわけでもありません。それでも、試験では問題文を読み、情報を覚えておきながら考える必要があります。記憶の入り口が弱った頭で臨むのは、分の悪い勝負です。

前夜にやるべき最後の勉強

原田英語のおすすめは、テスト前夜こそ「何時に寝るか」を先に決めておくことです。そこから逆算して、最後の復習を終わらせます。終わらなかった分は、翌朝に少しだけ見直せば十分です。

テスト前夜の最後の勉強は、布団に入ることです。

参考文献

  1. Yoo S., Hu P., Gujar N., Jolesz F., Walker M. (2007). A deficit in the ability to form new human memories without sleep. Nature Neuroscience, 10, 385-392.

文献はCrossrefで書誌を確認し、記事の内容は要旨などと照合しています(判定の方法)。

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