数字でわかるNo.N32
夏休みの間に、学力は約1か月分逆戻りするって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ホント
39の研究を見直すと、夏休み明けの学力テストの点は、学年に直して約1か月分下がっていました。
ホントとは… 複数の研究でおおむね支持されている常識です。
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夏休み明けの最初の授業。先生が黒板に、7月に何度も練習したはずの計算問題を書きます。ところが、手が止まる。やり方は覚えているはずなのに、途中の手順があやふやで、答えが合わない。
休みのあいだに勉強したことが、少し抜けてしまう。この現象は、教育の研究者たちのあいだで、昔から調べられてきました。
39の研究が示した「1か月」
1996年、クーパーらは、夏休みが学力テストの点数にどう響くかを調べた研究を、39本集めて見直しました。そのうち新しめの13本は、統計の方法でまとめて分析しています。
結果、夏休みのあいだに、学力テストの点数は下がっていました。下がった量は、学年の進み具合に直すと、約1か月分です。たとえば、休み前に「4年生の9か月目」の力があった子が、休み明けには「4年生の8か月目」に戻っている、というイメージです。春のテストの点数のばらつきで言えば、その10分の1ほどにあたります。
1か月分と聞くと、たいしたことがないように思えるかもしれません。でも、休み明けにその1か月分を取り戻すところから始めるとすれば、毎年その分だけ、新しいことを学ぶ時間が削られていることになります。
計算とつづりが、いちばん抜ける
教科による違いもはっきりしていました。落ち込みは、読解より算数・数学のほうが大きく、なかでも大きかったのが、計算と、単語のつづりでした。
また、学年が上がるほど、夏休みの悪い影響は大きくなっていました。男女や人種による違いは見られませんでした。
家庭の経済状況による違いもありました。読みの力を測る一部のテストでは、中流家庭の子どもは夏のあいだに点が上がっていたのに対し、低所得家庭の子どもは点が下がっていました。
本は読めても、計算はしない
なぜ、計算やつづりが抜けやすいのでしょうか。クーパーらは、2つの理由を挙げています。
1つは、練習する機会の差です。夏休みでも、本や雑誌を読む機会はそれなりにあります。でも、学校の外で計算問題を解く機会は、ずっと少ない。
もう1つは、知識の種類による忘れやすさの差です。事実や手順の知識は、考え方の理解よりも忘れやすいというのです。計算の手順や単語のつづりのように、決まった形をそのまま覚える知識は、使わないと抜けやすいということです。
家庭の経済状況による差も、練習や学ぶ機会の違いと関係しているかもしれない、と研究者たちは考えています。
この分析は約30年前のもので、測ったのも、学校で使われる学力テストの点数です。今の日本の夏休みにそのまま当てはまるとは限りません。それでも、「使わない手順は抜ける」という結果は、多くの学習者に心当たりがあるはずです。
毎日10分の「つなぎ」
対策は、休みのあいだも、抜けやすいものに少しだけ触れ続けることです。
原田英語のおすすめは、毎日10分の「つなぎ」の時間です。計算なら数問、英語なら単語のつづりを10個書く。新しいことを学ぶ必要はありません。すでに覚えた手順を、さびつかせないための10分です。
夏休みは、何もしなければ1か月分戻る休みです。少し触れ続ければ、その1か月を守れます。
参考文献
Cooper H., Nye B., Charlton K., Lindsay J., Greathouse S. (1996). The Effects of Summer Vacation on Achievement Test Scores: A Narrative and Meta-Analytic Review. Review of Educational Research, 66, 227-268.
doi.org/10.3102/00346543066003227✓ 実在と内容を確認済み
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