数字でわかるNo.N34
小さいころに読み聞かせをしてもらった子ほど、言葉の力が高いって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ホント
親が就学前の子に本を読む回数は、子どもの言葉の伸びや、のちの読む力と、中くらいの強さで結びついていました。
ホントとは… 複数の研究でおおむね支持されている常識です。
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字がまだ読めない子どもが、絵本を持ってきて「読んで」とせがむ。同じ本を何十回も読まされて、親のほうが先に文章を覚えてしまう。小さな子のいる家庭では、よくある光景ではないでしょうか。
この何気ない時間が、子どもがやがて自分で字を読むようになることと、どうつながっているのか。研究者たちは、それを数字で確かめようとしてきました。
読み聞かせの回数と、言葉の力
1995年、ブスらは、親が就学前の子どもに本を読み聞かせる研究を集めて、まとめて分析しました。注目したのは、読み聞かせの「回数」です。どれくらいの頻度で親子で本を読んでいるかと、子どもの力との関係を調べた研究を選びました。
子どもの力として見たのは、3つです。話し言葉の伸び。文字や本に親しみ、読み書きの準備ができているか。そして、学校に入ってからの読みの成績です。
論文の題名は、「親子で本を読むことが、読むことの学習の成功につながる」。副題には、読み書きの力が親から子へ受け継がれる、という意味の言葉が入っています。
0.59と8%
結果、読み聞かせの回数と子どもの力のあいだには、はっきりした結びつきがありました。全体の効果量は0.59で、心理学の物差しでは「中くらい」にあたります。子どもの力のばらつきのうち、約8%を、読み聞かせの頻度で説明できる計算です。
8%というと小さく聞こえるかもしれません。でも、子どもの言葉の力には、ほかにもたくさんのことが関わっているはずです。その中で、家庭のひとつの習慣だけで8%というのは、小さくない数字です。
しかも、この結びつきは、家庭の経済状況によって変わりませんでした。研究の方法の違いにも、あまり左右されませんでした。
絵本の文は、会話の文と違う
ブスらは、読み聞かせが、とくに「書き言葉ならではの言い回し」を身につけるのに役立つと考えています。
たとえば、「むかしむかし、あるところに」という言い方は、ふだんの会話ではまず使いません。本の文章には、会話にはない言い回しや文の組み立てがたくさんあります。読み聞かせは、字が読めない子どもに、その書き言葉を、耳から先に届けてくれる時間なのかもしれません。
ただし、これは結びつきを調べた研究です。読み聞かせが原因で言葉の力が伸びたのか、言葉に興味のある子だから読み聞かせをせがむのか、この分析だけでは決められません。
自分で読めるようになったら
もう1つ、大事な結果があります。子どもが自分で字を読めるようになると、読み聞かせとの結びつきは小さくなるようでした。
これは、読み聞かせが役に立たなくなる、という意味ではないでしょう。2011年にモルとブスが行った別の分析では、自由に本を読む量と言葉の力の結びつきは、学年が上がるほど強くなっていました。2人は、字が読めない時期の読み聞かせも、そのあとの自分での読書へと続く、ひとつながりの読書経験の一部だと考えています。
つまり、読み聞かせは、自分で読む段階へのバトンです。
原田英語のおすすめは、小さな子には毎日の読み聞かせを、自分で読めるようになったら、読みたい本がいつも手の届く所にある環境を用意することです。読み手が親から子どもに代わっても、本を開く時間が続いていれば、バトンはちゃんと渡っています。
参考文献
Bus A., van IJzendoorn M., Pellegrini A. (1995). Joint Book Reading Makes for Success in Learning to Read: A Meta-Analysis on Intergenerational Transmission of Literacy. Review of Educational Research, 65, 1-21.
doi.org/10.3102/00346543065001001✓ 実在と内容を確認済み
Mol S. E., Bus A. G. (2011). To read or not to read: A meta-analysis of print exposure from infancy to early adulthood. Psychological Bulletin, 137(2), 267-296.
doi.org/10.1037/a0021890✓ 実在と内容を確認済み
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