数字でわかるNo.N33
スマホをよく使う人ほど、成績は少しだけ低いって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ホント
10年分の研究をまとめると、スマホをよく使う人ほど成績が低い傾向がありました。ただし、結びつきは弱めです。
ホントとは… 複数の研究でおおむね支持されている常識です。
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「スマホを使う人ほど、成績が悪い」。
こんな見出しを見ると、思わず手元のスマホを裏返したくなります。でも、この一文には、大事な情報が2つ抜けています。どのくらい悪いのか。そして、スマホのせいで悪くなったのか。
10年分の研究を1つに
2018年、ケイツらは、2008年から2017年までの10年間に発表された研究を集めて、まとめて分析しました。テーマは、携帯電話の使用と、学業成績の関係です。
「使用」の中身は、かなり広くとられています。どれくらいの時間や回数使っているか。スマホがないと落ち着かないといった、依存の強さ。どんな場面で、何に使っているか。こうしたものをすべて含みます。ただし、勉強のためにわざと使う場合は、対象から外しました。ふだんの、勉強以外の使い方を見たかったからです。
「成績」のほうも広く、通知表の評定やテストの点数のほか、知識や技能の身につき方、本人が答えた「自分は勉強ができるほうか」も含みます。
マイナス0.16は、どのくらい「少し」か
結果、携帯電話の使用と成績の相関は、平均でマイナス0.16でした。統計的に見て、本当の値はおよそマイナス0.20からマイナス0.13のあいだにある、という幅も示されています。
相関は、マイナス1からプラス1までの数字で、2つのものがどれくらい一緒に動くかを表します。マイナスは、一方が多いほど、もう一方が少ないという向きです。つまり、よく使う人ほど成績が低い傾向は、確かにあります。
でも、その強さは「弱い」部類です。0.16を2乗すると約0.03。成績の違いのうち、スマホの使い方と重なっている部分は、3%ほどしかありません。スマホをよく使っていて成績の良い人も、ほとんど使わないのに成績が振るわない人も、たくさんいるということです。
スマホが先か、成績が先か
もう1つの抜けた情報、つまり原因については、この分析からは決められません。
スマホを使う時間が勉強の時間を奪い、成績が下がったのかもしれません。逆に、勉強がうまくいかない人が、つらさから逃げるようにスマホに向かうのかもしれません。たとえば、夜ふかしの習慣のような別の何かが、スマホの使い方と成績の両方に影響している可能性もあります。
ケイツらの分析が教えてくれるのは、「スマホと成績のあいだには、弱いけれど確かなマイナスの結びつきがある」というところまでです。
量より、置き場所
では、スマホとどう付き合えばいいのでしょうか。結びつきが弱いということは、スマホを完全にやめれば成績が上がる、という単純な話ではないということです。
原田英語のおすすめは、使う量を気にするより、勉強する時間だけスマホを手の届かない場所に置くことです。別の部屋に置く、かばんにしまって電源を切る。それだけで、「ちょっとだけ見る」は起きにくくなります。
見出しの一文に振り回されず、数字の大きさを見ること。それも、スマホ時代の勉強法のひとつです。
参考文献
Kates A., Wu H., Coryn C. (2018). The effects of mobile phone use on academic performance: A meta-analysis. Computers & Education, 127, 107-112.
doi.org/10.1016/j.compedu.2018.08.012✓ 実在と内容を確認済み
文献はCrossrefで書誌を確認し、記事の内容は要旨などと照合しています(判定の方法)。





