数字でわかるNo.N29
同じ文章でも、スマホやパソコンより紙で読むほうがよく理解できるって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ホント
17万人以上が参加した54の研究をまとめると、紙で読んだほうが、小さいながらもはっきりと理解度が上でした。
ホントとは… 複数の研究でおおむね支持されている常識です。
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「紙の本を捨てないで」。
これは、2018年に発表されたある論文の題名です。書いたのは、デルガドらの研究チーム。紙の本を愛する人の随筆ではなく、何万人ものデータを集めた、まじめな統計の論文です。
スマホやタブレットで読むことが当たり前になり、教科書や問題集のデジタル化も進んでいます。同じ文章なら、紙で読んでも画面で読んでも同じではないか。そう思う人も多いはずです。ところが、それまでの研究は、紙が有利という結果と、差がないという結果が入りまじっていて、はっきりしませんでした。
54の研究、17万人
デルガドらは、2000年から2017年に発表された研究の中から、似た文章を紙と画面で読み比べたものを集めました。別々の人に紙と画面を割り当てた研究が38、同じ人に両方で読ませた研究が16。参加者は、のべ171,055人にのぼります。
結果は、紙の勝ちでした。差の大きさを表す効果量は0.21で、心理学の物差しでは「小さめ」とされる大きさです。ただ、別々の人を比べた研究でも、同じ人に両方を読ませた研究でも、差の大きさはぴったり同じでした。小さくても、研究のやり方を変えても同じように出てくる差です。
時間に追われると、差が開く
どんな場面で差が大きくなるのかも調べられています。
1つ目は、時間です。自分のペースで読める場合より、制限時間がある場合に、紙の有利さが大きくなりました。
2つ目は、文章の種類です。説明文、あるいは説明文と物語文がまざった研究では、紙が一貫して有利でした。物語文だけを読んだ研究では、差は見られませんでした。
3つ目は、発表された年です。新しい研究ほど、紙の有利さが大きくなっていました。画面で読むことに慣れれば差は縮むだろう、という予想とは逆の結果です。
画面の上では「わかったつもり」になりやすい?
なぜ画面だと理解が浅くなるのか。その手がかりになりそうな実験があります。
2011年、アッカーマンとゴールドスミスは、1,000〜1,200語ほどの説明文を、紙か画面で読んでもらいました。読んだあと、参加者は「テストで何点取れそうか」を予想し、それから選択式のテストを受けます。
読む時間を決めておいた実験では、紙と画面の成績に差はありませんでした。ところが、読む時間を自分で決めさせた実験では、画面のほうが成績が悪くなりました。画面で読んだ人は、自分の理解度の予想が不正確で、どこまで時間をかけるかの判断も不安定だったのです。
つまり、目や頭の働きそのものより、「もう十分わかった」と判断する力が、画面の上では狂いやすいのかもしれません。ただし、デルガドらのまとめでは、制限時間があるときに差が大きくなっていて、2つの結果はぴったりとは合いません。理由については、まだ研究が続いています。
大事な読みは、紙で
原田英語のおすすめは、使い分けです。ちょっとした調べものや物語は、画面で読んでもかまいません。でも、教科書の要点をつかむ読みや、制限時間のある長文読解の練習は、できれば紙に印刷して取り組みます。
画面で読むしかないときは、読み終えたあとに本文を閉じて、要点を3行で書いてみましょう。書けなければ、それは「わかったつもり」だった合図です。
参考文献
Delgado P., Vargas C., Ackerman R., Salmerón L. (2018). Don't throw away your printed books: A meta-analysis on the effects of reading media on reading comprehension. Educational Research Review, 25, 23-38.
doi.org/10.1016/j.edurev.2018.09.003✓ 実在と内容を確認済み
Ackerman R., Goldsmith M. (2011). Metacognitive regulation of text learning: On screen versus on paper. Journal of Experimental Psychology: Applied, 17(1), 18-32.
doi.org/10.1037/a0022086✓ 実在と内容を確認済み
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