数字でわかるNo.N26

起きている時間のほぼ半分、人は今していることと別のことを考えているって、ホント?

判定日 読了 約3分音声 4:10文献 3件

「起きている時間のほぼ半分、人は今していることと別のことを考えている」のイメージイラスト

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?

先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。

判定:ホント

スマホで人の頭の中を調べると、目の前にないことを考えている時間は、目の前のことを考えている時間とほぼ同じくらいありました。

ホントとは… 複数の研究でおおむね支持されている常識です。

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この文を読んでいるあいだにも、夕飯のことや、まだ返していないメッセージのことが、頭をよぎっているかもしれません。気づくと、目は文字を追っているのに、内容がひとつも入っていない。本を読む人なら、誰でも覚えがあるはずです。

心が目の前のことから離れて、別のことを考えてしまう状態を、心理学では「マインドワンダリング」と呼びます。日本語にすれば「心のさまよい」です。では、人の心は、ふだんどのくらいさまよっているのでしょうか。

心の行き先を、スマホで聞く

この問いに答えるのは、案外むずかしいことです。実験室に人を呼んで調べても、ふだんの生活とは違います。あとから「さっき何を考えていた?」と聞いても、正確には思い出せません。

2010年、キリングスワースとギルバートは、スマートフォンを使う新しい方法を考えました。ふだんの生活の途中で、スマホから質問を送り、そのとき考えていること、気分、していることを、その場で答えてもらうのです。

わかったのは、人は「今起きていないこと」を考えている時間が、「今起きていること」を考えている時間とほぼ同じくらいある、ということでした。起きている時間のおよそ半分、心はよそへ出かけていることになります。

さらに、心がさまよっているとき、人はたいてい不幸な気分になっていました。論文の題名は、そのまま「さまよう心は、不幸な心」です。

講義が長くなるほど、心は出ていく

勉強の場面ではどうでしょうか。

2012年、リスコらは、参加者に録画された講義を見てもらいました。1つ目の実験ではひとりで、2つ目の実験では教室でほかの人と一緒にです。講義のところどころで「今、心がさまよっていましたか」と尋ね、講義のあとには内容のテストをしました。

すると、講義が進むほど、心がさまよう割合は増え、講義の内容の記憶は減っていきました。そして、心がよくさまよっていた人ほど、講義の内容を覚えていませんでした。

小テストで、心を呼び戻す

では、さまよう心を、どうすれば目の前に引き戻せるのでしょうか。

2013年、シュプナーらは、オンライン講義の途中に、小さな記憶テストをはさむ実験をしました。2つの実験で、テストをはさんだ学生は、心がさまよいにくくなり、講義に関係するメモを多く取るようになり、学習の成績も上がりました。

テストをこまめに受けた学生は、最後のまとめテストへの不安も小さく、講義を「大変だった」と感じる度合いも低くなっていました。テストは、学生を苦しめるどころか、気持ちを楽にしていたわけです。

戻ってくれば、それでいい

心がさまようのは、人間のふつうの姿です。起きている時間のほぼ半分がそうなのですから、勉強中だけ完全に止めるのは無理があります。

原田英語のおすすめは、さまようこと自体を責めるのではなく、戻ってくる仕組みを作っておくことです。たとえば、教科書を1ページ読むごとに本を閉じて、今のページに何が書いてあったかを一言で言ってみる。動画の授業なら、10分ごとに一時停止して、自分に質問を出す。

心は何度でも出かけていきます。大事なのは、何度でも連れ戻せることです。

参考文献

  1. Killingsworth M., Gilbert D. (2010). A Wandering Mind Is an Unhappy Mind. Science, 330, 932.

  2. Risko E. F., Anderson N., Sarwal A., Engelhardt M., Kingstone A. (2012). Everyday attention: Variation in mind wandering and memory in a lecture. Applied Cognitive Psychology, 26(2), 234-242.

  3. Szpunar K. K., Khan N. Y., Schacter D. L. (2013). Interpolated memory tests reduce mind wandering and improve learning of online lectures. Proceedings of the National Academy of Sciences, 110(16), 6313-6317.

文献はCrossrefで書誌を確認し、記事の内容は要旨などと照合しています(判定の方法)。

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