数字でわかるNo.N25

先生の話を聞くだけの授業だと、単位を落とす人が1.5倍に増えるって、ホント?

判定日 読了 約3分音声 4:04文献 1件

「先生の話を聞くだけの授業だと、単位を落とす人が1.5倍に増える」のイメージイラスト

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?

先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。

判定:ホント

225の研究をまとめると、先生の話を聞くだけの授業では、学生が参加する授業より、不合格になる人が1.5倍多くなっていました。

ホントとは… 複数の研究でおおむね支持されている常識です。

この記事を音声で聞くGoogle Cloud TTS(Chirp 3 HD)

0:00 / 4:04

アメリカでは、大統領に科学技術について助言する会議が、理系の学位を取る学生を、毎年33%増やすよう呼びかけていました。そのために、効果が確かめられた教え方を取り入れるべきだ、という提言です。

では、どんな教え方なら、理系の学生をもっと育てられるのでしょうか。2014年、フリーマンらは、大学の教室でいちばんおなじみの風景に目を向けました。先生が前で話し、学生は座って聞く。昔ながらの講義です。

225の授業比べ

フリーマンらが集めたのは、大学の理系の授業を2つのやり方で比べた、225の研究でした。比べたのは、ふつうの講義と、アクティブ・ラーニングです。

アクティブ・ラーニングとは、授業中に学生が問題を解いたり、話し合ったり、答えを選んだりして、自分で頭を動かす授業のことです。先生の話をまったくしないわけではありませんが、学生がただ聞いている時間を減らします。

調べた分野は、理科、工学、数学など幅広く、見たのは試験の成績と、不合格になった学生の割合です。

6%と1.5倍

結果は、どちらの物差しでもアクティブ・ラーニングの勝ちでした。

試験の成績は、平均で0.47標準偏差上がりました。標準偏差は、点数のばらつきの幅を表す単位です。点数に直すと、約6%の上昇になります。アメリカの成績評価で言えば、平均が半段階ほど上がる計算です。

不合格の割合も違いました。講義だけの授業では、アクティブ・ラーニングの授業に比べて、不合格になる学生が1.5倍に増えていました。

この傾向は、理系のどの分野でも見られました。クラスの人数が多くても少なくても効果がありましたが、50人以下の小さなクラスで、とくに大きくなりました。また、ふつうの試験よりも、基本的な考え方の理解を測るテストで、差が大きく出ていました。

「効いた研究だけ」のせいではない

こうしたまとめの分析では、「効果が出た研究ばかりが発表されたのでは」という疑いがつきものです。フリーマンらは統計的なチェックをして、その偏りでは説明できないとしています。研究の質が高いものだけに絞っても、結果は変わりませんでした。

フリーマンらは、研究の中で講義を「比べる基準」として使い続けること自体に、疑問を投げかけています。そして、ふだんの教室でも、アクティブ・ラーニングを選ぶべきだと結論づけました。

ただし、これは大学の理系の授業の研究です。高校や、文系の授業で同じ大きさの差が出るかは、この分析だけではわかりません。

ひとりでできるアクティブ・ラーニング

授業のやり方は、学生には選べないこともあります。でも、自分の勉強の中で「聞くだけ」「読むだけ」の時間を減らすことはできます。

原田英語のおすすめは、解説を聞いたり読んだりしたら、すぐに本を閉じて、似た問題を1問解いてみることです。誰かに説明してみるのも同じ効果をねらえます。座って聞いている時間が長いほど、勉強した気分は高まりますが、試験で問われるのは、自分で動かした頭のほうです。

この記事に出てくる用語
標準偏差
点数のばらつきの大きさ。「0.5標準偏差上がる」は、真ん中くらいの人が上位3割くらいに上がるイメージ。

用語集をすべて見る →

参考文献

  1. Freeman S., Eddy S., McDonough M., Smith M., Okoroafor N., Jordt H. et al. (2014). Active learning increases student performance in science, engineering, and mathematics. Proceedings of the National Academy of Sciences, 111, 8410-8415.

文献はCrossrefで書誌を確認し、記事の内容は要旨などと照合しています(判定の方法)。

あわせて読みたい関連する常識

20問・約2分あなたの勉強法は、科学的に何点?科学度診断をはじめる → 10問・ランダム出題ウソかホントか、見抜けるか?判定チャレンジに挑戦 →