数字でわかるNo.N23
英語不安と成績の相関は、r=-.36って、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ホント
23か国・約2万人分の研究をまとめると、外国語への不安が強い人ほど、成績が低い傾向がはっきり出ました。
ホントとは… 複数の研究でおおむね支持されている常識です。
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英語の授業で、先生が出席番号順に音読を当てていきます。自分の番が近づくにつれて、心臓の音が大きくなる。教科書の文字を目で追っているのに、意味がまったく入ってこない。そんな経験はありませんか。
外国語を使う場面で感じる、この緊張や心配のことを、研究者のあいだでは「第二言語の不安」と呼びます。母語の次に学ぶ言葉への不安、という意味です。この不安は、何十年も前から研究者の関心を集めてきました。いちばん知りたいのは、もちろん、不安と成績がどう結びついているかです。
2万人分のデータをまとめる
2019年、テイムーリらは、この問題を調べた研究を、できるかぎり集めてまとめ直しました。いくつもの研究の結果を、統計の方法で1つにまとめる分析で、メタ分析と呼びます。
集まったのは97の報告で、その中に独立した105のグループが含まれていました。国は23か国、人数は合わせて19,933人。各研究が出していた「不安と成績の結びつきの強さ」は、全部で216個ありました。
これらを平均すると、不安と成績の相関は、マイナス0.36でした。
マイナス0.36は、どのくらいの強さか
相関は、2つのものがどれくらい一緒に動くかを、マイナス1からプラス1までの数字で表したものです。0なら、まったく関係がありません。マイナスは、一方が大きいほど、もう一方が小さいという向きです。
つまり、不安が強い人ほど成績が低い、という傾向です。0.36という強さは、人の心や行動を扱う研究では、無視できない中くらいの大きさです。
ただし、マイナス0.36の相関があっても、成績の違いのすべてが不安で決まるわけではありません。0.36を2乗すると約0.13。成績のばらつきのうち、不安と重なっている部分は1割ちょっとです。不安の強い人でも、成績の良い人はたくさんいます。
また、結びつきの強さは、条件によって変わっていました。成績を何で測ったか、学校の段階、学ぶ言語、不安の種類によって、数字が違っていたのです。
不安が先か、苦手が先か
研究者たちは、この結果を、不安が外国語の学習に悪い影響を与えるしっかりした証拠だと述べています。
それでも、相関の数字だけを見るときは、向きに気をつける必要があります。不安だから成績が下がる、という向きもあれば、成績が振るわないから不安になる、という向きもありえます。両方が重なり合っている可能性もあります。
不安を減らすのも、勉強のうち
もし両方が重なっているなら、どちらか一方に手を入れるだけでも、意味があるはずです。原田英語のおすすめは、いちばん地味な方法、つまり準備です。当てられそうな音読は、前の晩に3回声に出しておく。発表の最初の一文だけは、丸暗記しておく。
「準備したから大丈夫」と思える場面を1つずつ増やしていけば、心臓の音も、少しずつ静かになっていきます。
この記事に出てくる用語
- メタ分析
- たくさんの研究の結果をまとめて、全体として効果があるかを計算する方法。1つの研究より信頼できる。
- 相関
- 2つのことが一緒に増えたり減ったりする度合い。−1から1の数字で、0に近いほど関係は弱い。原因と結果を示すものではない。
参考文献
Teimouri Y., Goetze J., Plonsky L. (2019). SECOND LANGUAGE ANXIETY AND ACHIEVEMENT. Studies in Second Language Acquisition, 41, 363-387.
doi.org/10.1017/S0272263118000311✓ 実在と内容を確認済み
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