数字でわかるNo.N28
たった3秒弱の中断で、作業のミスは2倍になるって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ホント
平均2.8秒の割り込みで、手順の順番を間違えるミスは2倍に。4.4秒なら3倍になりました。
ホントとは… 複数の研究でおおむね支持されている常識です。
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いち、に、さん。
声に出して数えると、だいたい3秒です。スマホの画面に通知が出て、ちらっと目をやって、また問題に戻る。それくらいの時間でしょう。そんな一瞬で、頭の中の何かが変わるとは、なかなか思えません。
ところが、その3秒弱が、作業のミスを2倍にするという実験があります。
手順のどこまで来たか
2014年、アルトマンらは、ごく短い中断が作業にどう響くかを調べました。
参加者が取り組んだのは、いくつもの手順を決まった順番でこなしていく課題です。手順ごとに、やるべきことが違います。そして、自分が今どの手順まで進んだのかを、ずっと頭の中で覚えておかなければなりません。数学の長い計算や、英文を1文ずつ訳していく作業に、少し似ています。
作業の途中で、ときどき短い割り込みが入ります。割り込みが終わると、参加者は元の作業に戻ります。研究者たちは、戻った直後に、どんなミスがどれだけ起きるかを数えました。
3秒弱で2倍、4秒ちょっとで3倍
平均4.4秒の割り込みのあとでは、手順の順番を間違えるミスが、割り込みのないときの3倍になりました。
もっと短い平均2.8秒の割り込みでも、ミスは2倍でした。2.8秒は、この課題の手順を1つこなすのとほぼ同じ時間です。手順1つ分の時間だけ目をそらしただけで、自分がどこにいたのかがあやふやになったわけです。
一方で、手順の順番とは関係のないミスは、割り込みのあとでも増えませんでした。つまり、注意力そのものが全体的に落ちたわけではありません。乱れたのは、「今、どこまで進んだか」という流れの部分だけでした。
アルトマンらは、こう説明しています。作業中、私たちは注意の焦点から次の手順へと、考えをたどりながら進んでいます。短い割り込みでも、その焦点がずれると、たどっていた流れが断ち切られてしまう。論文の題名は「一瞬の中断が、考えの列車を脱線させうる」です。
見なくても、鳴るだけで
「通知が来ても、見なければ大丈夫」と思う人もいるかもしれません。
2015年、ストサートらは、スマホの通知が注意の必要な課題にどう響くかを調べました。すると、参加者が通知に触れず、スマホを操作しなかったときでも、音や振動の通知が来るだけで、課題の成績ははっきり下がりました。その下がり方は、実際に電話に出たり、メッセージを打ったりしたときと同じくらいでした。
研究者たちは、通知が作業と関係のない考えを呼び起こし、心がそちらへさまよってしまうためだと考えています。
区切りまでは、閉じておく
2つの研究を合わせると、手順の多い勉強の最中は、通知が来ること自体をなくしておくのがよさそうです。
原田英語のおすすめは、計算問題や長文読解のあいだは、スマホの通知を切って、別の部屋に置くことです。どうしても中断するときは、離れる前に、問題用紙の今の行に印をつけておきます。戻ったときに「どこまで来たか」を探す手間が省けます。
3秒は短い時間ですが、考えの流れにとっては長すぎるのです。
参考文献
Altmann E., Trafton J., Hambrick D. (2014). Momentary interruptions can derail the train of thought. Journal of Experimental Psychology: General, 143, 215-226.
doi.org/10.1037/a0030986✓ 実在と内容を確認済み
Stothart C., Mitchum A., Yehnert C. (2015). The attentional cost of receiving a cell phone notification. Journal of Experimental Psychology: Human Perception and Performance, 41(4), 893-897.
doi.org/10.1037/xhp0000100✓ 実在と内容を確認済み
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