教科別の常識No.K25
文章について話し合う授業で、読解力や考える力が伸びるって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:半分ホント
話し合いで文章の理解が深まった方法はありました。でも、批判的に考える力まで伸ばせた方法は、ごくわずかでした。
半分ホントとは… 条件つきで正しい、または言い過ぎの部分がある常識です。
この記事を音声で聞くGoogle Cloud TTS(Chirp 3 HD)
0:00 / 3:29
今日からできるやり方
- 話す前に、自分の考えと理由をメモしておく
- 相手の意見に「なぜそう思う?」と聞き返す
- 話し合いのあと、考えが変わった所を書く
国語の時間に、4人の班で「主人公はなぜ、その手紙を出さなかったのか」を話し合う。そんな授業を想像してください。意見はたくさん出て、時間いっぱい盛り上がりました。チャイムが鳴ったあと、みんなの読む力や考える力は、どれくらい伸びたのでしょうか。
話し合いの授業は、生徒が主役になれる授業として広く勧められています。ただ、「話し合えば伸びる」がどこまで本当なのかは、意外に確かめられていませんでした。
半世紀分の研究を、初めて数字でまとめる
教室での話し合いが理解や学びにどう役立つかは、1960年代の初めから研究されてきました。研究の数は膨大でしたが、それらを数字でまとめて効果を比べた分析は、長いあいだありませんでした。
2009年、マーフィーらがそれを初めて行いました。文章をめぐる教室での話し合いの方法をいくつも集め、その効果を調べたのです。調べたのは、先生と生徒の発言の量、文章の理解、そして批判的に考える力や筋道を立てて考える力でした。
生徒はよく話し、先生は黙った
いくつかの話し合いの方法では、生徒の発言がはっきり増え、そのぶん先生の話す量が減りました。文章の理解も、かなり良くなりました。ここまでは、話し合いの授業に期待されていたとおりの結果です。
話す量と、考える力は別もの
ところが、もう少し細かく見ると話が変わります。書かれていることを正確に読み取る力、書かれていないことを推し量る力、そして批判的に考える力。こうした力まで伸ばせた方法は、ごくわずかでした。
生徒がたくさん話すことと、考える力が育つことは、同じではなかったのです。効果の大きさは、研究のやり方や、何で効果を測ったか、生徒の学力によっても変わっていました。また、対象の年齢は幅広いものの、研究の多くは小学4年生から6年生でした。中学生や高校生にそのまま当てはまるかは、まだわかりません。
理由をぶつけ合う話し合いに
では、どんな話し合いなら考える力につながるのか。この分析だけでは、そこまでは言い切れません。それでも、話す時間を作るだけでは足りない、ということははっきりしています。
原田英語のおすすめは、話し合いの前に、自分の考えと理由を1行ずつメモしておくことです。そして話し合いの中では、相手の意見に「なぜそう思うの?」と一度は聞き返す。終わったら、自分の考えがどこで変わったかを書いておく。
盛り上がった話し合いが、よい話し合いとは限りません。理由が何回ぶつかったか。そこに目を向けてみてください。
参考文献
Murphy P., Wilkinson I., Soter A., Hennessey M., Alexander J. (2009). Examining the effects of classroom discussion on students' comprehension of text: A meta-analysis. Journal of Educational Psychology, 101, 740-764.
doi.org/10.1037/a0015576✓ 実在と内容を確認済み
文献はCrossrefで書誌を確認し、記事の内容は要旨などと照合しています(判定の方法)。





