教科別の常識No.K24
文法用語を覚えるだけで、作文がうまくなるって、ホント?

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判定:まだ決着していない
英語圏では、品詞や文の成分を教えても作文が良くなる証拠はほとんどありません。日本語の作文で同じかは、まだ確かめられていません。
まだ決着していないとは… 研究結果が割れていて、まだ結論が出ていない常識です。
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今日からできるやり方
- 短い文を2つ、1つの文につなげる練習をする
- 書いた文を声に出して読み、引っかかる所を直す
- 長すぎる文は、2つに分けられないか考える
主語、述語、修飾語、連体詞、副詞。国語や英語の時間に、こうした用語を覚えた人は多いでしょう。テストの前に必死で暗記した人もいるかもしれません。
では、その用語は、作文を書くときに役に立ったでしょうか。読書感想文の原稿用紙を前にして、「ここは連体修飾だから」と考えながら書いた人は、あまりいない気がします。
100年以上つづく論争
文法を教えれば、文章はうまくなるのか。英語圏では、この問いが100年以上も議論されてきました。
2006年、アンドルーズら、8人の研究者は、この問題に関する世界の研究を、2つの方法で系統立てて調べ直しました。対象は、英語で作文を書く5歳から16歳の子どもたちです。
結論は、品詞や文の成分といった文法の決まりを教えても、作文の質や正確さが良くなるという証拠は、ほとんどない、というものでした。
文をつなぐ練習のほうが
一方で、少し良い結果が出た練習がありました。「文の結合」と呼ばれる練習です。短い文をいくつか組み合わせて、1つの文に書き直します。たとえば「犬が走った」「犬は白い」を、「白い犬が走った」にまとめる、といった練習です。用語を覚えるのではなく、実際に文を作り変えるところに違いがあります。
ただし著者らは、どちらの結論も確定ではない、と書いています。100年以上の議論があっても、どちらかを証明できるほど質の高い研究がそろっていなかったのです。
6つの教え方の中で、ひとつだけ
アメリカの小学生を対象にした研究でも、似た傾向が出ています。2012年、グラハムらは作文指導の実験をまとめ、書き方を直接教える6つの指導を比べました。
書き方の作戦を教える指導は効果量1.02、文章の組み立てを教える指導は0.59と、はっきりした効果がありました。効果量は効き目の大きさを示す数字で、0.5で中くらいとされます。6つのうち、はっきりした効果が出なかったのは文法指導だけでした。
日本語の作文では、まだわからない
ここで気をつけたいのは、これらがすべて英語の作文の研究だという点です。日本語の文法の授業で同じことが起きるのかは、確かめられていません。それに「効果がはっきりしない」は、「まったく役に立たない」と同じではありません。判定を「まだ決着していない」としたのは、そのためです。
それでも、作文を上達させたいなら、用語の暗記を増やすより、文そのものをいじる練習のほうが近道になりそうです。2つの文を1つにつなぐ。長すぎる文を2つに分ける。書いた文を声に出して読み、つっかえた所を直す。
文法用語は、文を直すときに「どこがおかしいか」を人と話すための共通の言葉として使えば十分です。
参考文献
Andrews R., Torgerson C., Beverton S., Freeman A., Locke T., Low G., Robinson A., Zhu D. (2006). The effect of grammar teaching on writing development. British Educational Research Journal, 32, 39-55.
doi.org/10.1080/01411920500401997✓ 実在と内容を確認済み
Graham S., McKeown D., Kiuhara S., Harris K. (2012). A meta-analysis of writing instruction for students in the elementary grades. Journal of Educational Psychology, 104, 879-896.
doi.org/10.1037/a0029185✓ 実在と内容を確認済み
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