教科別の常識No.K22
好きな本を自由に読む時間を作れば、読む力が伸びるって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:まだ決着していない
自由に読む時間だけで読む力が伸びる、という質の高い証拠はまだありません。ただ、夏休みの読書には効果が報告されています。
まだ決着していないとは… 研究結果が割れていて、まだ結論が出ていない常識です。
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論文での効果14研究・約1万人で、読む力への意味のある効果は見られず
今日からできるやり方
- 読み終えたら、内容を一言メモする
- ときどき少し難しめの本にも挑戦する
- 読んだ本について、友だちや家族と話す
朝のホームルームの前の10分間、ざわざわしていた教室が急に静かになる。それぞれが好きな本を開き、先生も黙って読んでいる。「朝読書」の時間を過ごしたことのある人は多いでしょう。
この時間は、読む力を伸ばしているのでしょうか。好きな本を自由に読むのだから、楽しいし、悪いことはなさそうです。ところが研究を見ていくと、答えは思ったほど単純ではありません。
国の委員会の答えは「はっきりしない」
アメリカでは以前、国の読書委員会が、読む力を伸ばす方法の研究をまとめました。その中で、子どもに黙って自由に読ませる取り組みの効果は「はっきりしない」とされました。たくさん読ませるのは良いことだと広く勧められていたのに、それを裏づける証拠が足りなかったのです。
20年分を調べ直すと
2022年、エルベリとライスは、その続きを調べました。委員会と同じ手順で、2000年から2020年までの研究を集め直したのです。対象は幼稚園から高校まで。黙って自由に読む取り組みを試した実験を探し、研究そのものの質も一つずつ評価しました。
集まった研究は14本。取り組みをした組が5522人、比べる組が4966人で、合わせて約1万人です。結果は、読む力への意味のある効果は見られない、というものでした。
ただし、著者らはここで断定していません。最高水準の質を満たす研究がほとんどなかったため、どこでも効かないのか、ある条件なら効くのかは判断できない、と書いています。「効かないと証明された」のではなく、「効くという証拠がまだない」という状態です。
夏休みの読書は効いていた
別の角度からの研究もあります。2013年、キムとクインは、アメリカとカナダで行われた、夏休みの読書の取り組み41件をまとめました。対象は幼稚園から中学2年生までです。
取り組みには、先生が授業をする教室型と、子どもが自分で本を読む家庭型がありました。どちらの取り組みでも、何もしなかった子と比べて、読む力のいくつかのテストで伸びが見られました。とくに、低所得の家庭の子どもで効果が大きくなっていました。
読む時間に、もうひと工夫
学校の時間にただ黙って読む取り組みでは効果がはっきりせず、夏休みの読書では伸びが見られた。この違いがどこから来るのかは、まだわかっていません。どちらも北米の研究で、日本の朝読書を直接調べたものでもありません。
原田英語のおすすめは、自由な読書を楽しみの時間として続けながら、少しだけ手を加えることです。読み終えたら内容を一言メモする。ときどき少し難しい本を選ぶ。読んだ本の話を、友だちや家族にしてみる。読書の時間そのものを疑う必要はありません。ただ、それだけで読む力が伸びると思い込まないことです。
参考文献
Erbeli F., Rice M. (2022). Examining the Effects of Silent Independent Reading on Reading Outcomes: A Narrative Synthesis Review from 2000 to 2020. Reading & Writing Quarterly, 38, 253-271.
doi.org/10.1080/10573569.2021.1944830✓ 実在と内容を確認済み
Kim J., Quinn D. (2013). The Effects of Summer Reading on Low-Income Children's Literacy Achievement From Kindergarten to Grade 8. Review of Educational Research, 83, 386-431.
doi.org/10.3102/0034654313483906✓ 実在と内容を確認済み
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