教科別の常識No.K21
マンガばかり読んでいると、読解力が落ちるって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:まだ決着していない
スペインの大規模データでは、マンガを読む回数と学力の伸びに関係は見られませんでした。ただし、原因と結果まではわかっていません。
まだ決着していないとは… 研究結果が割れていて、まだ結論が出ていない常識です。
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今日からできるやり方
- マンガは楽しみとして、気にせず読む
- マンガで興味をもった話題の本も読んでみる
- 読書の時間の一部を、本や物語にあてる
「マンガばかり読んでいないで、たまには本を読みなさい」。家でこう言われたことのある人は、少なくないはずです。言われた側は、たぶんこう思います。マンガだって文字を読んでいるのに、と。
どちらの言い分が正しいのか。親の勘でも子どもの反論でもなく、データで確かめた研究があります。
スペインの子どもたちを追いかける
2020年、ジェリムらは、スペインでいちばん大きな自治州の行政データを使いました。州の子どもたちが受ける読解と数学の共通テストの点数を、同じ子どもについて時期をおいて追いかけた、大規模なデータです。
子どもたちは、5種類の読み物をどれくらいの頻度で読むかも答えていました。マンガ、短い物語、本、新聞、雑誌です。研究チームは、読む頻度と、テストの点数の伸びとの関係を調べました。
マンガ、新聞、雑誌をよく読むかどうかは、点数の伸びと結びついていませんでした。マンガをよく読む子ほど伸びが小さい、という関係は見られなかったのです。
本は違いました。本をよく読む子ほど点数がよく伸びる、という関係が、はっきりと、一貫して見られました。研究チームは、子どもに勧める読書の時間は、本を読む時間にあてるべきだ、と結論しています。
35か国、25万人のデータでも
もう少し上の年代ではどうでしょうか。ジェリムは2019年、モスと組んで、国際学力調査「PISA」の2009年のデータを分析しました。対象は、先進35か国の10代、25万人以上です。
ここでも、読み物は5種類に分けられていました。雑誌、ノンフィクション、小説、新聞、マンガです。小説をよく読む生徒は、読解の点数がはっきり高く、著者らはこれを「フィクション効果」と呼びました。ほかの4種類では、そうした関係は見られませんでした。マンガもそのひとつです。
小説をあまり読まない傾向があったのは、経済的に苦しい家庭の男子でした。著者らは、こうした生徒にこそ小説を勧める取り組みが大切だろう、と書いています。
害はないが、代わりにもならない
2つの研究を合わせると、マンガを読む子は読解力が落ちる、という心配を支えるデータは見当たりません。かといって、マンガを読めば読解力が伸びる、という結果でもありません。読む力にとってマンガは、良くも悪くも働いていないように見えます。
それでも判定を「まだ決着していない」としたのは、どちらの研究も、読む頻度と点数の関係を観察しただけだからです。たとえば、もともと読むのが得意な子ほど本を手に取る、という逆向きの関係も考えられます。また、どちらも日本のマンガを対象にした研究ではありません。
取り上げるより、足す
原田英語のおすすめは、マンガを取り上げることではなく、本の時間を少し足すことです。マンガで歴史や医療に興味を持ったら、同じ話題の本を1冊探してみる。好きな作品に原作の小説があれば、読み比べてみる。マンガを入口にして本にたどり着ければ、それで十分です。
マンガを閉じる必要はありません。そのとなりに、本を開く時間を置けばいいのです。
参考文献
Jerrim J., Lopez-Agudo L., Marcenaro-Gutierrez O. (2020). Does it matter what children read? New evidence using longitudinal census data from Spain. Oxford Review of Education, 46, 515-533.
doi.org/10.1080/03054985.2020.1723516✓ 実在と内容を確認済み
Jerrim J., Moss G. (2019). The link between fiction and teenagers' reading skills: International evidence from the OECD PISA study. British Educational Research Journal, 45, 181-200.
doi.org/10.1002/berj.3498✓ 実在と内容を確認済み
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