教科別の常識No.K20
文章を読む機会を増やすと、作文もうまくなるって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ホント
実験をまとめると、読み方を教わったり、文章にふれる量を増やしたりすると、書く力も伸びていました。逆に、書くことも読む力を育てます。
ホントとは… 複数の研究でおおむね支持されている常識です。
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論文での効果文章を読む機会を増やすと、書く力の効果量0.35(36実験)
今日からできるやり方
- いいなと思った文章の、書き出しや組み立てをまねる
- 読んだあとに、感想や要約を短く書く
- 作文の前に、同じテーマの文章を読む
作文がうまくなりたい人に「まず本を読みなさい」とすすめるのは、少し遠回りに見えます。書く力をつけたいなら、書く練習をすればいい。読むことと書くことは、別の技術のようにも思えます。
ところが、実験を集めてみると、読むことは書く力にもはっきり届いていました。
読み方を教えると、書く力も伸びた
2018年、教育心理学者のグレアムらは、読む力を育てる取り組みが書く力も伸ばすかを調べた実験をまとめました。対象は、幼児から高校3年生までです。
まとめ方には、ひとつ大事な決まりがありました。読む指導の中に、こっそり書く指導が混ざっていたら、書く力が伸びても当たり前です。そこで、読む指導のほうだけが書く指導を受けていた研究や、比べる組が書く指導を受けていた研究は、原則として外しました。読むことそのものの効果を取り出すためです。
まず、読み方を教えた54の実験、5018人の結果です。書く力全体の効果量は0.57でした。文章の質は0.63、書いた語数は0.37、つづりの正しさは0.56です。しかも、その効果は時間がたっても残っていました。
読む量を増やすだけでも
読み方を教えなくても、効果はありました。文章を読む機会を増やしたり、ほかの人が文章を読むのを見たりした研究もあります。36の研究、3060人をまとめると、書く力全体の効果量は0.35でした。文章の質は0.44、つづりは0.28です。
たくさんの文章にふれていると、文の組み立て方や、話の運び方、言葉の選び方が、自然と手もとにたまっていきます。書くときには、そのたまった材料を取り出して使うことができます。数字の背景には、そうした仕組みがあると考えられます。
逆向きの道もある
読むことが書く力を育てるなら、その逆はどうでしょうか。グレアムは2011年、ヒーバートとともに、書くことが読む力に与える影響もまとめています。
結果は、こちらもはっきりしていました。読んだ内容について書くと、その内容をよりよく理解できました。書き方を教わると、読解力、すらすら読む力、単語を読む力が伸びました。そして、書く量を増やすだけでも、読解力が高まっていました。
読むことと書くことは、同じ言葉の力の表と裏のような関係です。片方を鍛えると、もう片方にも力が流れこみます。
読んだら、少し書く
ただし、ここで紹介した研究はどれも英語で行われたものです。日本語の作文でも同じように伸びるかは、まだ確かめられていません。それでも、読むことと書くことをつなげて練習するのは、試してみる価値があります。
原田英語のおすすめは、読むことと書くことをセットにすることです。いいなと思った文章があったら、その書き出しや組み立てをまねてみる。読み終えたら、感想や要約を数行だけ書く。作文の宿題が出たら、書く前に同じテーマの文章を読んでおく。
読書は、作文の準備運動です。そして、書くことは、読書をもう一段深くする仕上げの運動でもあります。
参考文献
Graham S., Liu X., Bartlett B., Ng C., Harris K., Aitken A., Barkel A., Kavanaugh C., Talukdar J. (2018). Reading for Writing: A Meta-Analysis of the Impact of Reading Interventions on Writing. Review of Educational Research, 88, 243-284.
doi.org/10.3102/0034654317746927✓ 実在と内容を確認済み
Graham S., Hebert M. (2011). Writing to Read: A Meta-Analysis of the Impact of Writing and Writing Instruction on Reading. Harvard Educational Review, 81, 710-744.
doi.org/10.17763/haer.81.4.t2k0m13756113566✓ 実在と内容を確認済み
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