教科別の常識No.K33
動くアニメ教材は、止まった図より学びやすいって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ホント
動くアニメ教材は、止まった図より学びやすい傾向があります。とくに「動き」や「変化」そのものを学ぶときに強みを発揮します。
ホントとは… 複数の研究でおおむね支持されている常識です。
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論文での効果アニメは止まった図より学習効果が高い(効果量0.37)
今日からできるやり方
- 動きや変化を学ぶ単元で、アニメや動画を使う
- 見る前に「何が、どう変わるか」を予想する
- シミュレーションは、条件を1つずつ変えて試す
折り紙の鶴の折り方を、説明書の図だけで覚えようとして、途中でわからなくなったことはありませんか。図と図のあいだで、紙がどう動いたのかが見えないからです。同じ手順を動画で見ると、すんなりわかったりします。
勉強の教材でも、同じことが言えるのでしょうか。教科書の止まった図と、画面の中で動くアニメーション。どちらで学ぶほうが、よく身につくのかを比べた研究があります。
26の研究、76の比較
2007年、ヘフラーとロイトナーは、アニメと止まった図を比べた26の研究を集めて、メタ分析をしました。研究の中の比べ合わせは、全部で76組あります。
全体では、アニメで学んだほうが成績が上でした。効果量は0.37。効果量は効き目の大きさを表す数字で、0.2なら小さい、0.5なら中くらいとされます。0.37は、中くらいに近い差です。
アニメの種類や、学ぶ内容によって、差の大きさは変わりました。
見た目を楽しくするための飾りではなく、学ぶ内容そのものを表すアニメでは、効果量は0.40。本物に近い映像、たとえばビデオのような教材では0.76まで大きくなりました。さらに、手順や体の動かし方を身につける課題では、1.06という大きな差が出ました。鶴の折り方のような学びです。
「変化」を学ぶときに強い
2020年、プレッツナーらは、アニメで学ぶ研究194本を読み直し、ある偏りに気づきました。アニメの一番の得意わざは、物が空間や時間の中でどう変化するかを見せることです。ところが多くの研究は、変化そのものではなく、概念の理解ばかりをテストしていました。
そこで、ある過去のメタ分析を、「学ぶべき内容に変化の特徴が含まれていたか」という新しい目で分析し直しました。すると、変化の特徴を学ぶ必要がある場合には、アニメは止まった図よりはっきりよく学べていました。それまでのメタ分析で全体の差が大きくなかったのは、このせいかもしれない、と著者らは考えています。
シミュレーションは授業に足す
理科でよく使われるのが、画面の中で条件を変えて試せるシミュレーションです。2012年、ラッテンらは、過去10年の研究を見直しました。シミュレーションがふつうの授業を強められることには、確かな証拠がありました。とくに実験の活動で、その傾向がはっきりしていました。
ただし、ほとんどの研究は、先生がどう支えるか、授業のどこで使うかを考えに入れていませんでした。どう使えば一番よいのかは、まだ調べる余地があります。
見て終わりにしない
アニメは何でも動かせばよい、というものではありません。強みが出るのは、動きや変化が学ぶ中身そのもののときです。原田英語のおすすめは、見る前に「何が、どう変わるか」を予想しておくことです。シミュレーションなら、条件を1つずつ変えて試してみる。
止まった図で引っかかったら、動く教材を探してみましょう。ただし、ながめるだけで終わらせないことです。
この記事に出てくる用語
- メタ分析
- たくさんの研究の結果をまとめて、全体として効果があるかを計算する方法。1つの研究より信頼できる。
- 効果量
- 効果の大きさを表す数字。目安は0.2で小さい、0.5で中くらい、0.8で大きい。
参考文献
Höffler T., Leutner D. (2007). Instructional animation versus static pictures: A meta-analysis. Learning and Instruction, 17, 722-738.
doi.org/10.1016/j.learninstruc.2007.09.013✓ 実在と内容を確認済み
Rutten N., van Joolingen W., van der Veen J. (2012). The learning effects of computer simulations in science education. Computers & Education, 58, 136-153.
doi.org/10.1016/j.compedu.2011.07.017✓ 実在と内容を確認済み
Ploetzner R., Berney S., Bétrancourt M. (2020). A review of learning demands in instructional animations: The educational effectiveness of animations unfolds if the features of change need to be learned. Journal of Computer Assisted Learning, 36, 838-860.
doi.org/10.1111/jcal.12476✓ 実在と内容を確認済み
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