教科別の常識No.K33

動くアニメ教材は、止まった図より学びやすいって、ホント?

判定日 読了 約3分音声 4:04文献 3件

「動くアニメ教材は、止まった図より学びやすい」のイメージイラスト

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先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。

判定:ホント

動くアニメ教材は、止まった図より学びやすい傾向があります。とくに「動き」や「変化」そのものを学ぶときに強みを発揮します。

ホントとは… 複数の研究でおおむね支持されている常識です。

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論文での効果アニメは止まった図より学習効果が高い(効果量0.37)

今日からできるやり方

  1. 動きや変化を学ぶ単元で、アニメや動画を使う
  2. 見る前に「何が、どう変わるか」を予想する
  3. シミュレーションは、条件を1つずつ変えて試す

折り紙の鶴の折り方を、説明書の図だけで覚えようとして、途中でわからなくなったことはありませんか。図と図のあいだで、紙がどう動いたのかが見えないからです。同じ手順を動画で見ると、すんなりわかったりします。

勉強の教材でも、同じことが言えるのでしょうか。教科書の止まった図と、画面の中で動くアニメーション。どちらで学ぶほうが、よく身につくのかを比べた研究があります。

26の研究、76の比較

2007年、ヘフラーとロイトナーは、アニメと止まった図を比べた26の研究を集めて、メタ分析をしました。研究の中の比べ合わせは、全部で76組あります。

全体では、アニメで学んだほうが成績が上でした。効果量は0.37。効果量は効き目の大きさを表す数字で、0.2なら小さい、0.5なら中くらいとされます。0.37は、中くらいに近い差です。

アニメの種類や、学ぶ内容によって、差の大きさは変わりました。

見た目を楽しくするための飾りではなく、学ぶ内容そのものを表すアニメでは、効果量は0.40。本物に近い映像、たとえばビデオのような教材では0.76まで大きくなりました。さらに、手順や体の動かし方を身につける課題では、1.06という大きな差が出ました。鶴の折り方のような学びです。

「変化」を学ぶときに強い

2020年、プレッツナーらは、アニメで学ぶ研究194本を読み直し、ある偏りに気づきました。アニメの一番の得意わざは、物が空間や時間の中でどう変化するかを見せることです。ところが多くの研究は、変化そのものではなく、概念の理解ばかりをテストしていました。

そこで、ある過去のメタ分析を、「学ぶべき内容に変化の特徴が含まれていたか」という新しい目で分析し直しました。すると、変化の特徴を学ぶ必要がある場合には、アニメは止まった図よりはっきりよく学べていました。それまでのメタ分析で全体の差が大きくなかったのは、このせいかもしれない、と著者らは考えています。

シミュレーションは授業に足す

理科でよく使われるのが、画面の中で条件を変えて試せるシミュレーションです。2012年、ラッテンらは、過去10年の研究を見直しました。シミュレーションがふつうの授業を強められることには、確かな証拠がありました。とくに実験の活動で、その傾向がはっきりしていました。

ただし、ほとんどの研究は、先生がどう支えるか、授業のどこで使うかを考えに入れていませんでした。どう使えば一番よいのかは、まだ調べる余地があります。

見て終わりにしない

アニメは何でも動かせばよい、というものではありません。強みが出るのは、動きや変化が学ぶ中身そのもののときです。原田英語のおすすめは、見る前に「何が、どう変わるか」を予想しておくことです。シミュレーションなら、条件を1つずつ変えて試してみる。

止まった図で引っかかったら、動く教材を探してみましょう。ただし、ながめるだけで終わらせないことです。

この記事に出てくる用語
メタ分析
たくさんの研究の結果をまとめて、全体として効果があるかを計算する方法。1つの研究より信頼できる。
効果量
効果の大きさを表す数字。目安は0.2で小さい、0.5で中くらい、0.8で大きい。

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参考文献

  1. Höffler T., Leutner D. (2007). Instructional animation versus static pictures: A meta-analysis. Learning and Instruction, 17, 722-738.

  2. Rutten N., van Joolingen W., van der Veen J. (2012). The learning effects of computer simulations in science education. Computers & Education, 58, 136-153.

  3. Ploetzner R., Berney S., Bétrancourt M. (2020). A review of learning demands in instructional animations: The educational effectiveness of animations unfolds if the features of change need to be learned. Journal of Computer Assisted Learning, 36, 838-860.

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