教科別の常識No.K10

数学の宿題は、多いほど成績が上がるって、ホント?

判定日 読了 約3分音声 4:35文献 3件

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読む前に予想この常識、あなたはどう思う?

先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。

判定:ウソ

宿題そのものには効果があります。でも、かける時間を増やすほど伸びるわけではなく、効いていたのは「自分の力で解くこと」でした。

ウソとは… 研究の結果、この常識は支持されません。逆効果のこともあります。

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論文での効果スペインの中学生7451人の研究で、数学と理科の宿題のちょうどよい長さは1日1時間ほど

今日からできるやり方

  1. 宿題は、答えを写さず自分の力で解く
  2. まとめてやるより、毎日こまめに取り組む
  3. 1日1時間をめやすに、集中して取り組む

たとえば、同じクラスに2人の生徒がいるとします。1人は毎晩3時間、数学の宿題に向かいます。わからないところは解答を見ながら、全部のページを埋めます。もう1人は1時間ほどで切り上げますが、答えを見ずに、自分で考えて解きます。

学期末のテストで、伸びているのはどちらでしょうか。「たくさんやったほうに決まっている」と思うかもしれません。研究の答えは、そう単純ではありません。

宿題に、効果はあるのか

まず、宿題そのものに意味があるのかを確かめておきます。

2006年、心理学者のクーパーらは、1987年以降にアメリカで行われた宿題の研究をまとめました。著者らは、どの研究にも、やり方の上で何かしらの弱点があったと認めています。それでも、全体を見ると、宿題が成績にプラスに働くという結果がおおむねそろっていました。

宿題と成績の結びつきは、小学生より中学・高校生で強く出ていました。宿題にかけた時間を、親ではなく生徒本人が答えた場合にも、結びつきは強く出ました。

宿題は、出す意味がある。ここまでは、多くの人の感覚どおりです。

時間の長さでは、とらえられない

では、宿題は多いほどいいのでしょうか。2007年、心理学者のトラウトヴァインは、この点を3つの研究で確かめました。

トラウトヴァインは、宿題を3つの面に分けて考えました。宿題にかけた時間、宿題が出される回数、そして宿題への取り組み方です。

その結果、宿題がよく出されるクラスほど、成績がよい傾向がありました。また、宿題をきちんとやる生徒ほど、成績を伸ばしていました。ところが、こうした良い効果は、「宿題に何時間かけたか」という物差しでは、とらえられなかったのです。

時間が長いことは、熱心さの表れとは限りません。わからなくて手が止まっている時間も、同じ1時間として数えられてしまうからです。

7451人の中学生が示したこと

2015年、スペインのフェルナンデス=アロンソらは、中学生7451人の宿題と成績の関係を分析しました。平均年齢は13.8歳、教科は数学と理科です。ほとんど宿題をしない生徒は、分析から外しています。

成績をもっとも強く予測したのは、もともとの学力でした。その影響は、ほかのすべての要因を合わせたより大きいほどでした。

もともとの学力などを差し引くと、成績と結びついていたのは2つでした。生徒が宿題を自分の力でやっているかどうか。そして、先生が宿題を出す頻度です。かけた時間や、どれだけ努力したかではありませんでした。宿題の長さは、1日1時間ほどがちょうどよいと見積もられました。

3時間より、自分で解く1時間

どの研究も、宿題と成績の関係を観察したもので、原因を直接確かめた実験ではありません。それでも、3つの研究は同じ方向を指しています。宿題は量より中身。とくに、自分の頭で解いているかどうかです。

冒頭の2人でいえば、伸びやすいのは、1時間で自分で解いた生徒のほうだと考えられます。解答を写して埋めたページは、頭には残りにくいでしょう。

宿題が終わらないときは、時間を延ばす前に、やり方を見直しましょう。答えを写さず、自分で解く。まとめてやるより、毎日こまめに取り組む。その1時間は、長いだけの3時間より、ずっと中身が濃いはずです。

参考文献

  1. Cooper H., Robinson J., Patall E. (2006). Does Homework Improve Academic Achievement? A Synthesis of Research, 1987-2003. Review of Educational Research, 76, 1-62.

  2. Trautwein U. (2007). The homework-achievement relation reconsidered: Differentiating homework time, homework frequency, and homework effort. Learning and Instruction, 17, 372-388.

  3. Fernández-Alonso R., Suárez-Álvarez J., Muñiz J. (2015). Adolescents' homework performance in mathematics and science: Personal factors and teaching practices. Journal of Educational Psychology, 107, 1075-1085.

文献はCrossrefで書誌を確認し、記事の内容は要旨などと照合しています(判定の方法)。

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