教科別の常識No.K05

計算ドリルをたくさんやれば、数学ができるようになるって、ホント?

判定日 読了 約3分音声 4:16文献 2件

「計算ドリルをたくさんやれば、数学ができるようになる」のイメージイラスト

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先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。

判定:半分ホント

ドリルで練習した計算は、たしかに速く正確になります。ただ、その力が文章題まで自然に広がるとは限りません。

半分ホントとは… 条件つきで正しい、または言い過ぎの部分がある常識です。

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今日からできるやり方

  1. 計算ドリルは、短い時間で毎日少しずつやる
  2. まちがえた計算は、正しいやり方を見てから解き直す
  3. 計算練習のあとに、文章題を1問は解く

ストップウォッチを押して、百ます計算。きのうより10秒速くなった。こういう小さな記録の更新は、気持ちのいいものです。

計算ドリルには、目に見える手応えがあります。速さも正確さも数字で出るので、伸びているのがよくわかります。では、ドリルをたくさんやれば、数学そのものができるようになるのでしょうか。

速さは、練習で伸びる

まず、ドリルが得意とすることから見ていきます。2011年、コディングらは、基本的な計算をすらすら解けるようにする練習の研究をまとめました。7+5や8×6のような、答えをすぐ出したい計算です。

集めたのは17の研究で、参加者は合わせて55人でした。人数が少ないのは、一人ひとりの成績を何度も測って、練習の前と後で変化を追う研究ばかりだったからです。

その中で効果がいちばん大きかったのは、くり返しの練習に「お手本を見せる」ことを組み合わせたやり方でした。解き方を見せてから練習させるのです。また、練習の工夫を3つより多く組み合わせたほうが、少ないものより効果が大きくなりました。教える人がひとりより、何人かで関わるほうがよい結果も出ていました。

つまり、ドリルは工夫しだいで、基本の計算の速さと正確さを伸ばせます。ここまでは、ドリル派の言うとおりです。

足し算は伸びた、引き算は伸びなかった

ところが、伸びるのはどこまでなのか。それを考えさせるのが、2006年のフックスらの試験的な研究です。

対象は、算数と読み書きの両方でつまずく心配がある小学1年生でした。子どもたちをくじ引きで2つに分け、一方はパソコンで計算の練習を、もう一方はつづりの練習をしました。18週間で50回の練習です。

計算の練習をした子は、足し算が伸びました。ところが、引き算は伸びませんでした。そして、計算を使う文章題の力には、広がりませんでした。

対照的に、つづりの練習をした子は、つづりの力が伸び、さらに読む力にも小さいながら効果が広がっていました。

計算と文章題のあいだ

なぜ文章題には届かなかったのでしょうか。文章題を解くには、計算の前に、文を読んで「これは足すのか、引くのか」を決める必要があります。ドリルで鍛えられるのは、決まったあとの計算です。決めるところは、ドリルではほとんど練習されません。

とはいえ、この研究は少人数の試験的なもので、著者ら自身も、もっと大きな規模で確かめる必要があるとしています。ドリルがむだだという話ではありません。練習したものは伸びるけれど、練習していないものまでは伸びにくい、ということです。

土台を作ったら、その上で考える

ですから、「ドリルをたくさんやれば数学ができる」は半分だけ正しい言い方です。計算がすらすらできれば、文章題を考えるときにも頭に余裕が生まれる、と考えられます。ドリルは家の土台のようなものです。ただ、土台だけでは家は建ちません。

やり方としては、まずドリルは短い時間で毎日少しずつ。間違えた計算は、正しいやり方を見てから解き直す。そして計算練習のあとに、文章題を1問だけでも解くことです。速く計算できる手と、何を計算すべきかを決める頭。その両方を、毎日少しずつ動かしましょう。

参考文献

  1. Codding R., Burns M., Lukito G. (2011). Meta-Analysis of Mathematic Basic-Fact Fluency Interventions: A Component Analysis. Learning Disabilities Research & Practice, 26, 36-47.

  2. Fuchs L., Fuchs D., Hamlet C., Powell S., Capizzi A., Seethaler P. (2006). The Effects of Computer-Assisted Instruction on Number Combination Skill in At-Risk First Graders. Journal of Learning Disabilities, 39, 467-475.

文献はCrossrefで書誌を確認し、記事の内容は要旨などと照合しています(判定の方法)。

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