偉人の勉強法No.F04
ダーウィン流「反対の事実はすぐメモ」で、思い込みを防げるって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:半分ホント
反対の事実をすぐメモして検討する習慣は、思い込みを防ぐのに役立ちます。ただ「不利な事実ほど忘れる」という理由は、研究では弱めです。
半分ホントとは… 条件つきで正しい、または言い過ぎの部分がある常識です。
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論文での効果自分に合う情報を選ぶ偏りは、中程度(効果量0.36)
今日からできるやり方
- 自分の考えに合わない事実は、その場でメモする
- 結論を出す前に、逆の可能性を書き出す
- 反対意見を、いちばん強い形で書いてみる
- メモを見返し、自分の答えを用意しておく
新しいところはすべて間違いで、正しいところはすべて古い。
1858年、ダーウィンとウォレスが進化の考えを初めてそろって発表したとき、反応はほとんどありませんでした。ダーウィンが覚えていた唯一の論評は、ダブリンの教授によるこの一言だったと、『自伝』に書いています。
ところが翌1859年に出た『種の起源』は、最初に刷った1,250部が発売日に売り切れました。ダーウィンは成功の理由のひとつとして、長年守ってきた「黄金律」を挙げています。
ダーウィンの黄金律
その決まりとは、自分の結論に反する事実や新しい観察、考えに出会ったら、必ずすぐにメモする、というものでした。そうした事実は、都合のよい事実よりずっと記憶から抜けやすいと、経験からわかっていたからです。この習慣のおかげで、自分の説への反論のうち、少なくとも気づいて答えようとしていなかったものは、ほとんどなかったといいます。
ダーウィンは、自分の記憶力をあまり信用していませんでした。記憶は広いがぼんやりしていて、日付や詩の一行は数日と覚えていられない、と書いています。その代わり、何か反する話を読んだはずだ、と漠然と教えてくれる程度には働く。そこで、あとから探せるように書きとめたのです。
彼はまた、どんなに気に入った仮説でも、事実がそれに反するとわかったら捨てられるよう、心を自由にしておこうと努めてきたと述べています。最初に立てた仮説で、のちに捨てるか大きく直す必要がなかったものは、サンゴ礁の説くらいしか思い出せない、とまで書いています。
人は、自分に合う証拠を集めたがる
ダーウィンが警戒した心のくせは、現代の心理学では「確証バイアス」と呼ばれます。自分がすでに持っている考えに合うように、証拠を探したり解釈したりする傾向のことです。1998年、ニッカーソンは、このくせがさまざまな形で、いろいろな現実の場面に現れることを、多くの研究から示しました。
2009年、ハートらのメタ分析でも、人は自分の考えを支える情報と、それに反する情報を選べるとき、支える情報のほうを選ぶ中くらいの偏りを示しました。効果量は0.36です。ただし、反する情報が、今取り組んでいる目標を果たすのに役立つときは、逆に反する情報を選ぶ傾向も現れました。
では、この偏りは減らせるのでしょうか。1984年、ロードらは、2つの実験で「逆の可能性を考える」よう促しました。すると、判断の偏りが小さくなりました。「できるだけ公平に、偏りなく考えてください」と頼むよりも、効果がありました。公平でいようと心がけるだけでは足りず、反対の可能性を具体的に考えることが効いたのです。
不利な事実は、本当に忘れやすいか
では、ダーウィンが感じていた「不利な事実ほど忘れやすい」は、どうでしょうか。
1999年、イーグリーらは、態度と記憶の関係を調べた実験をまとめました。多くの理論からは、自分の考えに合う情報のほうがよく覚えられると予想されます。ところが分析すると、その効果は実験ごとにばらばらで、まとめると小さいものでした。しかも、昔の実験ほど効果が大きく、方法が甘かったことが影響していたようです。
つまり「不利な事実は必ず忘れる」とまでは言えません。それでも、人が自分に合う情報を選びがちなことは確かめられています。忘れやすいかどうかに関係なく、反対の事実を書きとめて検討する習慣には意味がありそうです。
反対意見のためのページ
原田英語のおすすめは、ノートに「反対の事実」専用の場所をつくることです。レポートや受験の小論文で自分の主張を決めたら、それに合わない事実やデータを見つけたとき、その場で書きとめる。結論を出す前には、逆の結論になる可能性を書き出してみる。反対意見をいちばん強い形で書き、それへの答えも用意しておく。
ダーウィンの『種の起源』は、出版後に激しい反対にさらされました。それでも、その多くは、彼がすでにメモを取り、答えを考えていたものでした。
この記事に出てくる用語
- メタ分析
- たくさんの研究の結果をまとめて、全体として効果があるかを計算する方法。1つの研究より信頼できる。
- 効果量
- 効果の大きさを表す数字。目安は0.2で小さい、0.5で中くらい、0.8で大きい。
参考文献
Darwin C. (1887/1958). The Autobiography of Charles Darwin (Project Gutenberg eBook #2010).
www.gutenberg.org/ebooks/2010✓ 実在と内容を確認済み
Nickerson R. (1998). Confirmation bias: A ubiquitous phenomenon in many guises. Review of General Psychology, 2, 175-220.
doi.org/10.1037/1089-2680.2.2.175✓ 実在と内容を確認済み
Hart W., Albarracín D., Eagly A., Brechan I., Lindberg M., Merrill L. (2009). Feeling validated versus being correct: A meta-analysis of selective exposure to information. Psychological Bulletin, 135, 555-588.
doi.org/10.1037/a0015701✓ 実在と内容を確認済み
Lord C., Lepper M., Preston E. (1984). Considering the opposite: A corrective strategy for social judgment. Journal of Personality and Social Psychology, 47, 1231-1243.
doi.org/10.1037/0022-3514.47.6.1231✓ 実在と内容を確認済み
Eagly A., Chen S., Chaiken S., Shaw-Barnes K. (1999). The impact of attitudes on memory: An affair to remember. Psychological Bulletin, 125, 64-89.
doi.org/10.1037/0033-2909.125.1.64✓ 実在と内容を確認済み
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