偉人の勉強法No.F03

フランクリンの「毎晩つける反省表」で、習慣は変えられるって、ホント?

判定日 読了 約4分音声 6:07文献 3件

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先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。

判定:ホント

毎日記録して振り返る方法は、研究でも効果が確かめられています。ただ、習慣になるまでには1週間よりずっと長くかかります。

ホントとは… 複数の研究でおおむね支持されている常識です。

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論文での効果進み具合の記録で目標達成が向上(効果量0.40、138研究)

今日からできるやり方

  1. 直したい行動を、まず1つだけ決める
  2. 紙の表に、できなかった日の印をつける
  3. 毎晩、寝る前に1日を振り返って記入する
  4. 1回抜けても気にせず、数か月は続ける

朝5時に起きて顔を洗い、自分に問いかける。「今日はどんな良いことをしようか」。夜9時、その日を振り返って、もう一度問う。「今日はどんな良いことをしたか」。

ベンジャミン・フランクリンは『自伝』の中で、手帳の1ページに、こんな1日の予定表を書いていたと明かしています。手帳には、1733年7月1日の日付が残っています。のちにアメリカ建国の父のひとりとなる彼が、自分の欠点を本気で直そうとした記録です。

赤い線と黒い点

フランクリンは、身につけたい徳を13にしぼりました。1番目は節制で、心得は「頭が鈍るほど食べるな。酔うほど飲むな」。2番目は沈黙、3番目は秩序で、「すべての物に置き場所を。すべての仕事に時間を」。それぞれに短い心得をつけています。

手帳は、徳ごとに1ページを使いました。赤インクで線を引いて、曜日ごとの7つの欄を作り、横には13本の赤い線を引きます。毎晩その日を振り返り、守れなかった徳の欄に、小さな黒い点をつけていきました。

13の徳を一度に身につけようとはしませんでした。1週間に1つの徳だけに集中し、ほかの徳はなりゆきに任せます。1週目は節制の行に点がつかないよう努め、うまくいったら次の週は2つの行を守る。こうして13週で一巡し、1年で4巡する計画でした。庭の草取りをするとき、一度に全部を抜こうとせず、1つの花壇ずつ片づけるのと同じだ、と書いています。

始めてみると、フランクリンは、自分が思っていたよりずっと欠点だらけなことに驚きました。それでも、点が減っていくのを見る満足感がありました。

巡り直すたびに古い点を削り取ったので、紙の手帳はやがて穴だらけになります。そこで、象牙の薄い板でできたメモ帳に表を移しました。線は消えない赤インクで引き、点は鉛筆でつけて、濡れたスポンジでふき取れるようにしたのです。やがて1年に1巡、数年に1巡と回数は減り、仕事で外国へ行くようになってからはやめてしまいます。それでも、手帳はいつも持ち歩いていたそうです。

書きとめると、目標に近づく

この「記録して見える化する」方法は、研究と合っています。2016年、ハーキンらは、進み具合を記録させる介入を調べた138の実験、のべ1万9,951人分をまとめました。記録するよう促されると、人は実際に記録する回数が増え、目標の達成度も高まりました。効果量は0.40です。

さらに、記録を紙などに書いて残した場合や、結果を人に報告したり公表したりした場合は、効果がより大きくなりました。フランクリンの手帳は、まさに書いて残す記録でした。

1週間では、習慣にならない

ただし、1週間で1つの習慣が身につくとは限りません。2010年、ラリーらは、96人のボランティアに、食べる、飲む、体を動かすといった行動を1つ選んでもらいました。「朝食のあとに」のように決まった場面で、それを12週間、毎日続けます。

行動がほぼ自動的にできるようになるまでの期間は、18日から254日と、人によって大きく違いました。かなり長くかかる人もいるのです。一方で、1回やり忘れても、習慣づくりにはほとんど影響しませんでした。

フランクリン自身も、1週間では足りませんでした。いちばん苦労したのは秩序で、物の置き場所を決めることがどうしてもできず、あきらめかけたと書いています。そして近所の男の話を紹介します。男は斧の表面全体を刃のようにぴかぴかにしてほしいと頼み、自分で砥石の車を回しました。くたびれて途中で見に来ては、ついに「まだらの斧のほうが好きだ」と言って持ち帰ったそうです。習慣を変える難しさに負けて「まだらの斧がいちばん」と思い込んでしまう人は多いのではないか、とフランクリンは書いています。

届かなくても、字はきれいになる

フランクリンは、目指した完璧にはとても届かなかったと認めています。それでも、努力したおかげで、しなかった場合よりよい人間に、幸せな人間になれた、と書きました。手本をなぞって字を習う人が、手本ほどうまくならなくても、字はきれいになるのと同じだ、と。

原田英語のおすすめは、直したい行動を1つだけ決めて、紙の表に毎晩しるしをつけることです。1回抜けても気にせず、数か月は続けてみる。点だらけの表でも、続けた分だけ、行動は変わっていきます。

この記事に出てくる用語
効果量
効果の大きさを表す数字。目安は0.2で小さい、0.5で中くらい、0.8で大きい。

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参考文献

  1. Franklin B. (1791/1868). Autobiography of Benjamin Franklin (Project Gutenberg eBook #20203).

  2. Harkin B., Webb T., Chang B., Prestwich A., Conner M., Kellar I., Benn Y., Sheeran P. (2016). Does monitoring goal progress promote goal attainment? A meta-analysis of the experimental evidence. Psychological Bulletin, 142, 198-229.

  3. Lally P., van Jaarsveld C., Potts H., Wardle J. (2010). How are habits formed: Modelling habit formation in the real world. European Journal of Social Psychology, 40, 998-1009.

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