英語の常識No.E26
英語の動画は、日本語字幕で見る方が英語の勉強になるって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ウソ
母語の字幕は、外国語の音に慣れる学習をじゃますることがあり、外国語の字幕はそれを助ける、という実験があります。
ウソとは… 研究の結果、この常識は支持されません。逆効果のこともあります。
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オランダのテレビでは、外国の番組を吹き替えずに、オランダ語の字幕をつけて流すのがふつうです。ドイツのように吹き替えの多い国では、外国語の声そのものを聞く機会があまりありません。オランダの人は、英語の声を日ごろから耳にしています。ただし、その画面の下には、たいていオランダ語の字幕が出ています。
この母語の字幕は、英語の耳を育てるのに役立っているのでしょうか。それとも、じゃまをしているのでしょうか。2009年、心理言語学者のミッテラーとマックイーンは、この点を実験で確かめました。
なじみのない、なまりの英語
参加したのは、英語のよくできるオランダの大学生120人です。2人が用意したのは、参加者が聞き慣れていない、なまりの強い英語でした。オーストラリアのコメディ番組『キャス&キム』の1話25分と、スコットランドの映画『トレインスポッティング』を25分に縮めたものです。
参加者は20人ずつ6つのグループに分かれ、どちらかの動画を、英語の字幕、オランダ語の字幕、字幕なしのどれかで見ました。
見終わったあと、主人公の声で録音された短い英語を聞き、聞こえたとおりに口でくり返します。全部で160。半分は動画の中で聞いた部分で、残りの半分は、同じ人物の初めて聞く部分です。正しく言えた単語の割合を、実験の目的を知らない2人が数えました。
初めて聞く英語で、差が開いた
動画の中で聞いた部分では、英語の字幕もオランダ語の字幕も、字幕なしより成績がよくなりました。オランダ語の字幕でも、何と言っていたのかを理解する助けにはなったのです。
差が開いたのは、初めて聞く部分でした。英語の字幕で見た人は、字幕なしで見た人より、多くの単語を正しくくり返せました。ところが、オランダ語の字幕で見た人は、字幕なしで見た人より成績が悪かったのです。
研究者たちは、こう説明しています。英語の字幕は、いま話されている単語を教えてくれます。そのおかげで耳が、なまりのある音を、どの単語のどの音なのかと結びつけながら調整し直せます。その調整は、初めて聞く英語にも生きてきます。
一方、文字を読むと、私たちは自動的にその音も思い浮かべます。オランダ語の字幕を読めば、頭に浮かぶのはオランダ語の音です。それは、耳に入っている英語の音と食い違います。意味はわかっても、英語の音の調整は進まなかったと考えられます。
この実験が示していること
この実験の参加者は、もともと英語がよくできるオランダの大学生でした。調べたのは、見慣れないなまりに25分で慣れるかどうかです。英語を学び始めたばかりの日本の中高生に、同じ結果がそのまま当てはまるとは限りません。
研究者たちも、その言語をまだ知らない人にとって、母語の字幕は欠かせないものだと書いています。そのうえで、デジタル放送なら字幕の言語を選べるようにできるし、市販のDVDでは外国語の字幕を選べる、と提案しています。
2回目は英語の字幕で
原田英語のおすすめは、字幕の順番を決めることです。内容がだいたいわかる動画なら、最初から英語の字幕で見ます。難しい動画なら、1回目は日本語の字幕で話の筋をつかみ、2回目は英語の字幕に切りかえます。
日本語の字幕は話の筋を、英語の字幕は英語の音を教えてくれます。何を学びたいかで、選べばいいのです。
参考文献
Mitterer H., McQueen J. (2009). Foreign Subtitles Help but Native-Language Subtitles Harm Foreign Speech Perception. PLoS ONE, 4, e7785.
doi.org/10.1371/journal.pone.0007785✓ 実在と内容を確認済み
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