英語の常識No.E06

英語は早く始めれば始めるほど、学校英語でも有利って、ホント?

判定日 読了 約4分音声 5:05文献 2件

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先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。

判定:半分ホント

週数時間の授業だけなら、早く始めた効果は限られます。差が見えてくるのは、まとまった量の英語に触れてからでした。

半分ホントとは… 条件つきで正しい、または言い過ぎの部分がある常識です。

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大学の英語のクラスに、2人の学生がいるとします。Aさんは3歳から英語教室に通っていました。Bさんは中学1年で初めて英語を習いました。大学生になった今、英語ができるのはどちらでしょうか。

多くの人は、迷わずAさんと答えるはずです。英語は早く始めるほど有利。だからこそ、幼児向けの英語教室に通わせる親も多いのでしょう。

この問いを、日本の大学生で確かめた研究があります。

週4時間以下の英語で育った大学生

2008年、研究者のラーソン=ホールは、日本の大学生200人を調べました。全員が、教室での英語の授業が週4時間以下という環境で英語を学んできた人たちです。

このうち61人は、3歳から12歳のあいだに英語を始めていました。残りの139人は、12〜13歳、中学校に入ってから始めた人たちです。

参加者は2つのテストを受けました。ひとつは英語の音を聞き分けるテスト。もうひとつは、英文が文法的に正しいかを判断するテストです。あわせて、言葉を学ぶ適性や、これまでに英語を勉強した時間、英語への態度も調べました。

それまでの理論や研究からは、授業が少ない環境では、早く始めても有利にはならないと予想されていました。

耳には差、文法には差なし

早く始めたグループと、中学から始めたグループを比べると、音の聞き分けでは早く始めたグループのほうが点が高くなりました。ところが、文法の判断では差がありませんでした。英語を勉強した合計の時間をそろえて分析しても、この結果は変わりませんでした。

3歳から英語を始めたAさんと、中学から始めたBさん。大学生の時点では、文法の力に、はっきりした違いは出ていなかったことになります。

文法の差は、量のあとにやってくる

ラーソン=ホールは、早く始めた61人だけでも分析をしました。適性と英語の勉強量をそろえたうえで、始めた年齢と点数の関係を見たのです。

すると、始めた年齢が早い人ほど、文法の判断の点が高いという中程度の関係が見られました。一方、音の聞き分けの点とは関係がありませんでした。

グループで比べると音に差が出て、61人の中で見ると文法に関係が出る。少しややこしい結果です。さらに、勉強した量ごとに分けて調べると、グループの差の出方は、英語に触れた量によって変わっていました。

ラーソン=ホールの結論は、授業が少ない環境でも、年齢の効果は見られることがある、というものです。ただしその効果は、まとまった量の英語に触れたあとで、初めて現れるのかもしれません。早く始めることそのものより、その後にどれだけの英語に触れたかが効いてくる、と読める結果です。

ただし、これは1つの研究で、大学生を一度だけ調べたものです。長い年月をかけて同じ人を追いかけたわけではありません。

触れる量の大切さについては、応用言語学者のムニョスも2008年の論文で整理しています。年齢の効果についての研究の多くは、移住先の国で暮らしながら言葉を身につけた人たちを調べたものです。その結果が、教室で外国語を学ぶ場合にも、急いで当てはめられてきたのではないか。ムニョスはそう指摘しました。

毎日その言葉に囲まれて暮らす人と、週に数時間の授業で学ぶ人とでは、触れる英語の量も質もまったく違います。ムニョスは、触れる言葉の量と質が、始めた年齢の効果を大きく左右すると論じています。

変えられるのは、これからの量

判定が「半分ホント」なのは、このためです。早く始めると有利な面はあります。でも、週に数時間の授業だけなら、その差は思われているほど大きくありません。

英語を始めた年齢は、あとから変えられません。一方、これからどれだけ英語に触れるかは、今日から変えられます。原田英語のおすすめは、授業の外で英語に触れる時間を、毎日少しずつでも作ることです。好きな洋楽の歌詞を読む、やさしい英語の本を読む、英語の動画を字幕つきで見る。週4時間の授業に、毎日30分を足すだけでも、1週間に触れる英語の量は大きく変わります。

AさんとBさんの差を最後に決めるのは、始めた年齢よりも、これから触れる英語の量なのかもしれません。

参考文献

  1. Larson-Hall J. (2008). Weighing the benefits of studying a foreign language at a younger starting age in a minimal input situation. Second Language Research, 24, 35-63.

  2. Muñoz C. (2008). Symmetries and asymmetries of age effects in naturalistic and instructed L2 learning. Applied Linguistics, 29(4), 578-596.

文献はCrossrefで書誌を確認し、記事の内容は要旨などと照合しています(判定の方法)。

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