原田英語とっておきの話

台風30号(チャンパー)の進路予想|米軍(JTWC)・気象庁・ヨーロッパ(ECMWF)・AIモデルを比較|沖縄・先島諸島・台湾への接近はいつ?名前の意味・英語も

台風30号チャンパーの進路予想 米軍JTWCと気象庁の比較
猛烈な勢力に発達した台風30号(チャンパー)。気象庁と米軍の予想進路は、22日ごろ沖縄の南に達するところまではほぼ同じですが、その先で大きく分かれています。各機関の見方の違いと、先島諸島・台湾・本州への影響、名前の意味までを3分でまとめました(10月19日夕方時点)。

3行でわかる台風30号
  • 19日18時現在、大型で猛烈な勢力(935hPa・最大瞬間風速75m/s)でフィリピンの東を西北西へ
  • 22日ごろ沖縄の南に達するまでは、気象庁と米軍の予想はほぼ同じ
  • その先が割れている:気象庁は台湾から台湾海峡へ、米軍は北へ曲がって八重山諸島付近から東シナ海へ

台風30号の進路予想マップ(気象庁と米軍の比較)

14N16N18N20N22N24N26N28N30N120E124E128E132E136E140E台湾ルソン島沖縄本島宮古島石垣島20日18時21日15時22日15時23日15時24日15時24日15時いま(19日18時)略図・位置はおおよそ
気象庁(10月19日18時45分発表)米軍JTWC(第20報)

線は各機関の予報の「中心」を結んだものです。23日の昼すぎまでは2本がほぼ重なり、分かれるのは23日から24日。気象庁の線は台湾付近を通って台湾海峡へ、米軍の線は台湾の手前で北へ折れ、与那国島と石垣島の間付近を通る形です。ただし先の予想ほど幅は広く、気象庁の予報円は24日には半径約280kmまで広がります。いまの中心予想ではどちらも先島諸島(宮古・八重山)に近づくため、先島の方は特に最新情報に注意してください。

気象庁の進路予想:910hPaまで発達、弱まりながら沖縄の南へ

日時 場所 気圧
hPa
最大風速
(瞬間)m/s
19日18時 フィリピンの東 935 55(75)
20日18時 フィリピンの東 910 55(80)
22日15時 沖縄の南 935 50(70)
23日15時 沖縄の南 940 45(65)
24日15時 台湾海峡 985 30(40)

気象庁は、20日に中心気圧910hPaまで発達したあと、22日には「非常に強い」勢力に少し弱まりながら西北西へ進み、24日には台湾海峡に達すると予想しています。

米軍(JTWC)の進路予想:スーパー台風、台湾の手前で北へ

日本時間 位置のめやす 最大風速(1分平均)
ノット(m/s)
19日15時 ヤップ島の北 140(約72)
20日15時 フィリピンの東 150(約77)
22日15時 沖縄の南 115(約59)
23日15時 沖縄の南・台湾の東 95(約49)
24日15時 台湾の北東・東シナ海南部 75(約39)

米軍の合同台風警報センター(JTWC)は台風30号を「スーパー台風29W」と呼んでいます(番号の数え方が気象庁と違うため、30号でなく29Wになります)。ポイントは、JTWC自身が進路の確信度を22日15時ごろまでは「HIGH(高い)」、その先24日までは「LOW(低い)」としていること。台湾の手前で北へ曲がる案をとりつつ、「そのまま北西へ進んで台湾東岸に上陸する」別のシナリオもあると書いています。

米軍の風速が気象庁より大きいのはなぜ?
米軍は1分間の平均、気象庁は10分間の平均で最大風速を出すからです。1分平均のほうが一般に大きめの値になります。米軍では1分平均130ノット(約67m/s)以上を「スーパー台風」と呼びます。

ヨーロッパ(ECMWF)の物理モデルとAIモデルの見方:進路の傾向に大きな差

今回いちばんの注目点がここです。JTWCの解説によると、22日ごろから計算方法によって進路の傾向に大きな差が出ています。

西へ進む傾向(物理モデル)

ヨーロッパ(ECMWF)やアメリカ(GFS)の、物理の方程式で計算するモデル

  • 台湾の南端〜台北の南あたりへ北西進
  • 気象庁の予報もこちらに近い
北へ曲がる傾向(AIモデル)

ECMWFのAIモデル「AIFS」、Google DeepMindのモデルなど

  • 台湾の手前で北へ転向し、台北の北東へ
  • 中でもECMWFのAI(AIFS)のアンサンブルがもっとも大きく北へ曲げている
  • 米軍JTWCはこちらに寄せた

同じヨーロッパの計算でも、物理モデルは西寄り、AIモデルは北寄りと傾向が違うわけです。ウェザーニュースも「物理モデルとAI予測に大きな差」と伝えています。各機関のアンサンブル(少しずつ条件を変えた計算)による24日15時ごろの予測位置も、台湾の東から長崎県・佐世保の南西まで広く散らばっていて、進路はまだ絞り込めていません。

沖縄・先島諸島・台湾・本州への影響は?

先島諸島(宮古島・石垣島・与那国島)は?

気象庁・米軍どちらの中心予想でも近くを通るため、特に注意が必要です。tenki.jpは先島諸島で21日から高波に警戒するよう呼びかけています。中心がいちばん近づくのは、いまの予想では23〜24日ごろです。

沖縄本島は?

中心は南を通る予想ですが、大型の台風(強風域が広い)なので、うねりや風の強まりに注意してください。

本州・九州への影響は?

直接の影響は、まだ判断できる段階ではありません。北へ曲がる進路になった場合は、その後の動きに注意してください。

名前「チャンパー」の意味は?台風の名前一覧はこちら

台風30号の名前「チャンパー(Champi)」はラオスが提案した名前で、意味は「赤いジャスミン」(気象庁)。花の名前です。台風が30号まで発生するのは、フィリピンに大きな被害を出した台風「ハイエン」が30号だった2013年以来、13年ぶりです。次に発生する31号の名前は「インファ」(広東語で「花火」)の予定です。

次の台風の名前・由来・意味がすぐわかる台風の名前チェッカー(台風の名前一覧140個)今年の台風の名前一覧、次に来る名前、日本が付けた星座の名前、引退した名前まで検索できます。名前一覧を見る ▶

ニュースで使う台風の英語

Super Typhoonスーパー台風(米軍の1分平均で130ノット以上)Super Typhoon Champi is moving west-northwest.
forecast track予想進路The forecast track shifted north.
recurve(台風が)北へ向きを変える、転向するChampi may recurve near Taiwan.
make landfall上陸するIt could make landfall on the east coast of Taiwan.

台風の名前のしくみや英語の呼び方は、台風の名前チェッカーでもくわしく解説しています。

※進路予想は数時間おきに更新されます。避難や移動の判断は、必ず気象庁と自治体の最新の発表で確かめてください。

出典:気象庁「台風情報」(10月19日18時45分発表)/Joint Typhoon Warning Center「Super Typhoon 29W (Champi) Warning Nr 020」と予報理由(Prognostic Reasoning、19日09UTC)/ウェザーニュース「台風30号 物理モデルとAI予測に大きな差」「台風30号(チャンパー)発生 30号到達は13年ぶり」/tenki.jp「台風30号が猛烈な勢力に」/気象庁「台風の名前」一覧