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恋の「じらし」は効く? 自分を好きか分からない男性に一番ひかれた実験、のちに逆の結果も

恋の「じらし」は効く? 自分を好きか分からない男性に一番ひかれた実験、のちに逆の結果も

読む前に予想してみよう!

好きかどうか分からない態度をとれば、だれでも相手に好かれやすくなる

研究カード(どんな研究?)
対象
アメリカの女子大学生/アメリカとイギリスの大人
規模
47人(もとの実験)、42人と78人(追試)、543人(デートのあとの連絡の実験)
研究の種類
実験(ランダムに条件を分けた)
確かさ
★★☆☆☆
3秒でわかる

2011年の実験では、自分を好きか分からない男性に女子大学生が一番ひかれた。だが追試では「確実に好いてくれる相手」のほうが多く選ばれ、初デートを想像する実験では連絡が2日後だと評価が一番低かった。

ひとことで言うと「自分を好きか分からない」相手に一番ひかれた実験がある。でも、そのあと逆の結果も出た!

もくじ
  1. 女子学生に見せたのは、架空の男子4人のプロフィール
  2. 好かれているか分からない相手に、一番ひかれ一番考えた
  3. 同じやり方で調べ直すと、選ばれたのは「確実に好いてくれる人」
  4. 「もっと手に入れたい」と「好き」は別の気持ち
  5. デートのあとの連絡は「翌朝」が一番だった
  6. 結局、じらすと好かれるの?
  7. まとめ

女子大学生がいちばんひかれたのは、自分を高く評価した男性ではありませんでした。自分を好きかどうか分からないと伝えられた男性でした。2011年にアメリカで発表された実験の結果です。恋愛の話でよく聞く「好きでも、すぐには気持ちを見せずにじらしたほうがいい」を裏づけるように見えます。

ところが心理学では長く、その逆が基本とされてきました。人は、自分を好いてくれる人を好きになる、という考え方です。この実験は、バージニア大学などのチームがその基本に「待った」をかけたものでした。参加者は、バージニア大学の女子大学生47人です。

でも、その後の研究を並べると話が変わります。別の大学が同じやり方で調べると、多く選ばれたのは「確実に好いてくれる人」でした。2025年に543人に初デートを想像してもらった実験では、相手からの連絡が2日後だと、関係を深めたい気持ちが一番低くなりました。

01女子学生に見せたのは、架空の男子4人のプロフィール

舞台はSNSのFacebook(フェイスブック)です。女子学生は事前に、自分のプロフィールのページをほかの大学の学生に見せることに同意していました。

実験の日、係の人はこう説明します。ほかの大学の男子学生たちが、あなたのプロフィールを見ました。そして、あなたと仲良くなれそうかを点数にしました、と。

そのあと女子学生は、男子学生4人のプロフィールを見ます。実はこの4人は、研究チームが作った架空の人物でした。

女子学生は、くじで3つのグループに分けられました。グループごとに違うのは、4人についての説明だけです。

  • 「高い点」グループ:この4人は、あなたに一番高い点をつけた人たち
  • 「平均」グループ:この4人は、あなたに平均くらいの点をつけた人たち
  • 「分からない」グループ:この4人が「一番高い点」の人たちか「平均」の人たちかは、あなたにも係の人にも分からない

02好かれているか分からない相手に、一番ひかれ一番考えた

まず、「高い点」と「平均」のグループを比べると、予想どおりでした。高く評価してくれた男性のほうに、より強くひかれていました。

ところが「分からない」グループは、「高い点」のグループよりも強く男性たちにひかれていました。男性たちのことを一番よく考えていた、とも答えました。著者たちの説明はこうです。分からないから、つい相手のことを考える。何度も考えるうちに、自分は相手が好きなのだと感じる。ただし、「考えた量」が魅力を高めたという分析の裏づけは「まだ仮のもの」と、著者たち自身が書いています。

この研究には弱点もはっきりあります。人数は50人に届かず、女性だけ。相手は会ったことのない、写真と文だけの架空の男性です。

03同じやり方で調べ直すと、選ばれたのは「確実に好いてくれる人」

2015年、アメリカのデイトン大学のモントーヤ(Montoya)さんたちが、同じやり方で2つの実験をしました。

1つめの実験では、42人の女子学生が12人分のプロフィールを見ました。「一番高い点」「平均」「分からない」の男性が4人ずつまざっています。好きな気持ちも、会ってみたい気持ちも、一番強かったのは「一番高い点」の男性でした。最後に「会ってみたい4人」を選ぶと、平均で1.85人が「一番高い点」の男性、1.37人が「分からない」男性、0.78人が「平均」の男性でした。

2つめの実験は、もとの研究と同じく、1人が1つのグループだけを見る形にしました(78人)。こんどは、「分からない」と「一番高い点」のあいだに、はっきりした差は出ませんでした。

「分からない」グループでは、男性に近づきたい気持ちが強い人ほど、「本当に私に興味があるのか確かめたい」気持ちも強くなっていました。チームは、もとの研究の質問にも注目しています。6つのうち4つは「友達になりたいか」「付き合いたいか」など、近づきたい気持ちを聞くものでした。「好きか」を聞いたのは1つだけです。恋の気持ちそのものが強まったとは言い切れない、という指摘です。

12人分のプロフィールから「会ってみたい4人」を選ぶ実験のイメージ(論文の図ではありません)
12人分のプロフィールから「会ってみたい4人」を選ぶ実験のイメージ(論文の図ではありません)

04「もっと手に入れたい」と「好き」は別の気持ち

2014年、香港中文大学などのチームが2つの実験で報告しています。相手が手に入りにくいと、「もっと手に入れたい」気持ちは強くなる。でも同時に、「好き」という気持ちは弱くなる。しかもそれは、その相手とこの先も関わろうと心が決まっている人だけに起きました。そうでない人では、どちらの気持ちも下がりました。

じらされて相手が気になるのは、好きが深まったからとは限らないのです。

05デートのあとの連絡は「翌朝」が一番だった

ドイツのロイファナ大学リューネブルクのチームは2025年、身近な場面で調べました。対象は、ネットで集めたアメリカとイギリスの大人543人です。

参加者は、イタリア料理店でのデートの場面を読み、相手から連絡が来るタイミングを3通りのどれかで伝えられました。「別れた直後」「翌朝」「2日後」です。そのうえで、この人と関係を深めたいかを点数で答えました。

関係を深めたい気持ちが一番高かったのは「翌朝」でした。「別れた直後」はそれより低く、「2日後」が一番低くなりました。翌朝を頂点とする山なりの形は、統計の分析でも確かめられています。すぐに送るほどよい、というわけでもないのです。

2日後の連絡では、「相手に好かれている」「頼れる人だ」という感じ方も弱まりました。待たされても、相手のことを考える量がはっきり増えたとは言えません。2011年の研究が考えた「分からないから、つい考える」は、ここでは確かめられませんでした。女性のほうが、連絡のタイミングで答えが大きく変わる傾向がありました。

ただしこれは、想像の場面で答えた実験です。メッセージの中身は伝えていません。3日以上待つ場合も調べていません。

デートの翌朝に届いたメッセージのイメージ(論文の図ではありません)
デートの翌朝に届いたメッセージのイメージ(論文の図ではありません)

06結局、じらすと好かれるの?

「じらせば好かれる」とは言い切れません。比べ方を変えると「確実に好いてくれる人」のほうが選ばれ、初デートを想像する実験では、連絡が2日後だと相手の気持ちは下がりました。

返信が来ない相手のことが頭から離れないのは、相手が特別だからとは限りません(返信待ちのソワソワの記事)。人は初対面の相手に、自分が思う以上に好かれていることも分かっています(好かれ度ギャップの記事)。

07まとめ

「好きか分からない相手にひかれる」は、2011年の実験で一度は示されました。でもその後は、「確実に好いてくれる人」のほうが選ばれたり、想像の初デートで連絡が2日後だと気持ちが下がったりしています。じらしが効くとしても、条件つきです。

次は、実際に出会った人どうしを長く追う研究が必要です。「手に入れたい」と「好き」を分けて測れば、じらしで恋が深まるのかが見えてきそうです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerDo we fall for people who keep us guessing? 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Do we fall for people who keep us guessing? In a 2011 experiment at the University of Virginia, college women viewed the Facebook profiles of four men. They were told the men had rated them highly, had rated them as average, or that nobody knew which. The women who were left unsure felt the strongest attraction and said they thought about the men the most.

Later research made the story less simple. In 2015, a team at another university showed similar profiles to 42 women, and the women most often chose men who clearly liked them. A 2025 study of 543 adults found that after an imagined first date, a message sent the next morning worked better than one sent two days later.

123 words ・ CEFR B1

和訳を見る

人は、気持ちが読めない相手にひかれるのだろうか。2011年のバージニア大学の実験で、女子大学生たちは男性4人のフェイスブックのプロフィールを見た。男性たちが自分を高く評価した、平均的に評価した、あるいはどちらかだれにも分からない、と伝えられた。分からないままにされた女性たちが最も強くひかれ、男性たちのことを一番よく考えたと答えた。

その後の研究で、話はそれほど単純ではなくなった。2015年、別の大学のチームが42人の女性に似たプロフィールを見せると、女性たちが最も多く選んだのは、はっきり自分を好いている男性だった。2025年の543人の大人の研究では、想像の初デートのあと、翌朝に送ったメッセージのほうが、2日後に送ったものより効果があった。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the main idea of the passage?

Q2. In the 2015 study, which men did the women choose most often?

Q3. Which piece of advice fits the 2025 study best?

重要単語

  • uncertaintyB2
    名詞不確かさ、分からないことThe uncertainty made her check her phone again. un-(否定)+certain(確かな)+-ty。uncertain は形容詞「不確かな」
  • attractionB1
    名詞ひかれること、魅力They felt an instant attraction to each other. 動詞 attract(引きつける)。tourist attraction は「観光名所」
  • reciprocityC1
    名詞相互性、お返しの関係Reciprocity is common in friendship. 形容詞 reciprocal(おたがいの)。心理学・経済学の長文で頻出
  • profileB1
    名詞(SNSなどの)自己紹介ページ、横顔He added a new photo to his profile. もとは「横顔」。keep a low profile は「目立たないようにする」
  • follow-upB2
    名詞追加の研究、その後の確認A follow-up study found a different result. 動詞句 follow up(追って調べる・連絡する)から。ハイフンつきで名詞・形容詞になる
  • backfireB2
    動詞裏目に出る、逆効果になるHis plan to look cool backfired. もとは銃や車のエンジンの「逆火」。plan や joke が主語になることが多い
  • imaginedB1
    形容詞想像上のParticipants read about an imagined first date. 動詞 imagine の過去分詞。imaginary(架空の)と近い意味
「自分を好きかどうか分からない男性」に、女子大学生が一番ひかれた――2011年の実験です。ただ、その後の追試では「確実に好いてくれる人」のほうが多く選ばれ、初デートを想像する実験では、連絡が2日後だと評価が一番低くなりました。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Whitchurch, Wilson & Gilbert (2011) "He Loves Me, He Loves Me Not . . .": Uncertainty Can Increase Romantic Attraction, Psychological Sciencedoi.org
  2. Whitchurch (2009) When Honesty Isn't the Best Policy: The Positive Effects of Uncertainty on Romantic Attraction(博士論文, University of Virginia)doi.org
  3. Montoya, Faiella, Lynch, Thomas & DeLuca (2015) Further Exploring the Relation Between Uncertainty and Attraction, Psychologiadoi.org
  4. Dai, Dong & Jia (2014) When does playing hard to get increase romantic attraction?, Journal of Experimental Psychology: Generaldoi.org
  5. Teichmann, Petrowsky, Boecker, Soliman & Loschelder (2025) How the timing of texting triggers romantic interest after the first date: A curvilinear U-shaped effect and its underlying mechanisms, Journal of Social and Personal Relationshipsdoi.org