心理学ホント

返信が来ないとソワソワするのはなぜ? 「確実に痛い」より「痛いかも」のほうがストレスが大きかった

返信が来ないとソワソワするのはなぜ? 「確実に痛い」より「痛いかも」のほうがストレスが大きかった

読む前に予想してみよう!

悪いことが確実に起きると分かっているときのほうが、起きるか分からないときよりストレスが大きい

研究カード(どんな研究?)
対象
英国の成人/米国の大学生
規模
45人の実験/数十人の実験
研究の種類
実験
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

電気ショックが「来るかどうか分からない」ときのほうが、「確実に来る」ときよりストレス反応が大きかった。返信待ちの不安の正体は、この"不確実さ"かもしれない。

ひとことで言うと「どうなるか分からない」が、いちばん心をザワザワさせる!

もくじ
  1. 「確実なショック」より「かもしれないショック」
  2. 「分からない」相手が気になってしまう理由
  3. 「分からなさ」に弱い人もいる
  4. まとめ

メッセージを送って、1時間。既読はついたのに、返信がない。

「何か怒らせた?」「嫌われた?」——頭の中で、悪い想像がどんどん膨らんでいく。そんな経験、ありませんか?

不思議なのは、もし「ごめん、今日は忙しくて返せない」と一言あれば、それだけで気持ちがぐっとラクになること。私たちを苦しめているのは、悪い知らせそのものより、「どうなっているか分からない」ことなのかもしれません。

01「確実なショック」より「かもしれないショック」

これを実験で示したのが、ロンドン大学(UCL)の研究チームです。

人間の脳は、未来を予測して備えるようにできています。だから、予測ができない状態では、ストレスの「警報」が鳴りやすくなるのです。確実に悪いことが起きると分かっていれば、覚悟を決めて備えられる。でも「分からない」と、脳はずっと身構えたままになってしまいます。

02「分からない」相手が気になってしまう理由

不確実さは、不安だけでなく、相手への関心も高めます。

2011年、アメリカの研究では、女子大学生に、ある男子学生たちが自分のプロフィールを見て評価した、という情報を伝えました。「とても好意的に評価した」と伝えた場合、「平均的に評価した」と伝えた場合、そして「とても好意的か平均的かのどちらか分からない」と伝えた場合を比べると、分からないと伝えられた条件で、相手のことをいちばんよく考え、魅力的だと感じる傾向がありました。

返信が遅い相手のことばかり考えてしまうのも、相手が特別だからではなく、「分からなさ」が頭から離れないせいかもしれません。

情報が足りないと、脳は勝手に"悪い想像劇"を上演してしまう
情報が足りないと、脳は勝手に"悪い想像劇"を上演してしまう

03「分からなさ」に弱い人もいる

不確実さへの弱さには、個人差もあります。

心理学では「不確実性への不耐性」と呼ばれる特性が研究されていて、これが高い人ほど、心配や不安が強くなりやすいことが分かっています。2016年のレビューでは、不確実性への不耐性と近い概念である「未知への恐れ」が、さまざまな不安の問題に共通する重要な概念として論じられています。

04まとめ

返信待ちのソワソワは、あなたが心配性だからではなく、脳が「分からない」に警報を鳴らしているから。ある意味、とても正常な反応です。

その仕組みを知っていれば、「あ、今、分からなさに反応してるな」と一歩引いて見られます。不安が強すぎて眠れない・日常生活に支障が出る、という状態が続くなら、専門家に相談するのも大切な選択肢です。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerWhy do we feel so anxious when a reply does not come? 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Why do we feel so anxious when a reply does not come? A 2016 study at University College London suggests that uncertainty itself is stressful. In the experiment, 45 people played a computer game in which they turned over rocks. If a snake was under a rock, they received a painful electric shock.

Because the chance of finding a snake kept changing, they had to keep predicting. Their stress responses were not highest when a shock was certain, but when it was hardest to predict. Uncertainty can also make us think about someone more. In a 2011 study, women who did not know how much some men liked them thought about those men the most.

115 words ・ CEFR B1

和訳を見る

返信が来ないと、なぜこれほど不安になるのでしょうか?ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンで行われた2016年の研究は、不確実さそのものがストレスになることを示唆しています。実験では、45人が石をひっくり返すコンピューターゲームをしました。石の下にヘビがいると、痛みのある電気ショックを受けました。

ヘビが見つかる確率は変わり続けたので、彼らは予測し続けなければなりませんでした。ストレス反応が最も高かったのは、ショックが確実なときではなく、最も予測しにくいときでした。不確実さは、私たちに誰かのことをより多く考えさせることもあります。2011年の研究では、男性たちがどのくらい自分を好いているのかわからなかった女性は、その男性たちのことを最もよく考えていました。

4択リーディングクイズ

Q1. What happened when a snake was under a rock?

Q2. When were stress responses highest?

Q3. What does the 2011 study suggest?

重要単語

  • uncertaintyB2
    名詞不確実さUncertainty can make waiting painful. 形容詞 uncertain。be uncertain about / whether ~ の形で使う。反対は certainty。
  • anxietyB2
    名詞不安Waiting for results causes anxiety. 形容詞 anxious は be anxious about ~(~を心配する)と be anxious to do(~したがる)で意味が違う点が入試頻出。
  • predictB1
    動詞予測するIt is hard to predict what others think. 形容詞 predictable / unpredictable。prediction は名詞。
  • intoleranceC1
    名詞耐えられないこと、不寛容Intolerance of uncertainty is linked to worry. tolerate(我慢する)の名詞形 tolerance に否定の in-。lactose intolerance=乳糖不耐症。
  • reassuranceC1
    名詞安心させることShe kept checking her phone for reassurance. 動詞 reassure(安心させる)。seek reassurance=安心を求める。
  • anticipateB2
    動詞予期する、見越して備えるOur brains try to anticipate danger. anticipate doing の形(不定詞は不可)。名詞 anticipation。expect より「前もって備える」ニュアンス。
  • proneC1
    形容詞~しがちな、~の傾向があるHe is prone to worry. be prone to ~ / to do で悪い傾向に使う。accident-prone=事故を起こしやすい。
「確実に電気ショックが来る」より「来るか来ないか分からない」ときのほうが、人のストレス反応は大きかったらしい。既読がつかない、返信が来ない…あのソワソワの正体は、悪い知らせより"分からなさ"なのかも。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. de Berker et al. (2016) Computations of uncertainty mediate acute stress responses in humans, Nature Communicationsdoi.org
  2. Whitchurch, Wilson & Gilbert (2011) "He loves me, he loves me not...": Uncertainty can increase romantic attraction, Psychological Sciencedoi.org
  3. Carleton (2016) Into the unknown: A review and synthesis of contemporary models involving uncertainty, Journal of Anxiety Disordersdoi.org