心理学ホント

会話が「2人とも終わりたい時」に終わることは、ほぼなかった。932の会話を調べた研究

会話が「2人とも終わりたい時」に終わることは、ほぼなかった。932の会話を調べた研究

読む前に予想してみよう!

会話は、たいてい2人とも「もう終わりにしたい」と思ったタイミングで終わる

研究カード(どんな研究?)
対象
米国の成人
規模
932の会話
研究の種類
オンライン調査+実験室での会話実験
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

932の会話を調べると、会話が「2人とも終わりたい」タイミングで終わることはほとんどなく、望んだ長さと実際の長さのズレは平均で会話の約半分にもなった。

ひとことで言うと会話は、2人の「もう終わりたい」がそろわないまま終わっている!

もくじ
  1. 932の会話で「終わりたかった時」を聞いた
  2. なぜ、ちょうどよく終われないのか
  3. 会話の"テンポ"は、心のつながりのサイン
  4. まとめ

友達との電話、そろそろ切りたいけど、自分から「じゃあね」と言うのは悪い気がする。逆に、もっと話したかったのに、相手が「じゃ、また!」とあっさり切ってしまった——。

会話の"終わり方"って、なんだか難しいと思いませんか? 実はこの問題、ハーバード大学などの研究者たちが、本気で調べていました。そして出てきた答えは、思わず「マジか」と言いたくなるものでした。

01932の会話で「終わりたかった時」を聞いた

さらにこんなことも分かりました。

  • 会話が、少なくともどちらか一方が終わりたいタイミングで終わることも、まれだった
  • 本人が望んだ長さと実際の長さのズレは、平均で会話全体の長さの約半分にもなった
  • そして人は、相手がいつ終わりたいかを、ほとんど当てられなかった

「もっと話したかった」人と「早く終わりたかった」人が、相手の気持ちを知らないまま、なんとなく会話を終えていた——。研究チームは、ほとんどの会話は"誰も望んでいないタイミング"で終わっているように見えると述べています。

02なぜ、ちょうどよく終われないのか

研究者たちは、これを「調整問題」と呼んでいます。

2人が同時に終わりたいタイミングを見つけるには、お互いの気持ちを知る必要があります。でも、「そろそろ終わりたい」と正直に言うのは、相手を傷つけそうで言いにくい。だから、みんな本音を隠したまま会話を続け、情報が足りないまま、なんとなく終わらせるしかないのです。

本音を隠したまま、会話の出口を探している
本音を隠したまま、会話の出口を探している

03会話の"テンポ"は、心のつながりのサイン

会話の終わりは難しくても、会話の途中には、相手の気持ちを読み取るヒントがあります。

ダートマス大学などの研究では、友達同士や初対面の2人に会話をしてもらい、どれくらい「通じ合った」と感じたかを調べました。すると、相手が素早く返事をしてくれた会話ほど、つながりを強く感じていたのです。その速さは0.25秒未満という、意識してコントロールするのが難しいレベルの違いでした。

人間の会話のテンポは、世界中でかなり共通しています。10の言語を比べた研究では、どの言語でも、話が重なるのを避けつつ、沈黙をできるだけ短くするという共通のルールが見つかりました。言語ごとの平均的な"間"の違いは、全言語の平均から前後0.25秒ほどの範囲に収まっていたのです。

04まとめ

会話が「2人とも終わりたい時」に終わることは、ほとんどありませんでした。それは誰かが悪いのではなく、本音を言いにくいからこそ起こる「調整の難しさ」なのです。

だから、会話の終わり方に悩みすぎなくて大丈夫。「楽しかった、また話そう」——その一言があれば、たとえタイミングがずれても、気持ちは伝わりやすくなるかもしれません。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerEnding a conversation can feel awkward. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Ending a conversation can feel awkward. Researchers at Harvard and other universities examined 932 conversations in two studies. In the first, people remembered a recent conversation with someone such as a family member or friend. In the second, pairs of strangers talked freely in a lab.

Afterwards, each person reported when they had wanted the conversation to end and guessed when their partner had wanted it to end. Conversations almost never ended when both people wanted them to, and rarely even when one person wanted.

On average, the difference between desired and actual length was about half of the conversation. People were also very poor at guessing their partner's wishes. The researchers called this a "coordination problem."

117 words ・ CEFR B1

和訳を見る

会話を終わらせるのは気まずく感じることがあります。ハーバード大学などの研究者たちは、2つの研究で932の会話を調べました。1つ目では、人々が家族や友達などとの最近の会話を思い出しました。2つ目では、初対面の2人が実験室で自由に話しました。

そのあと、それぞれの人が、自分がいつ会話を終えたかったか、そして相手がいつ終えたかったと思うかを答えました。会話が2人ともの望んだときに終わることはほとんどなく、一方が望んだときに終わることさえまれでした。

平均すると、望んだ長さと実際の長さの差は、会話の約半分でした。人々はまた、相手の希望を推測するのがとても苦手でした。研究者たちはこれを「調整問題」と呼びました。

4択リーディングクイズ

Q1. Who took part in the second study?

Q2. What was the average gap between desired and actual length?

Q3. Why might this be called a "coordination problem"?

重要単語

  • coordinationC1
    名詞調整、連携Team sports need good coordination. co(共に)+ordinate(並べる)。coordination problem「調整問題」はゲーム理論の用語。
  • durationB2
    名詞長さ、継続時間The duration of the meeting was one hour. during(~の間)と同語源。for the duration of ~「~の間ずっと」。
  • partnerA2
    名詞(会話などの)相手My conversation partner was very friendly. 恋人だけでなく、会話・仕事・ゲームなどの「相手」全般に使う。
  • signalB1
    名詞・動詞合図、サイン/合図するA smile is a friendly signal. 動詞として signal that ~「~だと示す」の形でも長文に出る。
  • respondB1
    動詞応答するPlease respond to my message soon. respond to ~「~に応じる」。名詞 response。
  • inaccurateB2
    形容詞不正確なHis guess was completely inaccurate. in(否定)+accurate(正確な)。名詞は inaccuracy。

4コマでわかる

会話が「2人とも終わりたい時」に終わることは、ほぼなかった。932の会話を調べた研究の4コマ漫画
932の会話を調べたら、会話が「2人とも終わりたいと思った時」に終わることは、ほとんどなかったらしい。望んだ長さと実際の長さのズレは平均で会話の半分くらい。しかも相手がいつ終わりたいかは、ほぼ分かっていなかった。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Mastroianni et al. (2021) Do conversations end when people want them to?, PNASdoi.org
  2. Templeton et al. (2022) Fast response times signal social connection in conversation, PNASdoi.org
  3. Stivers et al. (2009) Universals and cultural variation in turn-taking in conversation, PNASdoi.org