語学・英語学習ホント

日本人の英語の「わかりやすさ」と強く関連していたのは、「えーと」と文の途中の沈黙だった

日本人の英語の「わかりやすさ」と強く関連していたのは、「えーと」と文の途中の沈黙だった

読む前に予想してみよう!

この研究では、日本語で話すときの話し方のクセが、英語のわかりやすさの評価と最も強く関連していた

研究カード(どんな研究?)
対象
日本人の英語学習者(初中級)
規模
30人
研究の種類
横断的な音声分析研究
確かさ
★★☆☆☆
3秒でわかる

日本人英語学習者30人のスピーチを分析。英語母語話者の「わかりやすい」評価と最も強く関連していたのは、「えーと」の多さ、文の途中の沈黙、話す速さだった。

ひとことで言うと英語は、文の切れ目以外で止まらないだけで伝わりやすくなるかも!

もくじ
  1. 「わかりやすさ」と「なまり」は別もの
  2. 伝わりやすさと強く関連していた3つの特徴
  3. 日本語のクセより「英語での話し方」が大事
  4. まとめ

英語を話すとき、「発音が悪いから伝わらないんだ」と落ち込んだことはありませんか? でも実は、伝わりやすさを決めているのは、発音だけではないかもしれません。

2026年9月、学術誌『Language and Speech』に、県立広島大学、京都外国語大学、広島大学の研究者による論文が発表されました。日本人の英語学習者の英語を分析したところ、ネイティブが感じる「わかりやすさ」と強く関連していたのは、「えーと」の多さと、文の途中の沈黙だったのです。

01「わかりやすさ」と「なまり」は別もの

英語教育の研究では、

  • なまり(accentedness):母語話者とどれくらい違って聞こえるか
  • 理解しやすさ(comprehensibility):聞き手がどれくらい楽に理解できるか

を分けて考えます。なまりが強くても、理解しやすい英語は十分ありえる——これは1990年代から示されてきた考え方です(Derwing & Munro, 1997)。今回の研究は、この「理解しやすさ」に注目しました。

02伝わりやすさと強く関連していた3つの特徴

統計的に予測力の高い特徴を絞りこんだところ、英語の理解しやすさと最も強く関連していたのは、

  1. 「えーと」「uh」などの言いよどみの割合
  2. 節(文のまとまり)の途中での沈黙
  3. 発話速度(間を除いた話す速さ)

の3つ。この3つで、聞き手の評価のばらつきのほぼ半分を説明できました。

ポイントは「どこで止まるか」。文の切れ目での間は自然ですが、「I went to the… (沈黙) …station」のように意味のまとまりの途中で止まると、聞き手は内容を追いにくくなります。

意味の切れ目で止まるのはOK。まとまりの途中で止まると伝わりにくい
意味の切れ目で止まるのはOK。まとまりの途中で止まると伝わりにくい

03日本語のクセより「英語での話し方」が大事

おもしろいのは、日本語と英語の話し方のつながりです。

  • 沈黙の取り方は、日本語と英語でそこそこ似ていた(相関 r = .46〜.51)
  • 言い直しのクセは、さらに強く似ていた(r = .63〜.80)

つまり、「言い直しが多い人は、日本語でも英語でも多い」という個人のクセはあるのです。

ところが、日本語の話し方と英語の話し方を両方分析に入れると、わかりやすさを予測したのは英語での話し方だけでした。母語での話し方のクセより、英語そのものでの話し方のほうが、伝わりやすさと強く結びついていたことになります。

04まとめ

「伝わる英語」に必要なのは、ネイティブのような発音だけではないかもしれません。意味のまとまりの途中で止まらないこと。それだけで、あなたの英語はぐっと聞きやすくなる可能性があります。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerJapanese learners often assume that a strong accent is the main reason their English is hard to follow. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Japanese learners often assume that a strong accent is the main reason their English is hard to follow. However, a study by researchers from three universities in Hiroshima and Kyoto looked at a different factor, fluency. Thirty lower-intermediate Japanese learners of English did similar speaking tasks in both Japanese and English.

Native English speakers then rated how easy the English recordings were to understand. The most important factors were how often speakers used fillers such as "uh," how often they fell silent in the middle of a clause, and how fast they spoke. Learners' speaking habits in Japanese were similar to those in English, but only their English speaking style predicted the ratings.

113 words ・ CEFR B1

和訳を見る

日本人学習者はしばしば、強いなまりこそが自分の英語を分かりにくくしている主な理由だと考えます。しかし、広島と京都の3つの大学の研究者による研究は、別の要因である流暢さに注目しました。初中級の日本人英語学習者30人が、日本語と英語の両方で似た形式のスピーキング課題を行いました。

その後、英語を母語とする人たちが、英語の録音がどれくらい理解しやすいかを評価しました。最も重要な要因は、「uh」のようなつなぎ言葉をどれくらい使うか、節の途中でどれくらい黙ってしまうか、そしてどれくらい速く話すかでした。学習者の日本語での話し方のクセは英語での話し方と似ていましたが、評価を予測したのは英語での話し方だけでした。

4択リーディングクイズ

Q1. What does the study suggest?

Q2. What did the 30 learners do in the study?

Q3. What can we infer from the last sentence?

重要単語

  • comprehensibilityC1
    名詞理解しやすさComprehensibility matters more than a perfect accent. comprehend(理解する)+-ible(できる)+-ity。comprehensive(包括的な)との混同に注意。
  • fluencyB2
    名詞流暢さPractice can improve your fluency. 形容詞 fluent(流暢な)。ラテン語 fluere(流れる)から。fluid(液体)と同語源。
  • filled pauseC1
    名詞(句)言いよどみ(「えーと」「uh」など)Too many filled pauses can distract listeners. 声で「埋められた(filled)」間。黙っている間は silent pause。filler(つなぎ言葉)とも言う。
  • clauseB2
    名詞節(主語と動詞を含むまとまり)Try to pause between clauses, not inside them. 文法用語で必須。relative clause(関係詞節)。契約書の「条項」の意味もある。
  • articulation rateC1
    名詞(句)発話速度(間を除いた話す速さ)His articulation rate was quite fast. articulate は「はっきり発音する/明確に述べる」。形容詞 articulate は「表現力のある」。
  • accentB1
    名詞なまり、アクセントShe speaks English with a slight Japanese accent. with an accent で「なまりのある」。研究では accentedness(なまりの強さ)という語も使う。
  • predictorC1
    名詞予測因子Speaking speed was a strong predictor of the ratings. predict(予測する)+-or。a strong predictor of ~「~をよく予測する要因」は研究紹介の定番。
日本人の英語学習者30人のスピーチを分析したら、ネイティブが感じる「わかりやすさ」と強く関連していたのは「えーと」の多さ、文の途中の沈黙、話す速さだったらしい。日本語での話し方のクセより英語での話し方が効いていた。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Clingwall, Brooks & Clenton (2026) Investigating the Comprehensibility Paradigm: Key Fluency Predictors in L1 English Speakers' Evaluations of Japanese Speakers' L2 English, Language and Speechdoi.org
  2. Derwing & Munro (1997) Accent, intelligibility, and comprehensibility, Studies in Second Language Acquisitiondoi.org
  3. Suzuki, Kormos & Uchihara (2021) The Relationship Between Utterance and Perceived Fluency: A Meta-Analysis of Correlational Studies, The Modern Language Journaldoi.org