語学・英語学習ホント

英作文は「書いてから、お手本と見比べる」が効く。“自分で気づいた表現”ほど残った

英作文は「書いてから、お手本と見比べる」が効く。“自分で気づいた表現”ほど残った

読む前に予想してみよう!

英作文のお手本は、自分で書く前に読んだほうが、書いた後に読むより必ず学びが大きい

研究カード(どんな研究?)
対象
日本人大学生、カナダの中国語話者など
規模
数人〜数十人規模
研究の種類
記述的研究・事例研究
確かさ
★★☆☆☆
3秒でわかる

先に英作文を書き、後でお手本と比べると、学習者は自分が困った部分の表現を見つけて取り込んだ。書く途中で困った表現ほど長く残った。

ひとことで言うとまず自分で書く→お手本と見比べる。「言えなかった所」の答えは一生ものになる!

もくじ
  1. 4段階の英作文実験
  2. 「書く」ことで、自分の“穴”が見える
  3. どんでん返し:レベルによって「気づく量」が違う
  4. まとめ

英作文の勉強法として、お手本の英文を読んでマネするのは定番です。でも、お手本を読むタイミングは書く前がいいのでしょうか、それとも書いた後?

日本の大学生を対象にした研究から、「まず自分で書いて、それからお手本と見比べる」ことの強みが見えてきました。

014段階の英作文実験

つまり、書いている最中に「これ英語で何て言うんだろう?」と困った経験が、お手本を読むときの「探しもの」になっていたのです。探していた答えを見つけたとき、その表現はしっかり記憶に残る。

一方、自分が困っていなかった部分の表現は、お手本に書かれていても、取り込まれにくかったのです。

02「書く」ことで、自分の“穴”が見える

カナダの言語学者スウェインとラプキンは1995年、学習者が書く途中で「言いたいことが言えない」という問題に気づくと、その表現について考える学習のプロセスが動き出すことを示しました。

書くことは、自分の英語の「穴」を見つけるセンサーのようなものです。そして、穴が見えた状態でお手本を読むと、ピッタリの答えが目に飛び込んでくる。

花岡と泉による2012年の続編研究でも、花岡と泉による2012年の続編研究でも、学習者が書く途中で抱えた、まだ言葉になっていない問題への気づきと、お手本からの取り込みが調べられています。が詳しく調べられています。

自分の作文の「穴」がわかっていると、お手本からピースを見つけられる
自分の作文の「穴」がわかっていると、お手本からピースを見つけられる

03どんでん返し:レベルによって「気づく量」が違う

ただし、この方法にも限界があります。

花岡の研究では、英語の熟達度が高い学習者ほど、お手本と見比べたときに多くのことに気づいた一方、熟達度が低い学習者は気づく量が少なめでした。

カナダで中国語話者2人を詳しく調べたチーとラプキンの2001年の事例研究でも、気づきの「質」が大切だと指摘されています。単に「違う」と気づくだけでなく、なぜそう書くのかまで理解する深い気づきのほうが、書き直しの改善につながっていました。

また、これらの研究は少人数で、比べるグループのない記述的な研究が中心です。「お手本比較が他の方法より優れている」と言い切るには、まだ証拠が足りません。

04まとめ

英作文は、まず自分で書いて「言えない!」と困り、そのあとでお手本を見る。この順番が、新しい表現を自分のものにする近道になりそうです。

次の英作文では、詰まった所に★をつけておきましょう。お手本の中にその答えを見つけた瞬間、その表現はあなたの英語の一部になります。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerModel texts are a common tool for learning to write in English, but when should learners read them? 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Model texts are a common tool for learning to write in English, but when should learners read them? In a 2007 study, Hanaoka gave Japanese university students a four-stage task. First, they wrote a story based on pictures while noting any problems.

Next, they compared their stories with two model texts written by native speakers. Then they rewrote the story immediately, and again after some time. Most of what the students noticed was vocabulary. Expressions related to problems they had faced while writing were often taken from the models and remembered in later rewrites.

So struggling to say something gave them a reason to look for the answer. However, more proficient students noticed more, and the study had no comparison group.

121 words ・ CEFR B1

和訳を見る

お手本の文章は英語で書くことを学ぶための一般的な道具ですが、学習者はいつそれを読むべきなのでしょうか。2007年の研究で、花岡は日本の大学生に4段階の課題を与えました。まず、学生たちは困ったことをメモしながら、絵をもとに物語を書きました。

次に、自分の物語をネイティブスピーカーが書いた2つのお手本と比べました。そして、すぐに物語を書き直し、時間をおいてもう一度書き直しました。学生たちが気づいたことの大部分は語彙でした。書いている間に直面した問題に関わる表現は、お手本から取り込まれることが多く、後の書き直しでも覚えられていました。

つまり、何かを言おうとして苦労したことが、答えを探す理由になったのです。ただし、熟達度の高い学生ほど多くに気づき、この研究には比較グループがありませんでした。

4択リーディングクイズ

Q1. What did the students do in the first stage?

Q2. Which expressions were often taken from the models?

Q3. What does the writer mean by "struggling to say something gave them a reason to look for the answer"?

重要単語

  • model textB2
    名詞(句)お手本の文章(モデル文)Compare your essay with a model text. model essay / model answer「模範解答」とも言う。model は「手本・模範」の意味。
  • noticeB1
    動詞・名詞気づく・気づきLearners noticed useful phrases in the model. SLA では noticing(気づき)が習得の入口とされる(Schmidt の気づき仮説)。notice the gap「ギャップに気づく」。
  • incorporateC1
    動詞取り入れる・組み込むShe incorporated new expressions into her revision. incorporate A into B「A を B に取り入れる」。in-(中に)+ corpor(体)。
  • revisionB2
    名詞書き直し・修正The second revision was much better. 動詞 revise。研究では immediate revision(直後の書き直し)と delayed revision(時間をおいた書き直し)を比べる。
  • holeA2
    名詞穴・(知識の)欠けている所Writing shows you the holes in your English. SLA では「言いたいのに言えない部分」を hole や gap と呼ぶ。a hole in one's knowledge「知識の穴」。
  • lexicalC1
    形容詞語彙のMost of what learners noticed was lexical. lexicon(語彙・辞書)の形容詞。lexical item「語彙項目」、grammatical(文法の)と対で使う。
  • outputB2
    名詞アウトプット(話す・書くこと)Output helps learners find gaps in their knowledge. SLA では input(聞く・読む)と対。Swain のアウトプット仮説は「話す・書く」ことの学習効果を説く。
英作文は、お手本を先に読むより「自分で書いてから、お手本と見比べる」のが効くかも。日本の大学生の研究では、書きながら「これ英語で何て言う?」と困った部分の表現ほど、後の書き直しに取り込まれ長く残っていたらしい。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Hanaoka (2007) Output, noticing, and learning: An investigation into the role of spontaneous attention to form in a four-stage writing task. Language Teaching Researchdoi.org
  2. Hanaoka & Izumi (2012) Noticing and uptake: Addressing pre-articulated covert problems in L2 writing. Journal of Second Language Writingdoi.org
  3. Qi & Lapkin (2001) Exploring the role of noticing in a three-stage second language writing task. Journal of Second Language Writingdoi.org
  4. Swain & Lapkin (1995) Problems in output and the cognitive processes they generate: A step towards second language learning. Applied Linguisticsdoi.org