英作文の赤ペンは「全部直す」か「1つに絞る」か。日本の大学生で比べたら、意外にも引き分けだった

読む前に予想してみよう!
英作文の添削は、間違いを全部直すと情報が多すぎて、まったく効果がなくなる
全部直す添削でも、新しく書いた作文の正確さが上がったという研究がある。絞った添削と比べて差が出ないという結果もある。
- 対象
- 日本人大学生、オランダ語を学ぶ中等学校の生徒268人など
- 規模
- 数十〜数百人規模
- 研究の種類
- 準実験・実験研究・メタ分析
- 確かさ
- ★★★☆☆
冠詞だけ直す添削と他の誤りも直す添削を日本の大学生で比べると、どちらも効果があり差はなかった。全部直す添削も新しい作文で効いた。
ひとことで言うと英作文の添削は「絞る」も「全部」も効く。直された所を見直すのが大事!
英作文を先生に出すと、真っ赤になって返ってくる。どこから見ればいいかわからず、そっと閉じてしまう……。そんな経験はありませんか?
「添削は全部の間違いを直すべきか、それとも大事な間違いだけに絞るべきか」。これは英語教育の研究者たちが長年議論してきたテーマです。
01そもそも「添削は効かない」説があった
1996年、研究者のトラスコットは、「英作文の文法添削は効果がないどころか、有害でさえある」という刺激的な論文を発表しました。添削に時間を使うより、もっと書かせたほうがいい、という主張です。
この主張をきっかけに、添削の効果を確かめる研究がたくさん行われました。その後のメタ分析(カンとハン、2015年)などでは、書面の添削は、書く正確さを高めるのに一定の効果があるという結果が出ています。
では、「どのくらい直すか」はどうでしょう。
02「冠詞だけ」と「全部」で比べたら
「絞ったほうが効く」と予想されていたのに、結果は引き分け。どちらの添削にも効果があったのです。

03「全部直す」も新しい作文で効いた
では、「全部直す」添削は、本当に意味があるのでしょうか。トラスコットは「直された文は書き直せても、新しく書く作文には効かない」と主張していました。
さらに細かく見ると、文法の間違いには「正しい形を書いて示す」直接的な添削が、つづりなどの間違いには「場所だけ示す」間接的な添削が、より効いていました。
04結局、どうすればいい?
研究からわかるのは、「絞る」も「全部」も効果はありうるということ。むしろ大事なのは、添削を受けた後に、学習者がそれをどう使うかでしょう。真っ赤な答案を見ずに閉じてしまえば、どんな添削も効きません。
05まとめ
英作文の赤ペンは、「1つに絞る」でも「全部直す」でも効果がありうることがわかりました。どちらが正解というより、添削をどう活かすかが勝負です。
次に添削が返ってきたら、真っ赤でもひるまずに、3つだけ選んで、見ないで書き直す。それが赤ペンを一番ムダにしない使い方です。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerShould teachers correct every error in a student's essay, or focus on just one type?
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
When a teacher corrects your English essay, should the teacher fix every mistake or only one kind? In a 2008 study, Japanese university students got three kinds of feedback. Some had only their "a" and "the" mistakes fixed.
Others had other mistakes fixed, too. A third group got no corrections. Both corrected groups improved, and there was no clear difference between them. So the important thing is to study your corrections.
71 words ・ CEFR A2
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先生があなたの英作文を直すとき、すべての間違いを直すべきでしょうか、それとも1種類だけにすべきでしょうか。2008年のある研究で、日本の大学生が3種類のフィードバックを受けました。一部の学生は「a」と「the」の間違いだけを直されました。
ほかの学生は、ほかの間違いも直されました。3つ目のグループは何も直されませんでした。直された2つのグループはどちらも上達し、その間にはっきりした差はありませんでした。だから大切なのは、直されたところを見直して学ぶことです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
添削で間違いを全部直すか、1種類に絞るかがテーマなので A。
Q2. What happened to the two corrected groups?
Both corrected groups improved, and there was no clear difference between them. とあるので B。
Q3. In this passage, "corrects" means ...
correct は「(誤りを)直す・訂正する」なので D。
Should teachers correct every error in a student's essay, or focus on just one type? In 1996, the researcher Truscott even argued that grammar correction in writing is useless or harmful, but later research, including a 2015 meta-analysis, found that written feedback can improve accuracy. In 2008, Ellis and his colleagues compared feedback for Japanese university students.
One group had only article errors corrected, another had other errors corrected as well, and a third received none. Both corrected groups used articles more accurately than the group without feedback, and the difference lasted over time. But there was no clear difference between the two. A larger 2011 study also found that correcting all errors improved students' new essays. What may matter most is how learners use the feedback.
127 words ・ CEFR B1
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先生は生徒の作文のすべての誤りを直すべきでしょうか、それとも1種類だけに絞るべきでしょうか。1996年、研究者のトラスコットは、作文における文法の訂正は役に立たない、あるいは有害だとまで主張しましたが、2015年のメタ分析を含むその後の研究は、書面でのフィードバックが正確さを高めうることを見いだしました。2008年、エリスらは日本の大学生へのフィードバックを比較しました。
1つのグループは冠詞の誤りだけを直され、別のグループはほかの誤りも直され、3つ目のグループは何も直されませんでした。直された2つのグループはどちらも、フィードバックのないグループよりも正確に冠詞を使えるようになり、その差は時間がたっても続きました。しかし、2つのグループの間にははっきりした差はありませんでした。2011年のより大規模な研究でも、すべての誤りを直すことで生徒の新しい作文が改善することがわかりました。最も大切なのは、学習者がフィードバックをどう使うかなのかもしれません。
4択リーディングクイズ
Q1. What did Truscott argue in 1996?
Truscott even argued that grammar correction in writing is useless or harmful とあるので C。
Q2. In the 2008 study, which groups used articles more accurately than the group without feedback?
Both corrected groups used articles more accurately than the group without feedback とあるので A。
Q3. What did the 2008 study find about the two corrected groups?
there was no clear difference between the two とあり、2つの訂正グループにははっきりした差がなかったので B。
Whether teachers should mark every error or concentrate on a few has long divided researchers. Truscott famously argued in 1996 that grammar correction in L2 writing is ineffective and possibly harmful, but subsequent studies, summarized in a 2015 meta-analysis by Kang and Han, indicate that written corrective feedback can improve accuracy.
The question of quantity was addressed by Ellis and colleagues with Japanese university students. Focused feedback on article errors and unfocused feedback that also covered other errors both outperformed no feedback, with gains persisting on a delayed test, and the two did not differ significantly. Van Beuningen and colleagues then tested comprehensive correction with 268 secondary school students learning Dutch as a second language.
Compared with self-correction or additional writing practice, both direct and indirect comprehensive feedback improved accuracy not only in revisions but also in new essays written one and four weeks later, and learners did not avoid complex structures. Direct correction worked better for grammatical errors, indirect correction for non-grammatical ones such as spelling. The Ellis study, however, was small and targeted only articles, and outcomes may vary with proficiency and error type. How learners engage with the corrections may matter more than how many there are.
200 words ・ CEFR B2
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教師がすべての誤りに印をつけるべきか、それともいくつかに集中すべきかは、長い間研究者の意見を分けてきました。トラスコットは1996年、第二言語の作文における文法訂正は効果がなく、有害でさえあるかもしれないと主張したことで有名ですが、カンとハンによる2015年のメタ分析にまとめられたその後の研究は、書面による訂正フィードバックが正確さを高めうることを示しています。
量の問題は、エリスらが日本の大学生を対象に取り上げました。冠詞の誤りに絞った焦点化フィードバックと、ほかの誤りもカバーした非焦点化フィードバックは、どちらもフィードバックなしを上回り、その伸びは時間をおいたテストでも続き、両者の間に有意な差はありませんでした。その後、ファン・ブーニンゲンらは、第二言語としてオランダ語を学ぶ中等学校の生徒268人で、包括的な訂正を検証しました。
自分で見直すだけの場合や、書く練習を増やすだけの場合と比べて、直接的・間接的な包括的フィードバックはどちらも、書き直しだけでなく、1週間後と4週間後に書いた新しい作文でも正確さを高め、学習者が複雑な構造を避けることもありませんでした。文法の誤りには直接的な訂正が、つづりのような文法以外の誤りには間接的な訂正がより効果的でした。ただし、エリスの研究は小規模で冠詞だけを対象としており、結果は熟達度や誤りの種類によって変わるかもしれません。訂正の量よりも、学習者が訂正にどう取り組むかのほうが重要なのかもしれません。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main point of the passage?
焦点化も包括的も効果がありうるが、最終文で学習者の取り組み方が重要と述べているので D。
Q2. What did Van Beuningen and colleagues find?
improved accuracy not only in revisions but also in new essays written one and four weeks later とあるので A。文法の誤りには直接訂正のほうが効いた点に注意。
Q3. Which limitation of the Ellis study is mentioned?
The Ellis study, however, was small and targeted only articles とあるので C。
重要単語
- corrective feedbackC1名詞(句)訂正フィードバック(誤りの指摘・添削)Corrective feedback helped students write more accurately.
SLA の重要用語で CF と略される。written CF(書面)と oral CF(口頭)がある。feedback は不可算名詞。 - focusedB2形容詞焦点を絞ったFocused feedback targets only one error type.
反対は unfocused / comprehensive。focus on ~「~に焦点を当てる」。 - comprehensiveC1形容詞包括的な・すべてを含むComprehensive feedback corrects all errors.
comprehend(理解する)と同語源だが意味は「包括的な」。a comprehensive review「包括的な総説」。 - accuracyB2名詞正確さHer accuracy improved in the new essay.
形容詞 accurate。SLA では accuracy(正確さ)・fluency(流暢さ)・complexity(複雑さ)の3つで言語能力を測る(CAF)。 - reviseB2動詞書き直す・修正するRevise your essay after reading the comments.
名詞 revision。イギリス英語では「(試験前に)復習する」の意味でも使う。 - direct correctionC1名詞(句)直接的な訂正(正しい形を書いて示す添削)Direct correction worked better for grammar errors.
indirect correction は「誤りの場所だけ示し、学習者に直させる」方法。誤りの種類で使い分けるのがポイント。 - engagementC1名詞取り組み・関与Learners' engagement with the corrections matters.
動詞 engage in ~「~に取り組む」。教育研究では「学習者がどれだけ主体的に関わるか」を表す。
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英作文の添削、「間違いを全部直す」と「冠詞だけに絞る」で比べたら、日本の大学生ではどちらも効果ありで差はなかったらしい。268人の別の研究でも全部直す添削は新しい作文で効いた。赤ペンは量より使い方。
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出典・参考文献(4件)タップで表示
- Ellis, Sheen, Murakami & Takashima (2008) The effects of focused and unfocused written corrective feedback in an English as a foreign language context. Systemdoi.org
- Van Beuningen, De Jong & Kuiken (2011) Evidence on the effectiveness of comprehensive error correction in second language writing. Language Learningdoi.org
- Truscott (1996) The case against grammar correction in L2 writing classes. Language Learningdoi.org
- Kang & Han (2015) The efficacy of written corrective feedback in improving L2 written accuracy: A meta-analysis. The Modern Language Journaldoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。







