All About the Piñata ・ 2/3

ピニャータの遊び方:持ち時間は、みんなが歌う歌1曲ぶん

ロープを引く大人と、目かくしの子。歌が終わるまでに、星を割れるか。

ピニャータは、お菓子をつめた人形をつるし、目かくしをして棒で割る遊びです。メキシコの誕生会では年下の子から順にたたき、大人がロープでピニャータを上げ下げしてじゃまをします。1人の持ち時間を決めるのは時計ではなく、周りのみんなが歌う「Dale, dale, dale」の歌。そして、楽しい遊びには意外な落とし穴も。アメリカの救急外来の記録では、ピニャータでけがをした子どもの64%が頭や顔を打っていました。

1ピニャータの遊び方:ロープを引く大人は、いちばんの「じゃま役」

目かくしの子が、思いきり棒をふる。その瞬間、ロープを握った大人がぐいっと引いて、ピニャータは空の上へ。メキシコの誕生会でいちばん笑いが起きるのは、この場面です。

ピニャータは、木の高い枝や屋上、2階の窓などからロープでつるします。ロープの端は大人が持ち、たたく子の背の高さや年に合わせて上げたり下げたりします。ロープの両端を1人ずつが持って、左右にゆらすこともあります。中南米には、固定した滑車でつるす地域もあります。

たたく順番は、普通年下の子からです。大きい子が先に割ってしまわないよう、小さい子から並びます。たたく子は目かくしをされ、その場で何回か回されて方向がわからなくなってから棒をふります。棒は木のほうきの柄が好まれ、ピニャータの店では、ちょうどよい長さと重さの棒も売られています。いちばん小さな子は、目かくしをしないこともあります。

最後に割るのは、たいてい年上の子です。メキシコ出身のある男性の話では、とどめの一撃を決めるのは12歳くらいのお兄さんやお姉さん。そこで小さい子たちがお菓子に飛びつくのが、いつもの流れでした。

割れた瞬間、子どもたちはいっせいにかけ寄って中身を拾います。紙のピニャータは一気に割れず、裂け目から少しずつこぼれることもあります。そんなときは大人がピニャータをゆすって、中身を全部落とします。子どもたちは持ってきたポリ袋や、たたき落とされた角(つの)に、拾ったお菓子をつめていきます。

2ピニャータの歌「Dale, dale, dale」:歌が終わったら交代

「ダレ、ダレ、ダレ(Dale, dale, dale)」。ピニャータの歌は、この3語で始まります。dale はスペイン語で「それ行け」「たたけ」と、人をはやすときのかけ声です。

この歌の役目は、タイマーです。たたく子が棒をふれるのは、周りのみんながこの歌を1回歌う間だけ。歌が終わったら目かくしを外し、列の次の子に交代します。ルールは「何回たたくか」ではなく「歌が終わるまで」なのです。

歌っているのは、たたく子へのはげましと、ちょっとしたからかいです。メキシコの雑誌が紹介している歌詞は、「金も銀もいらない、ほしいのはピニャータを割ることだけ」と始まります。続いて「ねらいを外すな」「距離をよく見ろ」とはやし立てます。そして最後に、たたいた回数を1回、2回、3回と数え、「はい、時間切れ」で終わります。歌詞は家や地域で少しずつちがい、空ぶりをからかう歌い方もあります。

「ねらいを外すな」の一節は、メキシコではだれでも知っています。2018年、メキシコの連邦消費者保護庁は、年末のむだづかいに注意を呼びかける記事を出しました。その題名に使われたのが、この歌の文句です。

この歌は、クリスマス前の行事ラス・ポサダス(12月16日〜24日の9晩、マリアとヨセフの宿探しを再現する行事)でも欠かせません。毎晩のしめくくりにピニャータを割るとき、同じように歌われます。メキシコの雑誌によると、昔は少し下品な歌い方もあったため、教会が1788年から1796年までピニャータを禁止したことがあります。でも人々は従わず、禁止は解かれました。

3ピニャータの中身と形:みかん、サトウキビ、そして「わな」

クリスマスのピニャータから降ってくるのは、お菓子だけではありません。メキシコの農業省が挙げるポサダスのピニャータの中身は、お菓子とピーナッツ、そして季節の果物。オレンジ、ライム、みかん、テホコテ、ヒカマ、サトウキビなどです。テホコテはサンザシの仲間の、直径2センチほどのオレンジ色の実。ヒカマは、なしのようにシャキシャキした白いイモです。誕生会のピニャータは果物が減ってお菓子が増え、小さなおもちゃも入ります。中には、小麦粉や紙吹雪、水をつめた「わな」のピニャータまであります。

形の基本は、7つの角が出た星です。円すい形の角には、色紙のふさがひらひらとついています。昔はロバ(スペイン語でブロ)の形も定番でしたが、今ではほとんどがアニメや映画のキャラクターにかわりました。花や船の形のほか、1歳の誕生日用に数字の「1」の形をしたものも売られています。

ボールに角をつけた形のピニャータには、別の楽しみ方もあります。本体を割らずに角だけをたたき落とすと、そこで交代。でも、落ちた角は自分のものになり、あとで拾ったお菓子を入れる入れ物になります。

プルひも式(pull-string piñata)は、たたかないピニャータです。底からリボンが何本もぶら下がっていて、子どもたちが順番に1本ずつ引きます。当たりは1本だけ。それを引くと底のふたが開き、中身がざらっと落ちてきます。棒をふらないので、小さい子の誕生会や室内に向いています。割れないので、くり返し使えるのもよいところです。

マイアミに住むキューバ系の人たちが書いた思い出話では、キューバの誕生会のピニャータはもともとこの形でした。太鼓のような筒形の底にリボンを通し、誕生日の子のお母さんの「1、2、3!」の合図で、子どもたちがいっせいに引いたそうです。

4ピニャータの安全な遊び方:けがの64%は頭と顔

パーティーの帰りに、救急外来へ。そんな子どもが、アメリカでは20年で約1万人いたと推計されています。

2026年、ニューヨーク州のストーニーブルック大学の外科チームが、ある調査の結果を学内で発表しました。調べたのは、アメリカの救急外来のけがの記録(2005〜2024年)です。ピニャータが関わるけがをした21歳以下の患者は404人。平均年齢は7.9歳でした。けがの64%は頭や顔で、78%は物が当たったことによるもの。金属や木のバット・棒によるけがは重くなりやすく、10歳以下の子は頭や顔のけがが特に多かったそうです。チームは、棒やバットを使うスポーツのけがに似ているとして、大人の見守りが必要だとまとめています(まだ速報段階の結果です)。

パーティーの手引きや、パーティー用品を売る店がすすめるコツは、だいたい共通しています。まず、ふる場所の周りにテープやチョーク、ロープで線を引き、中に入れるのは棒を持った1人だけにします。待っている子は線の後ろへ。目かくしの子がどちらへふるかは、本人にもわかりません。

棒は木の枝や野球のバットではなく、ピニャータ用の軽い棒を使い、両手でしっかり持ちます。棒は大人が次の子に手わたしし、子ども同士で回さないこと。

いちばんあぶないのは、割れた直後です。棒をふっている子のそばへ、お菓子めがけて子どもたちがかけこんでしまいます。割れたら、まず大人が最後の子から棒を受け取り、ピニャータをゆすって中身を全部落としてから、合図で拾わせます。小さい子は目かくしなしにするか、たたかないプルひも式にすると安心です。下に布やシートを敷いておくと、お菓子もよごれません。

5ピニャータに似た遊び:スイカ割りにも「公式ルール」がある

目かくしをして、周りの声をたよりに棒をふる。日本人なら、すぐにスイカ割りを思い出すはずです。

ピニャータがどこから来たかには、はっきりしない部分があります。中国で春に牛の人形をたたいて割る行事が、イタリアに伝わったという説は有名です。でも、確かな証拠は見つかっていません。はっきりしているのは、イタリアにキリスト教の四旬節(イースター前の約40日)の初めに、目かくしでつぼを割る遊びがあったこと。名前も、土なべ・つぼを意味するイタリア語の pignatta から来ています。スペインでは四旬節の最初の日曜日が「ピニャータの日曜日」と呼ばれました。メキシコでは1586年ごろ、アコルマンの修道士がキリスト教を伝えるのに使ったと伝わります。詳しくは歴史のページで。

世界には、よく似た遊びがたくさんあります。フィリピンの「ハンパス・パラヨック(つぼたたき)」は、お菓子や小銭、ときにはお札を入れた素焼きのつぼをつるし、長い竹の棒で割る遊び。町のお祭りには欠かせません。インドのマハーラーシュトラ州では、クリシュナの誕生を祝う日に、高くつるしたつぼを人間ピラミッドで割る「ダヒ・ハンディ」が行われます。ドイツの誕生会の定番「トップシュラーゲン」は、目かくしの子がはいはいしながら木のスプーンで床をたたき、お菓子をかくしたなべを探す遊び。周りの子は「あったかい」「つめたい」と声をかけます。アルゼンチンやパラグアイには、大きなゴム風船に中身をつめ、とがった物で割るピニャータもあります。メキシコでも、ユカタン半島では棒を使わず手で割るそうです。

そして日本のスイカ割り。農林水産省の東海農政局のメールマガジンが、「日本すいか割り推進協会」のルールを紹介しています。スイカとの距離は5〜7メートル。回る回数は5回と3分の2回転。棒をふれるのは3回まで。ピニャータは歌が終わるまで、スイカ割りは3回まで。似ているようで、時間の区切り方がちがうのです。

6日本でピニャータを楽しむには:誕生会・お楽しみ会・ハロウィンに

日本でピニャータを開くなら、誕生会、クラスのお楽しみ会、ハロウィンのパーティーがぴったりです。

手に入れるなら、まずは通販です。日本の大手通販サイトで「ピニャータ」と検索すると、1,000件以上の商品が出てきます(2026年10月時点)。星やケーキ、宝箱の形があり、たたく棒がセットになったものもあります。パーティー用品店で探すのも手です。自分で作るなら、作り方のページを見てください。

教室や家の中で遊ぶなら、プルひも式が向いています。みんなでリボンを1本ずつ持ち、「1、2、3!」でいっせいに引けば、キューバ流です。だれが当たりを引いたか、いっしょに大さわぎできます。

たたくタイプは、広い場所で、前の節の安全のコツを守って遊びます。中身は、割れても困らない個包装のお菓子や小さな文房具に。メキシコでは、何も拾えなかった子が悲しまないよう、お菓子を別に配ることがあります。小さな袋をいくつか用意しておくと安心です。

持ち時間は、メキシコのように歌1曲ぶんにしてみてください。待っている人たちが歌えば、たたく子へのはげましにもなります。日本語で「1回、2回、3回、はい交代!」と数えてもかまいません。英語の授業なら、周りの子が Left! Right! Up! と英語で声をかけるだけで、立派なリスニングの練習になります。

🔊Read in English英語で読もう:Sofia's Star

このページの話を、やさしい英語(CEFR A2)で。▶で英文をタイトルから通して聞けます。「和訳」ボタンで日本語訳を表示できます。

Sofia's Star

CEFR A2
0:00
242 words

On her seventh birthday, Sofia ran out to the yard before breakfast. A big star piñata was hanging from the old tree. It had seven points and long paper tails in pink, green, and gold. Her uncle Luis held the end of the rope. He smiled and pulled it up and down.

7歳の誕生日、ソフィアは朝ごはんの前に庭へかけ出しました。古い木から、大きな星のピニャータがぶら下がっていました。7つの角があって、ピンクと緑と金色の長い紙のふさがついていました。ルイスおじさんが、ロープの端を持っていました。おじさんはにっこり笑って、ロープを上げたり下げたりしました。

In the afternoon, the youngest children went first. Little Pablo was only three, so nobody covered his eyes. He hit the piñata softly, and everyone clapped. Then it was Sofia's turn. Her mother tied a scarf over her eyes and turned her around three times. Everyone sang the piñata song, and Sofia swung the stick hard. But Uncle Luis pulled the rope, and the star flew up into the air. When the song ended, her turn was over.

午後になると、いちばん小さい子たちから順番が来ました。パブロはまだ3歳だったので、だれも目かくしをしませんでした。パブロがそっとピニャータをたたくと、みんなが拍手しました。それから、ソフィアの番になりました。お母さんがスカーフで目かくしをして、ソフィアをその場で3回回しました。みんながピニャータの歌を歌い、ソフィアは力いっぱい棒をふりました。でもルイスおじさんがロープを引いて、星は空へ飛び上がりました。歌が終わると、ソフィアの番もおしまいでした。

The other children waited far back behind a line on the grass. Only the child with the stick could go inside the line. At last, her cousin Diego took his turn. He was twelve and very tall. On his second swing, the star broke open. Uncle Luis quickly took the stick from him.

ほかの子どもたちは、芝生に引いた線のずっと後ろで待っていました。線の中に入れるのは、棒を持った子だけです。とうとう、いとこのディエゴの番が来ました。ディエゴは12歳で、とても背が高かったのです。2回目にふった棒で、星はぱかっと割れました。ルイスおじさんは、すぐにディエゴから棒を受け取りました。

Candy, small toys, and a few tangerines fell to the ground. The children ran in and filled their bags. Pablo was too slow and got nothing, so Diego gave him half of his candy. Later, Sofia found one pink point of the star in the grass. She put it on her shelf to remember the day.

お菓子や小さなおもちゃ、それにみかんがいくつか、地面に落ちてきました。子どもたちはかけ寄って、袋につめこみました。パブロはおそくて何も拾えなかったので、ディエゴが自分のお菓子を半分あげました。あとで、ソフィアは芝生の中に、星のピンクの角を1つ見つけました。ソフィアはその日を忘れないように、それを棚にかざりました。

❓FAQよくある質問

ピニャータの遊び方は?

ピニャータをロープでつるし、目かくしをした人がその場で何回か回ってから棒でたたきます。メキシコでは年下の子から順番にたたき、大人がロープを引いてピニャータを上げ下げします。割れたら、落ちてきたお菓子をみんなで拾います。

ピニャータを割るときの歌は?

メキシコでは「Dale, dale, dale(ダレ、ダレ、ダレ)」で始まる歌を、周りの人たちが歌います。たたく人の持ち時間はこの歌1回分で、歌が終わったら交代です。「ねらいを外すな」とはやし、最後はたたいた回数を数えて「時間切れ」で終わる歌詞がよく知られています。

ピニャータの中身は何?

誕生会では、お菓子と小さなおもちゃが中心です。クリスマス前のラス・ポサダスでは、みかん・オレンジ・ライム、テホコテ(サンザシの仲間の実)、ヒカマ、サトウキビ、ピーナッツなど、季節の果物がたくさん入ります。

ピニャータは何歳から遊べる?

決まった年齢はありません。メキシコでも、いちばん小さな子は目かくしをせずにたたくことがあります。棒をふるのがあぶない小さな子には、リボンを引くだけのプルひも式が向いています。アメリカの調査では10歳以下の子に頭や顔のけがが多かったので、大人がそばで見守ります。

たたかずに遊べるピニャータはある?

あります。プルひも式(pull-string piñata)は、底のリボンを1本ずつ引き、当たりの1本を引くとふたが開いて中身が落ちます。棒を使わないので、小さい子や室内に向いていて、くり返し使えます。

ピニャータとスイカ割りの違いは?

目かくしをして回り、声をたよりに棒でたたくところはよく似ています。違うのは持ち時間の決め方で、ピニャータは歌が終わるまで、日本すいか割り推進協会のルールでは棒をふれるのは3回までです。ピニャータは大人がロープで動かしてじゃまをするのも特徴です。

ピニャータは日本でも買える?

買えます。日本の大手通販サイトで「ピニャータ」と検索すると、星やケーキなどの形をしたものが多く見つかり、たたく棒つきのセットもあります(2026年10月時点)。パーティー用品店で探す方法もあります。

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