正座は日本だけ?いつから? 広まったのは江戸時代、名前がついたのは明治
1正座はいつから? 江戸時代に広まり、明治に名前がついた
江戸時代より前は、武士も女性も茶人も、ふだんはあぐらや立て膝で座るのが普通でした。今の正座の形がいつ始まったのかは、はっきりしません。ただ、普通の座り方とみなされるようになったのは、日本大百科全書によると元禄〜享保(1688〜1736年)ごろからといわれます。たたみが広まったことや、武士の礼儀作法が関係していると考えられています。
もっと早く、16世紀後半には下級武士や農民にまで広まっていた、とする研究もあります。いつからかについては、説が分かれているのです。
名前のほうは、もっと新しい話です。江戸時代までは、この座り方を「かしこまる」「つくばう」などと呼んでいました。「正坐」という言葉自体は12世紀ごろの和讃(仏をたたえる歌)にも出てきますが、これは「きちんと座る」という広い意味でした。「正座」が今の意味で本に出てくる古い例は、明治時代の1882年の礼儀作法の本とされます。1889年の国語辞典『言海』には、まだ「正座」がのっていません。明治以降、礼儀作法の本や教育を通して、国民みんなのかしこまった座り方として「正座」が定着していきました。
2「足をしびれさせて謀反を防いだ」はホント? 正座のウワサ
「江戸幕府が、大名を将軍の前で正座させ、足をしびれさせて反乱を防いだ」という話がよく語られます。でも、これは根拠がはっきりしない話です。江戸時代の中ごろ、武士が将軍など目上の人に会うときに正座をするようになったとはされますが、「しびれさせるため」という目的を示す資料は見当たりません。
茶道でも、正座が中心になったのは江戸時代以降とされます。茶道=昔から正座、というイメージは、思われているほど古くないのです。
今では、正座を長くさせることが問題になる場面もあります。文部科学省は2013年の通知で、正座や直立など特定の姿勢を長い時間続けさせることは、体罰に当たると示しました。「反省するまで正座」は、学校ではもう許されません。
3正座は日本だけ? 海外の似た座り方
ひざを折って、かかとの上にお尻をのせる座り方は、日本だけのものではありません。世界大百科事典は、似た座り方が古代のエジプトやギリシア、中国にすでにあったとしています。
古代中国では、春秋戦国時代から秦・漢の時代まで、ひざまずいて座る「跪坐(きざ)」が正式な座り方だった時期があります。そのあと、いすに座る暮らしが広まり、この座り方は消えていきました。
インドのヨガには、正座とほぼ同じ形の「ヴァジュラーサナ(金剛座)」があり、寺院での祈りにも使われます。朝鮮半島では、正座でするおじぎは葬式や結婚式など特別な場の作法で、ふだん正座をする人は少ないとされます。子どもが床に座るときには、国を問わず自然にこの形になることもあります。
大人が改まった場の座り方として、今も日常の中に正座を残しているのが日本の特徴です。柔道や剣道、合気道を習う人は、海外でも稽古の礼のときに正座をします。英語でも「seiza」という言葉がそのまま使われています。
| 座り方 | どこで見られる? |
|---|---|
| 正座 | 日本の茶道・武道・和室の改まった場 |
| あぐら | 江戸時代より前は武士も日常で使った。今はくだけた場 |
| 立て膝 | 江戸時代より前は女性の日常の座り方でもあった |
| 跪坐(ひざまずいて座る) | 古代中国の正式な座り方 |
| ヴァジュラーサナ(金剛座) | インドのヨガや寺院での祈り |
4外国の人に正座をすすめていい? 足のしびれと気づかい
正座に慣れていない人は、1〜2分でも足がしびれ始めます。慣れた人なら40分以上続けられることもありますが、ひざや足首に負担がかかる座り方です。
外国の人を和室に招いたり、お寺や茶室を案内したりするときは、無理に正座させなくて大丈夫です。「あぐらでいいですよ」「足を崩してください」とひとこと言うと、相手はほっとします。最近は、正座用の小さな腰かけ(正座いす)もあります。
洋式の暮らしが広まり、日本人でも正座をする機会は減っています。法事や茶道のように正座が多い場では、始まる前に「足を崩してもいいですか」と伝えておけば、失礼にはなりません。
✍️Examples外国の人に正座を説明する英語
❓FAQあわせてよく聞かれる質問
正座をさせるのは体罰になる?
学校では、正座などの姿勢を長時間続けさせることは体罰に当たると、文部科学省が示しています。
茶道ではいつから正座をしている?
茶道で正座が中心になったのは江戸時代以降とされます。それより前の茶人は、あぐらなどほかの座り方もしていたと考えられています。
正座は英語で何という?
そのまま seiza で通じることが多く、説明するなら sitting on your heels(かかとの上に座る)と言います。武道を習う人の間では seiza が定着しています。
海外の人は正座をする?
ふだんの生活ではほとんどしません。ただ、柔道や剣道、茶道を習う人は、海外でも礼のときなどに正座をします。
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