「了解しました」は目上に失礼? 失礼説が広まったわけと、承知しましたとの使い分け
1「了解」の意味:辞書に「目上に使うな」とは書いていない
『デジタル大辞泉』で「了解」を引くと、「物事の内容や事情を理解して承認すること」とあります。「わかりました、それで進めます」という意味で、相手を見下す意味はどこにもありません。『日本国語大辞典』も「はっきりとよくわかること」「理解して承認すること」と説明していて、「諒解」と書くこともあります。
「失礼だ」という人がよく持ち出すのは、「承認する」という部分です。「了解」には相手の考えを認めるという意味がふくまれるので、上の人が下の人を認める言葉だ、という理屈です。でも『三省堂国語辞典』は、目上に失礼とする人がいることにふれたうえで、「了解いたしました」などは以前から丁重な表現として使われてきた、と説明しています。
敬語の形としても問題はありません。「了解しました」は「ます」がついた丁寧な言い方。「了解いたしました」は、さらに「いたす」でへりくだった形です。
2「了解は失礼」はいつから? 広まったのはスマホの時代
では、この「マナー」はどこから来たのでしょう。2024年のJ-CASTニュースの取材では、辞書の編集委員でもある中部大学の深谷圭助教授が、始まりは特定できないとしたうえで、広まったのは2007〜11年ごろと見ています。
記事によると、日本経済新聞の2009年3月28日付の記事に、「『了解です』は『承知しました』『かしこまりました』が正しい使い方だ」という記述があります。そして2011年ごろから、「了解」と「承知」を区別すべきだという記事が増えていきました。
深谷さんは、2008年のiPhone 3Gの発売のあとスマホが一気に広まり、ビジネスメールを目にする機会がふえたことが背景にあるのでは、と推測しています。英語では「了解」と「承知」を使い分けないことにもふれ、「了解が失礼で承知が好ましい」という話は後から生まれたものだと考えています。
つまり、「了解は失礼」は昔からの決まりではなく、ここ十数年でできた新しいマナーなのです。
3「承知しました」「かしこまりました」「承りました」の違い
言い換えの候補は3つあります。
・承知しました:「承知」は依頼や要求を聞き入れること。深谷さんは、へりくだる気持ちがふくまれ、相手を立てる姿勢が伝わる言い方だと説明しています。上司や取引先へのメールでいちばん使いやすい形です。
・かしこまりました:「かしこまる」は、つつしんで目上の言いつけを受けること。お客様への返事として、接客の場面でよく使われます。
・承りました:「承る」は「受ける」「聞く」のへりくだった言い方です。「ご注文を承りました」「ご伝言を承りました」のように、注文や伝言を受けたときに使います。「了解しました」とまったく同じではないので、普通の返事を全部これにすると少し不自然です。
迷ったら、目上には「承知しました」、お客様には「かしこまりました」と覚えておけば十分です。
| 言い方 | ていねいさ | 向いている相手・場面 |
|---|---|---|
| 了解 | くだけた | 友だち・家族 |
| 了解です/了解しました | 丁寧 | 同僚・後輩・親しい先輩 |
| 了解いたしました | ていねい(へりくだり) | 上司にも言葉としては問題ないが、気にする人もいる |
| 承知しました/承知いたしました | ていねい(へりくだり) | 上司・先生・取引先 |
| かしこまりました | とてもていねい | お客様・接客 |
| 承りました | とてもていねい | 注文・伝言・依頼を受けたとき |
4結局どう使い分ける? 相手に合わせるのがいちばん
「了解しました」が失礼だという根拠は弱い。でも、失礼だと思っている人がいるのも事実です。言葉のマナーは、相手が気持ちよく受け取れるかどうかで決まります。
そこで、次のように使い分けると、だれとも気まずくなりません。
・同僚・後輩・親しい先輩:「了解です」「了解しました」で問題なし
・上司・先生:「承知しました」「承知いたしました」
・取引先・お客様:「かしこまりました」「承知いたしました」
逆に、上司から「了解」と返ってきても、それは失礼ではありません。また、「了解」とだけ書く返事は、目上に対しては敬語が抜けてくだけすぎます。最後に「しました」「いたしました」をつけましょう。
❓FAQあわせてよく聞かれる質問
「了解しました」の言い換えは?
上司や取引先には「承知しました」「承知いたしました」、お客様には「かしこまりました」が使えます。注文や伝言を受けたときは「承りました」です。
「了解は失礼」はデマ?
言葉の意味から見ると根拠は弱く、2000年代後半ごろから広まった新しいマナーとされます。ただ信じている人もいるので、目上には「承知しました」が無難です。
「了解いたしました」なら目上に使える?
辞書では丁重な表現として使われてきたと説明されています。ただ「了解」という言葉自体を気にする人もいるので、心配なら「承知いたしました」にしましょう。
上司へのメールの返事は何と書く?
「承知しました。〇日までに対応いたします」のように、返事のあとに次の行動を書くと伝わりやすくなります。
🔗この疑問とセットで調べられている
- 第13位「ご苦労様」は目上に失礼?「お疲れ様」は?目上には「お疲れ様です」が無難。「ご苦労様」は今は目下向けとされるが、昔は上司にも使った言葉。💌
- 第2位拝啓・敬具の使い方は?前略との違い拝啓で始めたら敬具で結ぶ。前略は時候のあいさつを省く略式で、結びは草々。謹啓はさらに丁寧。💌
- 第26位目上の人に「良いお年を」は失礼?失礼ではないが、目上には「良いお年をお迎えください」と最後まで言うと安心。💌
- 第37位「ご愁傷様」の使い方と返し方は?通夜や葬儀で会って言うお悔やみ。言われたら「恐れ入ります」で十分。メールやLINEでは使わない。💌
- 第50位年賀状の「去年」「昨年」、どっちが正しい?年賀状は「昨年」か「旧年」。「去年」は「去る」が忌み言葉なので避ける。「本年」「今年」はどちらも可。💌