第14章|試験14-6IELTS の勉強法IELTSのライティングは、Task 2がTask 1の2倍の重さ

IELTSのライティングは、60分で2つの課題を書きます。150語以上のTask 1と、250語以上のTask 2。2つの重さは同じではなく、Task 2はTask 1の2倍として数えられます。総合のバンドも、1技能が0.5違うだけで変わることがあります。約2時間45分で4技能を測るこの試験は、採点のしくみを知る前と後で、練習の中身が変わります。では、採点者は答案の何を見ているのか。
この節の目次(7項目)
014技能を約2時間45分で測る
IELTS公式サイトによると、IELTSは約2時間45分で、リスニング・リーディング・ライティング・スピーキングを測ります。留学や専門職の登録などに使うAcademicと、移住などに使うGeneral Trainingがあり、リスニングとスピーキングは共通、リーディングとライティングが異なります。
| 技能 | 形式(Academic) | 時間 |
|---|---|---|
| Listening | 4パート・40問。音声は1回だけ | 約30分 |
| Reading | 3つの文章(合計2,150〜2,750語)・40問 | 60分 |
| Writing | Task 1(150語以上)・Task 2(250語以上) | 60分 |
| Speaking | 試験官と対面の面接・3パート(録音される) | 11〜14分 |
リーディングの設問は、多肢選択、True / False / Not given、見出しの選択、要約や表の穴埋めなど11種類があります。どの形式が苦手かで、練習の中身が変わります。
ポイント:自分が受けるのがAcademicかGeneral Trainingかを、出願先の要件で先に確かめる。
02バンドスコアの計算を知る
結果は1〜9のバンドスコアで、0.5刻みです。総合のバンドは4技能の平均を、いちばん近い0.5に丸めたものです。公式の説明では、平均が.25で終わるときは次の0.5に、.75で終わるときは次の整数に切り上げます。
公式の例を見てみます。
- 6.5・6.5・5.0・7.0 → 平均6.25 → 総合6.5
- 6.5・6.5・5.5・6.0 → 平均6.125 → 総合6.0
1技能が0.5違うだけで、総合が変わることがあります。
リスニングとリーディングは各40問・1問1点で、正答数がバンドに換算されます。公式に示されたおおよその目安は次のとおりです(版によって少し変わります)。
| バンド | Listening | Academic Reading |
|---|---|---|
| 5 | 16問 | 15問 |
| 6 | 23問 | 23問 |
| 7 | 30問 | 30問 |
| 8 | 35問 | 35問 |
目標が6.5なら、リスニングとリーディングで40問中26〜27問前後を安定して取れることが一つの目安になります。
03Writingは「4つの基準」から書く
Academicのライティングは60分で2つの課題です。
- Task 1(約20分・150語以上):グラフ・表・図・プロセス(手順)などの情報を説明する
- Task 2(約40分・250語以上):ある意見や問題について、自分の考えを論じる
採点は4つの基準で、各課題の中では同じ重さです。
- 課題への対応(Task 1はTask achievement、Task 2はTask response)
- 一貫性とつながり(Coherence and cohesion)
- 語彙の幅(Lexical resource)
- 文法の幅と正確さ(Grammatical range and accuracy)
Task 1の型
1文目で何の図かを言いかえ、2文目で全体の傾向(overview)を書きます。細かい数字を全部並べるより、目立つ特徴を比べる方が評価されやすい構成です。
- The chart compares the number of visitors to three museums between 2010 and 2020.(この図は、2010年から2020年の3つの博物館の来館者数を比べている)
- Overall, the science museum attracted the most visitors throughout the period.(全体として、期間を通じて科学博物館の来館者が最も多かった)
Task 2の型
序論で立場をはっきり書き、本論2段落でそれぞれ理由と具体例、結論で立場を言い直します。採点の重さはTask 2の方が大きいので、時間配分を守ってTask 2に40分を残すことが大切です。
04Speakingは「伝わる長さ」で話す
スピーキングは試験官と1対1の対面式で、録音されます。
- Part 1(4〜5分):家・仕事・勉強・趣味など身近な質問
- Part 2(3〜4分):トピックが書かれたカードを渡され、1分間メモを取って準備し、約2分話す
- Part 3(4〜5分):Part 2の話題に関連した、より抽象的な質問について話し合う
採点は、流暢さと一貫性、語彙、文法の幅と正確さ、発音の4つで、同じ重さです。
Part 1では、答えを1文で終わらせないのがコツです。「答え+理由か具体例」で2〜3文にします。
- Q: Do you like cooking?
- A: Yes, I do. I usually cook on weekends because it helps me relax after a busy week. Last Sunday, I made curry for my family.(はい。忙しい1週間のあとにリラックスできるので、週末によく料理します。先週の日曜日は家族にカレーを作りました)
Part 2の1分間は、文を書かずにキーワードを4つだけメモします(いつ・どこで・何をした・どう感じた)。2分は思ったより長いので、本番前に時間を計って話す練習を何度もしておきます。
05Readingは設問形式ごとに読み方を変える
IELTSのリーディングは60分で3つの文章、合計2,150〜2,750語を読み、40問に答えます。1文章あたり20分が目安です。設問の形式によって、読み方を変えると速くなります。
True / False / Not given
本文の内容と一致すればTrue、矛盾すればFalse、本文に書かれていなければNot givenです。迷いやすいのはFalseとNot givenの区別です。「本文のこの文と、はっきり食い違う」と指させるときだけFalseにします。
- 本文:The bridge was completed in 1932.(橋は1932年に完成した)
- 設問:The bridge was the longest in the country.(その橋は国内で最も長かった)→ 長さについての記述がなければ Not given
Matching headings(見出しの選択)
各段落の最初と最後の文に、段落の主張が出ることが多い形式です。細部の単語が一致しているだけの見出しは、ひっかけの場合があります。
Summary / table completion(要約・表の穴埋め)
空所に入る語の品詞と、語数の制限を先に確かめます。指示された語数を超えると、内容が合っていても正解になりません。
練習では、まちがえた問題ごとに「どの形式で、なぜまちがえたか」を記録します。1か月分たまると、自分が落としやすい形式が見え、練習を絞れます。
06試験対策コースは近道か?
「IELTS対策の講座に通えば、点は早く上がる」と考えがちです。ところが研究の結果は、それほど単純ではありません。
Green(2007)は、英国の大学入学を目指す留学生が受けた3種類のコース(IELTS対策中心、大学のアカデミック・ライティング中心、その両方)で、IELTSのライティングの点の伸びを比べました。その結果、試験対策に絞ったコースに、はっきりした優位は見られませんでした。
一方、日本の大学で190人に1年をあけて2回IELTSを受けてもらったAllen(2016)の研究では、スピーキングの力が有意に伸び、より熱心に準備した人ほど、スピーキングとリスニングの伸びが大きくなりました。学生は2回目に向けて、それまで手薄だった話す・書く練習を増やしていました。
2つを合わせると、見えてくるのは次のことです。
- 形式に慣れる練習は必要だが、それだけでは点は伸びにくい
- 試験をきっかけに、手薄だった技能を実際に使う練習が増えると、力も点も伸びる
ポイント:IELTS対策は「解き方の練習」2割、「話す・書く量を増やす」8割くらいの気持ちで。
073か月プラン(5.5→6.5を目指す)
平日1日60〜90分、週末2時間を想定したメニューです。
1か月目:形式と弱点を知る
- 公式の練習問題で4技能を1回ずつ解き、技能ごとのバンドを出す
- 毎日:単語15分、リスニング1パート+スクリプト確認20分、リーディング1文章20分
2か月目:書く・話すの量を増やす
- Writing:Task 1を週2本、Task 2を週2本。書いたら4つの基準で自己チェック
- Speaking:Part 1の質問に毎日5つ答えて録音。Part 2を1日1題、2分計って話す
3か月目:時間どおりに通す
- 週1回、本番と同じ時間で通し練習
- 書いた答案を、英語の先生や添削サービスで見てもらう(できれば週1本以上)
書いた答案は捨てずにファイルにためておきます。同じ話題で1か月後に書き直すと、語彙と構成の変化が自分で見えます。
採点基準を知ってから練習する。それが最短ルート
今日からのやり方
- 出願先の要件で、AcademicかGeneral Trainingか、必要なバンドを確かめる
- 公式の練習問題で4技能を1回ずつ解き、技能ごとのバンドを出す
- Writingは4つの採点基準を印刷し、書いた答案に当てはめて自己チェックする
- Speaking Part 2を毎日1題、1分準備・2分で話して録音する
- 4週目以降、週1回は本番と同じ時間で通し練習する
レベル別:あなたならこうする
バンド5未満なら、IELTSの問題より先に、CEFR A2〜B1の教材でリスニングとリーディングの基礎量を増やします。Speaking Part 1の身近な質問に2〜3文で答える練習から始めます。
5.5〜6.5を目指すなら、Writing Task 2を週2本書き、4つの基準で自己チェック。リーディングは苦手な設問形式を1つ決めて集中的に練習します。
7.0以上を目指すなら、語彙の正確さとTask 1の全体傾向の書き方を磨きます。Speaking Part 3の抽象的な質問に、理由・例・反対意見まで入れて答える練習をします。
よくある失敗と対策
Task 2の方が配点が重いので、Task 1は20分で切り上げます。普段から時間を計って書き、Task 2に40分を残す習慣をつけます。
暗記した答えは不自然になりやすく、質問とずれることもあります。覚えるのは文ではなく「答え+理由+例」の型と、話題ごとのキーワードにします。
Falseは本文と矛盾する、Not givenは本文に書かれていない、です。まちがえた問題は、本文のどこを根拠に判断したかを毎回書き出します。
1 MIN
Speaking Part 1の質問「Do you like cooking?」に3文で答えて録音する
友だちに出したい、この節の3問
タップで答え。「X で出題する」で、そのまま問題として出せます。
14-6IELTSでバンド6.0に必要な正答数はどのくらい?
IELTS公式の目安では、リスニングとアカデミックのリーディングは、40問中おおよそ23問でバンド6です。6割弱の正答で届く計算です。版によって少し変わります。
14-6IELTSのWritingの2つの課題は、同じ配点?
違います。IELTS公式は、Task 2の方がTask 1より重く数えると説明しています(Academicの形式説明では2倍)。時間配分も、Task 1に20分、Task 2に40分が目安です。
14-6IELTSのSpeaking、発音は「ネイティブらしさ」で採点?
発音は4つの採点基準のうちの1つで、残りは流暢さと一貫性、語彙、文法の幅と正確さです。4つは同じ重さ。訛りをなくすことより、聞き手に伝わる話し方の方が大切です。
PRACTICE KIT
この節の実践キット
このサイトで練習する
原田英語のサイトで練習する
使えるサイト・アプリ
動画で学ぶ
もっと詳しく(コラム)
この節の根拠(研究・公式情報)
Writingは60分。Task 1は約20分・150語以上で図表などを説明、Task 2は約40分・250語以上で論じる。Task 2はTask 1の2倍の重さで数える。
IELTS「IELTS Academic format: Writing」(ielts.org)出典を開く ↗総合バンドは4技能の平均を0.5刻みに丸める。Writing・Speakingの4つの採点基準と、Listening・Readingの正答数とバンドのおおよその対応を公開。
IELTS「IELTS scoring in detail」(ielts.org)出典を開く ↗英国の大学進学前の3種類のコースでIELTSライティングの点の伸びを比べた結果、試験対策に絞ったコースにはっきりした優位は見られなかった。
Green, A. (2007). Washback to learning outcomes: A comparative study of IELTS preparation and university pre-sessional language courses. Assessment in Education: Principles, Policy & Practice, 14(1), 75–97.出典を開く ↗日本の大学生190人が1年をあけて2回受験。スピーキングが有意に伸び、熱心に準備した人ほどスピーキングとリスニングの伸びが大きかった。
Allen, D. (2016). Investigating washback to the learner from the IELTS test in the Japanese tertiary context. Language Testing in Asia, 6, Article 7.出典を開く ↗Speakingは11〜14分、試験官と対面で録音される。Part 2は1分の準備のあと約2分話す。
IELTS「IELTS Academic format: Speaking」(ielts.org)出典を開く ↗よくある質問
IELTSとTOEFL、どちらを受ける?
まず出願先がどちらを認めているか、必要なスコアはいくつかを確認します。どちらも認められているなら、対面の面接が合う人はIELTS、パソコンで話す・書く形式が合う人はTOEFLという選び方もあります。両方の公式サンプル問題を一度解いて比べるのが確実です。
ペーパー受験とコンピューター受験は難しさが違う?
IELTS公式は、テストセンターでもオンラインでも形式は同じだと説明しています。違いは解答のしかたで、タイピングに慣れているか、紙に書く方が考えやすいかで選びます。どちらも、本番前に同じ方法で練習しておきます。
独学でWritingを伸ばせる?
採点基準を使った自己チェックで、構成や語数の問題はかなり直せます。ただ、文法や語の使い方のまちがいは自分では気づきにくいので、週1本でも先生や添削サービスに見てもらうと伸びが確かになります。




