第11章|ライティング11-1パラグラフライティングの型英語の段落は「1文目で結論」。日本の作文とは順番が逆だった

I wake up at six every morning. で始まり、母の「起きなさい!」の話をはさんで、I think getting up early is good. で終わる段落。英文としての誤りは、ほとんどありません。日本の作文なら、ごく自然な流れです。それでも英語の読み手には「まとまりがない」と受け取られやすい。使う文法はそのままで、伝わり方を大きく変えるには、どこを動かせばよいのでしょうか。
この節の目次(6項目)
01英語の段落は「読み手が楽をする」設計
英語の説明文や意見文には、はっきりした型があります。段落の最初に「この段落で言いたいこと」を1文で書き、そのあとに理由や例を並べ、最後にもう一度まとめる。これがパラグラフライティングです。
日本の作文では、出来事を順に書いて最後に感想や結論を置く書き方がよく見られます。これは間違いではなく、文章の習慣の違いです。ただ、英語の読み手は「1文目に要点がある」と期待して読みます。結論が最後まで出てこないと、何の話か分からないまま読み進めることになり、「まとまりがない」と受け取られやすくなります。
試験でも、この型は採点の目安になっています。英検の公式サイトは、1級・準1級・2級の英作文を「内容」「構成」「語彙」「文法」の4つの観点で採点すると説明しています。構成では、つなぎの言葉を使って意見と理由の流れを分かりやすくすることが求められ、理由には説明や具体例を添えることが注意点として挙がっています。つまり、型を身につけることは、そのまま点数にもつながります。
ポイント:英語の段落は「最初に地図を渡してから案内する」書き方。読み手が迷わないことがいちばんの目的です。
023つの部品:トピック文・支持文・結論文
1つの段落は、次の3つの部品でできています。
| 部品 | 役割 | 書き方のコツ |
|---|---|---|
| トピックセンテンス | 段落の結論・主張を1文で言う | 「何について」「どう思うか」の両方を入れる |
| 支持文(サポート) | 理由と、それを裏づける例・説明 | 理由1つにつき、例か説明を1〜2文 |
| 結論文 | 主張を言い換えて締める | 1文目と同じ語をそのまま使わず、少し言い換える |
トピックセンテンスで大事なのは、「話題」だけでなく「主張」まで入れることです。
- Smartphones.(スマートフォン。)…話題だけで、主張がない
- Smartphones are useful for students.(スマートフォンは生徒にとって役に立つ。)…主張はあるが広すぎる
- Smartphones can help students study in short breaks.(スマートフォンは、生徒が短いすき間時間に勉強する助けになる。)…何について、どう言いたいかがはっきりしている
3つ目のように範囲をしぼると、そのあとに続く理由や例も選びやすくなります。トピックセンテンスは、段落全体の「約束」です。約束より広いことも、約束と関係ないことも書かない、と決めておくと、段落がぶれません。
03悪い例→よい例で比べる
「早起き」をテーマにした段落で比べます。まず、よくある書き方です。
悪い例
- I wake up at six every morning. At first, it was very hard. My mother always said, "Get up!" But now I am used to it. I can study before school. I think getting up early is good.
(毎朝6時に起きます。最初はとてもつらかった。母はいつも「起きなさい!」と言いました。でも今は慣れました。学校の前に勉強できます。早起きはいいと思います。)
英文としての誤りはほとんどありません。問題は順番と中身です。
- 主張(早起きはいい)が最後まで出てこない
- 母の話は主張を支えていない
- 「勉強できる」の具体的な中身がない
- good が何にとってよいのかが分からない
よい例
- Getting up early has made my school life easier in two ways. First, I can study when my mind is fresh. Every morning, I spend twenty minutes reviewing English words, and I remember them better than when I study at night. Second, I am never in a hurry. Because I have time to eat breakfast and check my bag, I rarely forget anything. For these reasons, I believe getting up early is one of the best habits a student can have.
(早起きは、2つの点で私の学校生活を楽にしてくれました。1つ目に、頭がすっきりしているときに勉強できます。毎朝20分英単語を復習していて、夜に勉強するときよりよく覚えられます。2つ目に、急ぐことがありません。朝食をとり、かばんを確かめる時間があるので、忘れ物をほとんどしません。こうした理由から、早起きは生徒が持てる最もよい習慣の1つだと考えます。)
1文目で「2つの点で楽になった」と約束し、First と Second で理由を出し、それぞれに具体的な説明(20分の単語の復習、朝食とかばんの確認)をつけています。最後の文は1文目を言い換えて締めています。使っている文法は中学から高校1年くらいの範囲です。型が整うだけで、同じ英語力でも伝わり方が大きく変わります。
04支持文は「理由+具体例」の2段で書く
支持文でいちばん多い失敗は、理由を言いっぱなしにすることです。
- 弱い:Reading books is good because it is useful.(本を読むのは役に立つのでよい。)…理由が主張の言い換えになっている
- 強い:Reading books helps us learn new words. For example, when I read a mystery novel last month, I came across the word "suspect" many times and finally remembered it.(読書は新しい単語を学ぶ助けになる。たとえば先月ミステリー小説を読んだとき、suspect という語に何度も出会い、ついに覚えた。)
「理由」と「具体例・説明」を1組にして書くと、説得力が出て語数も自然に増えます。理由と例をつなぐ言葉は、次の表のものから選べば十分です。
| 働き | つなぎ言葉 |
|---|---|
| 理由を並べる | First, / Second, / In addition, / Another reason is that ... |
| 例を出す | For example, / For instance, |
| 結果を言う | As a result, / Because of this, |
| 反対のことを言う | However, / On the other hand, |
| まとめる | For these reasons, / In short, |
注意点が2つあります。1つは、つなぎ言葉を入れすぎないことです。すべての文の頭に Also や And をつけると、かえって読みにくくなります。もう1つは、however は前の文と反対の内容が来るときだけ使うことです。単に話を続けたいときに however を使う誤りはよく見られます。
短い文を組み合わせる練習も役に立ちます。
- I have a dog. It is white. It is very big.(犬を飼っている。白い。とても大きい。)
- → I have a very big white dog.(とても大きな白い犬を飼っている。)
- I was tired. I finished my homework.(疲れていた。宿題を終えた。)
- → Although I was tired, I finished my homework.(疲れていたけれど、宿題を終えた。)
05研究から見た「型の練習」の効き目
書き方の指導は、どの方法がどれくらい効くのでしょうか。Graham と Perin は、アメリカの4〜12年生を対象にした作文指導の研究を集めて分析し、2007年に報告書(Writing Next)にまとめました。効果の大きさ(効果量)で並べると、次のようになっています。
| 指導の方法 | 効果量 | 目安 |
|---|---|---|
| 書く手順(計画・見直しなど)の方略を教える | 0.82 | 大きい |
| 要約のしかたを教える | 0.82 | 大きい |
| 短い文を組み合わせる練習 | 0.50 | 中くらい |
| 書く前のアイデア整理 | 0.32 | 小〜中 |
| 模範文を読んでまねる | 0.25 | 小さい |
| 従来型の文法指導 | 小さな負の効果 | 作文の質は上がらなかった |
効果量は、0.2で小さい、0.5で中くらい、0.8で大きいというのが目安です。ここから読み取れるのは、「型を眺める」より「型に沿って計画し、書き、見直す手順を練習する」ほうが伸びやすいということです。
ただし注意があります。この分析の対象は、英語を母語とするアメリカの生徒です。外国語として英語を学ぶ日本の学習者にそのまま当てはまるとは限りません。また、文法指導が無意味だという意味でもありません。報告書自身も、文法を作文と切り離して教えるより、書く文脈の中で使い方を練習するほうがよいという方向を示しています。英語大全では、文法は文法の章で学び、作文では「段落の型」と「見直しの手順」を練習する、という分担をおすすめします。
0615分でできる1パラグラフ練習
毎日でなくても、週に2〜3回、次の手順で1段落を書くと型が身につきます。
- 3分:設計図を作る。 テーマを1つ決め、主張を1文、理由を2つ、それぞれの例を1つずつ、日本語のメモで書く。
- 8分:英語で書く。 トピックセンテンス→理由1と例→理由2と例→結論文の順に書く。分からない単語は( )で空けて先に進む。
- 4分:見直す。 下のチェックリストで確かめ、( )の部分を辞書で調べて埋める。
見直しのチェックリストは次の6つです。
- 1文目に主張が入っているか
- 理由ごとに例か説明がついているか
- 主張と関係ない文が混ざっていないか
- 結論文は1文目の言い換えになっているか
- 主語と動詞が合っているか(三単現の s、時制)
- a / the や複数形の s が抜けていないか
テーマは「好きな季節とその理由」「おすすめの勉強法」「学校の制服に賛成か反対か」「休日の過ごし方」のように、自分の経験から例が出しやすいものから始めると書きやすくなります。書いた段落は捨てずにノートにためておくと、次の節で扱う日記や、試験の意見文のネタ帳にもなります。
1文目で結論、次に理由と例、最後に言い換えでまとめる
今日からのやり方
- テーマを1つ決め、主張1文・理由2つ・例2つを日本語でメモする(3分)
- トピック文→理由と例×2→結論文の順に英語で書く(8分)
- 分からない語は( )で空けて書き終えてから辞書で埋める
- チェックリスト6項目で見直し、1文目と結論文を声に出して読む(4分)
- 書いた段落をノートにため、週末に1つを選んで書き直す
レベル別:あなたならこうする
3文の段落から始めます。I like ... because ... . For example, ... . の型に当てはめ、主張・理由・例を1文ずつ書きます。理由は1つで十分です。
理由2つ+例2つの5〜7文で書きます。英検2級の意見文(目安80〜100語)は、この段落を少し広げた形です。つなぎ言葉の使い過ぎに注意します。
反対意見にふれてから反論する段落(However, some people argue ... Even so, ...)や、2〜3段落のエッセイに広げます。段落ごとに1つの主張を守れているかを確かめます。
よくある失敗と対策
書き終えたら最後の文を1文目に移せないか試します。日本語のメモの段階で「主張を1文で」を先に決めておくと防げます。
理由1つにつき For example か具体的な数字・場面を1文足すと決めます。語数が足りないときも、まずは例を増やします。
however は前の文と反対・対比の内容が続くときだけ使います。話を足すだけなら In addition や Also を使います。
1 MIN
「好きな季節」について、主張1文と理由2つを日本語でメモする
友だちに出したい、この節の3問
タップで答え。「X で出題する」で、そのまま問題として出せます。
11-1英語の段落は、どこを読めば要点が分かる?
多くの説明文や意見文では、段落の1文目(トピックセンテンス)に要点が置かれます。読み手は1文目だけを拾い読みしても全体の流れをつかめます。書く側がこの型を守ると、読み手の負担がぐっと減ります。
11-1作文の模範解答を読んでまねるのは、どのくらい効く?
英語を母語とする中高生の作文指導を集めた分析では、「模範文を読んでまねる」効果は正の向きでも小さめでした。大きかったのは、計画・下書き・見直しの手順そのものを教える方法でした。
11-1文法の授業を増やせば、作文はうまくなる?
同じ分析では、品詞や文の構造を単独で教える従来型の文法指導は、作文の質に対してわずかに負の効果でした。短い文を組み合わせて1文にする練習(センテンス・コンバイニング)のほうが効果がありました。
PRACTICE KIT
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もっと詳しく(コラム)
この節の根拠(研究・公式情報)
米国4〜12年生の作文指導研究の分析。書く手順の方略指導と要約指導の効果量が0.82と大きく、文の組み合わせ練習0.50、模範文の学習0.25、従来型の文法指導は小さな負の効果だった。
Graham, S., & Perin, D. (2007). Writing Next: Effective strategies to improve writing of adolescents in middle and high schools. A report to Carnegie Corporation of New York. Alliance for Excellent Education.出典を開く ↗上の報告書のもとになった学術論文。英語を母語とする中高生の作文指導の方法を効果量で比べている。外国語学習者が対象ではない点に注意。
Graham, S., & Perin, D. (2007). A meta-analysis of writing instruction for adolescent students. Journal of Educational Psychology, 99(3), 445–476.出典を開く ↗英作文は内容・構成・語彙・文法の4観点で採点。構成ではつなぎの言葉で意見と理由の流れを分かりやすくすること、理由には説明や具体例を添えることが求められている。
公益財団法人 日本英語検定協会「ライティングテストの採点に関する観点および注意点(1級・準1級・2級)」出典を開く ↗よくある質問
起承転結で書くのは英語では間違い?
物語やエッセイでは使われることもあり、間違いではありません。ただ、試験の意見文や説明文では、英語の読み手は1文目に主張があることを期待します。目的が「説明・説得」なら、結論を先に置く型を選びます。
トピックセンテンスは毎回 I think で始める?
I think を使っても問題ありませんが、毎回だと単調になります。主張そのものを文にする(Getting up early has ...)書き方や、In my opinion, I believe などに変えてみます。
1つの段落は何文くらいが適切?
決まりはありませんが、学習の段階では5〜8文がひとつの目安です。英検2級の意見文(目安80〜100語)なら、導入・理由2つ・まとめで全体を組み立てます。




