英字新聞・ニュース記事で英語の授業 ― 見出し当てから自分の記事まで6ステップ
見出しだけで中身を予想し、最初の段落(リード)で5W1Hを見つけ、本文で答え合わせ。見出し独特の文法のきまりを見つけたら、最後は自分の学校や地域のニュースを英語の記事にしてクラス新聞に。読む・文法・書くが1つの記事でつながります。
- ⏱ 時間
- 45-50分
- 🧰 準備
- 少し
- 👥 形態
- 個人→ペア
- 🎯 技能
- リーディング・文法・ライティング・語彙
- 📶 CEFR
- A2-B2

- 見出しやリード(記事の最初の段落)から、記事の概要と大事な情報(5W1H)をすばやくつかむ。
- 見出しに特有の文法のきまりに自分で気づき、ふつうの文との違いを説明する。
- 身近な出来事を、大事なことから順に、読み手に伝わるニュース記事の形で書く。
英字新聞・ニュース記事の授業ってなに?
ひとことで言うと、英語のニュース記事を1本使って「見出しで予想する → 最初の段落で5W1Hを見つける → 本文で確かめる → 見出しの文法に気づく → 自分でもニュースを書く」まで進める、読むことと書くことをつなぐ活動です。
使う記事は、先生が書いたオリジナルの短いニュースか、学校で読める英字新聞の短い記事です。ニュース記事には「見出し」「リード」「本文」というはっきりした型があります。この型を知っていると、知らない単語が多い記事でも、どこを読めば大事なことがわかるのかが見えてきます。そして、その型はそのまま「書くときの型」にもなります。
ニュース記事は、中身がひと目でわかるお弁当箱のようなものです。ふたの上のラベル(見出し)で中身の見当をつけ、ふたを開けたら、いちばん上の段(リード)にメインのおかず(だれが・何を・いつ・どこで)が全部入っています。下の段に行くほど、付け合わせ(くわしい説明や人の声)になります。だから、時間がなければ上の段だけ食べても、お弁当の中身はわかる。大事なものから先に詰めるのが、この活動でいちばん大事なきまりです。
似た活動とのちがい
| このページ(新聞・ニュース記事) | ニュース・リテリング | 予測読み | |
|---|---|---|---|
| 主な対象 | 中学・高校 | 高校 | 小学校〜高校 |
| 英語にふれる方法 | 記事を読む | ニュースを聞く | 物語・説明文などを読む |
| 中心の活動 | 見出し・リード・本文の型を使って読み、見出しの文法に気づき、最後に自分で記事を書く | キーワードをメモし、ペアに1分で話して伝え直す | タイトルや絵から内容を予想してから読む |
| 時間 | 45〜50分(2時間に分けても可) | 10〜15分の帯活動 | 5〜10分 |
やり方を3ステップで
このページの6ステップを大きく3つにまとめると、次のとおりです。
- 読む(手順1〜3):見出しだけで5W1Hを予想 → 最初の段落(リード)で5W1Hを確かめる → 本文を読み、どの段落がいちばん大事かを考える。
- 気づく(手順4・5):見出しを「ふつうの文」に戻して、見出しの文法のきまりを見つける。時間があれば、日本語の新聞の見出し・書き出しと比べる。
- 書く(手順6):自分の学校や地域の出来事を、見出し+3文のニュースにして、クラス新聞として読み合う。
ニュース記事の型:見出し・リード・逆ピラミッド
授業の前に、先生が押さえておきたい型は3つです。
① 逆ピラミッド(inverted pyramid):ニュース記事は、いちばん大事な事実を最初に書き、そのあとを大事な順に並べる形が基本です。米パデュー大学のライティング教材は、この形の利点として、紙面が足りないときに編集者が記事の最後から削っても、大事なことが残る点をあげています。一方で、結末を先に明かすので物語の書き方とぶつかる、といった批判があることや、ネットのニュースでは以前ほど中心的な形ではなくなってきたことも紹介しています 1。
② リード(lead):記事の最初の段落です。同じ教材は、リードで記事の大事な事実を伝えること、そのときの手がかりが「だれが・何を・いつ・どこで・なぜ(Five Ws)」であることを説明しています 1。このページでは「どのように(How)」も足して、5W1Hで整理します。
③ 見出し(headline):記事の内容を、ごく短くまとめたものです。見出しの英語には、ふつうの文とは違うきまりがあります(下の表)。
| きまり | オリジナルの見出しの例 | ふつうの文に戻すと |
|---|---|---|
| 冠詞(a, the)を省く | Boy Finds Old Coin in River | A boy found an old coin in a river. |
| be 動詞を省く | Town Festival Back After Three Years | The town festival is back after three years. |
| 過去の出来事も現在形で書く | Students Win Robot Contest | Some students won a robot contest. |
| 未来のことは to+動詞の原形 | City to Build New Library | The city is going to build a new library. |
| 受け身は be を省いて過去分詞だけ | Lost Dog Found in Park | A lost dog was found in a park. |
| 名詞を並べて短くする | School Lunch Price Plan | a plan about the price of school lunch |
ケンブリッジ大学出版局の文法解説は、見出しの文法の主な特徴として、名詞を並べることと、冠詞や動詞(特に be 動詞)を省くことをあげ、過去の出来事にも現在形を使うこと、未来の出来事に to 不定詞を使うことを説明しています 2。フランスの英語学者 Florent Moncomble 氏が英語圏の新聞の見出しを分析した論文でも、冠詞や be 動詞が省かれること、過去の出来事に現在形が使われること、名詞を並べる形が見出しの特徴として示され、be が省かれて過去分詞だけが残る受け身の見出しの例もあげられています 3。
なぜ現在形を使うのかについては、説明が分かれます。ケンブリッジの解説は、ニュースをより劇的で身近なものに感じさせるため、としています 2。Moncomble 氏は、見出しの言葉が短いのは紙面が狭いからだ、という昔からの説明に対して、紙面の制約がないネットのニュースでも同じ書き方が続いていることを指摘し、見出しの文法は、その記事が読み手にとって読む価値のあるものだと伝えるための工夫だ、と論じています 3。授業では、生徒に「なぜだと思う?」と考えさせる材料になります。
なお、見出しの書き方(大文字の使い方など)は新聞社ごとに違います。表のきまりは「よく見られる傾向」として扱い、生徒には「ふつうの英作文では冠詞や be 動詞を省かない」とはっきり伝えます。
授業の流れ(分ごと)
記事1本(中学は100語前後、高校は120〜150語)を使って、45〜50分で進める例です。時間が足りなければ、手順1〜4と手順5・6を2時間に分けます。
| 時間 | ステップ | 先生 | 生徒 |
|---|---|---|---|
| 0:00〜5:00 | ① 見出しで予想 | 見出しだけを黒板に書く(または映す) | 本文を紙で隠し、5W1H表の左の列に予想を書く。ペアで比べる |
| 5:00〜10:00 | ② リードで5W1H | 「最初の段落だけ読もう」と指示 | リードを読み、表の右の列を埋める |
| 10:00〜18:00 | ③ 本文で確かめる | 全文を読ませ、逆ピラミッドの問いを出す | 予想と比べる。いちばん大事な段落・削れる段落を選ぶ |
| 18:00〜26:00 | ④ 見出しの文法 | 見出し4本を「ふつうの文」に戻させる | ペアで戻し、きまりを見つけて名前をつける |
| 26:00〜31:00 | ⑤ 日本語の新聞と比べる(任意) | 学校にある日本語の新聞を1部見せる | 見出しとリードの書き方の同じ所・違う所を言う |
| 31:00〜46:00 | ⑥ 自分の記事 | 話題の例を示し、机の間を回る | 見出し+3文の記事を書く。ペアで読み合い、5W1Hがあるか確かめる |
| 46:00〜50:00 | まとめ | 2〜3本を紹介する | 振り返りに ✓ |

- 見出しで予想(個人→ペア・5分):ワークシートの本文を紙で隠させ、見出し(Students Open Free Book Box at Station)だけを読ませます。5W1H表の左の列(My guess)に、予想を単語で書きます。わからない所は「?」のままでかまいません。ペアで予想を比べ、"I think they made a library at a station." のように1文で言い合います。予想をしておくと、本文を「答え合わせ」のつもりで読めます。
- リードで5W1H(個人・5分):「最初の段落(1)だけを読む」と指示します。表の右の列(From the article)を埋め、リードだけで5W1Hのどれがわかったか、どれがまだわからないかを確かめさせます(この記事では How がリードにありません)。答え合わせは、先生が Who? When? と聞いて全体で短く行います。
- 本文で確かめる・逆ピラミッド(個人→ペア・8分):全文を読み、残りの How を段落(2)(3)から見つけます。次に、ワークシートの Inverted pyramid の2問に答えます。「紙面が足りない。編集者はどの段落から削る?」と聞き、最後の段落を削っても大事なことは伝わることを確かめます。ここで「大事なことから先に書く=逆ピラミッド」を板書します。
- 見出しの文法に気づく(ペア・8分):ワークシートの4本の見出しを、ペアで「ふつうの文」に戻します。先生はきまりを先に教えず、"The students opened the free book box on Monday. Why does the headline say 'Open'?" のように問いかけます。戻したら、各自が見つけたきまりに名前をつけます(例:「a, the がない」「is がない」「過去なのに現在形」)。最後に全体で上の表のきまりを確かめます。(文法を自分で見つける進め方は 文法発見 と同じです。)
- 日本語の新聞と比べる(任意・全体・5分):学校の図書室などにある日本語の新聞を1部持ってきて、1つの記事の見出しと最初の段落を見せます。「日本語の見出しで省かれている言葉は?」「最初の段落に5W1Hはある?」と聞き、英語の記事と同じ所・違う所を生徒に言わせます。ここで答えを1つに決める必要はありません。新聞そのものを見せるだけにし、コピーを配るときは下の「著作権」の節を先に読んでください。
- 自分たちのニュースを書く(個人→ペア・15分):学校や地域の最近の出来事(行事・部活の結果・新しくできた物など)を1つ選び、ワークシートの My news に見出し+3文で書きます。1文目(リード)に Who / What / When / Where / Why を入れ、2文目以降は大事な順に。見出しは手順4のきまりを1つ以上使います。書いたらペアで交換し、相手の1文目に5W1Hがいくつ入っているかを数えて伝えます。時間があれば、だれかの話を聞いて引用("..." said Ms. Sato, our P.E. teacher.)を1文足します。
- クラス新聞にする(次の時間・任意):清書した記事を模造紙や掲示板に貼り、ギャラリーウォーク で読み合います。読んだ記事に、付せんで質問か感想を1つ残します。
すべてオリジナルの架空のニュースです。実在の記事・見出しは入れていません。
手順4:見出しをふつうの文に戻す(答えは → の後)
- Boy Finds Old Coin in River → A boy found an old coin in a river.
- Students Win Robot Contest → Some students won a robot contest.
- City to Build New Library → The city is going to build a new library.
- Lost Dog Found in Park → A lost dog was found in a park.
- Town Festival Back After Three Years → The town festival is back after three years.
- School to Start Lunch Time Concerts → The school is going to start concerts at lunch time.
- Heavy Snow Expected This Weekend → Heavy snow is expected this weekend.
- Local Bakery Wins National Bread Prize → A local bakery won a national bread prize.
手順6:自分の記事の話題(学校・地域) 9. 体育祭・文化祭・合唱コンクールの結果 10. 部活動の大会の結果、新しくできた部・同好会 11. 学校に新しくできた物(図書室の新しい本、新しい自販機、花壇) 12. 地域の行事(お祭り、清掃活動、商店街のイベント) 13. ALT の先生や新しく来た先生の紹介(本人に話を聞いて引用を1文)
手順6:リードの型(1文目) 14. [Who]+[did what]+[where]+[when]+ to / because [why]. (例:Students in Class 2-3 cleaned the beach near our school on Saturday because there was a lot of plastic.)
高校向けの記事(約130語) 15. City to Test Self-Driving Bus Aozora City will start testing a self-driving bus next month on a three-kilometer route between the station and the city hospital, the city said on Tuesday. The small bus can carry 12 passengers. During the three-month test, a staff member will sit in the driver's seat and take control if there is a problem. The city does not have enough bus drivers, and two bus lines were cut last year. City officials hope self-driving buses will help older people who cannot drive. Some people are worried about safety. "I want to see how it works on rainy days first," said a woman who visits the hospital every week. Rides will be free during the test. The city will decide in the spring whether to use the bus every day.
15の続報の見出し(続けて読ませるとき) 16. Self-Driving Bus Test Begins; Riders Give Mixed Reviews 17. Self-Driving Bus Stops for Ten Minutes in Heavy Rain 18. City Decides to Use Self-Driving Bus Every Day From April
- 中学:記事は先生が書いた100語前後のもの(ワークシートの記事)を使います。手順4は「冠詞がない」「過去なのに現在形」の2つにしぼってもかまいません。手順6は見出し+2文でもよしとします。教科書の本文を「ニュース風」に書き直した記事を使うと、本文の復習にもなります。
- 高校:上の高校向けの記事のように、賛否の分かれる話題を選び、手順6の後に「この記事に対する自分の意見」を3〜4文で書かせます。学校で読める英字新聞があれば、短い記事を1本選んで同じ手順で読ませます。同じ出来事を追う続報を何日分か続けて読ませると、同じ語が何度も出てきて読みやすくなります(下の「なぜ効く?」)。
- 苦手な生徒が多いクラス:5W1H表に選択肢を入れておきます(例:When: on Monday / in June)。手順4は、見出しとふつうの文を線で結ぶ形にします。手順6は、リードの型(素材14)の[ ]に語を入れるだけでかまいません。
- 小学校:英字新聞は使いません。先生が学校の出来事を1文ニュースにして読み上げ(例:Our class went to the zoo on Friday.)、Who? When? Where? と聞いて答える程度にします。5・6年生なら、自分のニュースを I / We で1文書き、絵をそえて「クラスのニュース」の掲示にできます。
- 大人数クラス:手順6の記事を4人班で1本にまとめ、班ごとに「1面の記事」として清書させます。読み合いは掲示して時間を決めて回るので、全員の記事を前で発表する必要はありません。
- タブレット・ICT:自分の記事は、クラスだけが見られる共有ボードに書き込ませると、ほかの人の記事にコメントを残せます。学習者向けにやさしく書き直されたレベル別のニュースを使う方法もあります。その場合も、同じ話題をやさしい版で読んでから元の記事に進むなど、手順1〜3は同じです。実在の記事の画面を配信するときは、下の「著作権」の節を先に読んでください。
- 知識・技能:見出しの文法のきまり(冠詞・be 動詞の省略、時制)を説明できるか(手順4の表)。リードから5W1Hを正しく抜き出せるか。
- 思考・判断・表現:自分の記事で、読み手が知りたい大事な情報を1文目に置き、残りを大事な順に並べているか(My news)。ふつうの英作文と見出しの書き方を使い分けているか。
- 主体的に学習に取り組む態度:予想と記事の内容を比べ、わからない語を前後から推測しようとしているか。何回かの記事づくりで、ペアに指摘された5W1Hの抜けを次の記事で直しているか。1回の授業で決めず、振り返りと複数回の記事から判断します(この観点は、粘り強い取組の中で自分の学習を調整しようとしているかも含めて見るものです 4)。
| 見る点 | よくできている | できている | もう少し |
|---|---|---|---|
| 5W1H | 6つすべてを記事から正しく抜き出している | 4〜5つを正しく抜き出している | 3つ以下 |
| 見出しの文法 | 4本すべてをふつうの文に戻し、きまりを説明できる | 3本以上を戻している | 2本以下 |
| 自分の記事 | 1文目に Who・What・When・Where がそろい、2文目以降が大事な順。見出しのきまりを使っている | 1文目に Who・What がある。3文書いている | 日記のような書き方で、何のニュースかが最後までわからない |
- 英字新聞の記事が難しすぎて、手が止まったら → 記事を短いもの(段落3〜4つ)にし、知らない語には語注をつけます(玉手箱の「英文の語彙レベル判定」で当たりをつける)。手順2・3は「5W1Hだけを探す」と目的をしぼり、全部の語を訳させません。それでも難しければ、先生が書いた記事に切りかえます。
- 「見出しの英語はまちがいだ」と言う生徒がいたら → 見出しには見出しのきまりがある、と伝えます。そのうえで、ふつうの英作文やテストでは冠詞や be 動詞を省かないことを、手順4の最後にはっきり確かめます。
- 自分の記事が日記になったら(I went to ... I was happy.) → 「読むのは学校の外の人」と設定し、主語を Students in Class 2-3 や Our soccer team にさせます。1文目に5W1Hを入れ、感想ではなく出来事から書き始めます。
- うわさや確かめていないことを書いたら → ニュースは事実を書くもの、と確認します。だれかに話を聞いて、その人の言葉を "..." said ... の形で引用させると、事実と意見を分けて書けます。
- 悲しい事故や災害のニュースを素材にしたくなったら → クラスに関係する生徒がいないかを先に考えます。この活動のねらいは記事の型と英語なので、学校や地域の身近で明るい話題で十分に進められます。
- クラス新聞を掲示・公開したくなったら → 生徒の名前や写真を学校の外の人が見られる所に出すときは、学校の決まりを確かめます。掲示は教室内にとどめるのが安全です。
著作権:実在の記事を授業で使うとき
オリジナルの記事を使うなら著作権の心配はありませんが、本物の英字新聞を使いたい先生も多いはずです。ここでは、文化庁と、教育関係者・権利者などでつくる「著作物の教育利用に関する関係者フォーラム」の資料で確かめられた範囲だけを書きます。このページは法律の助言ではありません。迷うときは、学校の決まりを確認し、管理職や教育委員会に相談してください。(歌詞や動画の場合は 洋楽で英語の授業 の著作権の節も参考になります。)
まず前提として、新聞記事のような言語の著作物は著作権で守られます。記者が仕事として書いた新聞記事は、新聞社が著作者になる場合があります。事実を伝えるだけの雑報や時事の報道は著作物に当たらない、という規定もありますが(第10条第2項)5、どの記事がそれに当たるかをその場で見分けるのは難しいので、ここでは記事は著作物として扱う前提で書きます。
| 場面 | 資料で確かめられたこと | 授業での注意 |
|---|---|---|
| 記事をコピーして配る・授業で映す | 営利を目的としない教育機関で、授業のために必要と認められる限度で、著作権者の利益を不当に害しない場合は、許諾なしで複製できる(第35条)。慣行があるときは出所を示す 5。運用指針は、新聞に掲載された記事を、授業に必要な限度内であれば全部を複製しても著作権者の利益を不当に害しない可能性が高い例にあげ、新聞の写真と記事をコピーして授業用のプレゼンテーション資料を作ることを、許諾不要・無償の例にあげている 6 | コピーの部数は、授業を受ける生徒と先生の数まで 6。新聞名と日付を書く。授業のために作ったコピーを、授業以外の目的に使わない 5。塾など営利の教育機関はこの規定の対象外 5 |
| 記事を授業支援クラウドに上げる・端末に配信する | 公衆送信にあたる。教育機関の設置者が事前に SARTRAS(授業目的公衆送信補償金等管理協会)に登録して補償金を払う必要がある 5。運用指針は、複数の新聞記事をプレゼンテーションソフトにまとめてクラウド・サーバに上げることを、許諾は不要だが補償金が必要な例にあげている。ID とパスワードなどで、授業を受ける生徒だけが見られるようにする 6 | 自分の学校(設置者)が登録しているかを確かめる |
| 学校のホームページなど、だれでも見られる所に載せる | だれでもアクセスできる形での公衆送信は、著作権者の利益を不当に害する例にあげられている 6 | 実在の記事や写真は、クラス新聞の公開版に入れない。生徒が書いた自分の記事だけにする |
| 記事をやさしい英語に書き直して配る | 第35条の利用では、翻訳・編曲・変形・翻案もできるとされている 5 | 元の記事の新聞名・日付を示す。書き直した版も、授業の外には出さない |
日本の NIE(教育に新聞を)
学校で新聞を教材として使う取り組みは NIE(Newspaper in Education、教育に新聞を)と呼ばれています。日本新聞協会によると、1930年代のアメリカで始まり、日本では1985年に提唱されました。都道府県ごとの NIE 推進協議会が中心になり、新聞協会は推進協議会の推薦を経て実践指定校を認定し、新聞協会と新聞社が新聞の購読料を全額補助する新聞提供事業を行っています。推進協議会は、先生どうしの勉強会や記者の出前授業なども行っています 7。英字新聞が手に入るかどうかなど、くわしくは各地の推進協議会に問い合わせてください。
学習指導要領の総則も、中学・高校ともに、統計資料や新聞などの教材・教具を適切に活用することを求めています 89。
学習指導要領の解説に、この読み方が例として出ている。 高校の「英語コミュニケーションⅡ」の読むことの言語活動の解説では、新聞記事や広告から必要な情報を読み取る活動について、読む前に見出しや、それぞれの媒体に特有の表現に注目させること、網羅的に読むのではなく who・what・when・where などに答える形で情報を探し出す読み方を指導することが例としてあげられています。また、読んで終わりにせず、読み取った内容をもとに自分の考えをまとめることも求めています 10。中学校の解説でも、書くことの活動の例に、関心のある話題について新聞の投稿欄などに投稿すること、社会的な話題についての意見を新聞などへの投稿文の形式で書くことがあげられています 11。手順1〜3と手順6は、この流れを1時間の活動にしたものです。
見出しで予想するのは、知っていることを呼び起こすため。 外国語の文章の理解は、文字から意味を受け取るだけでなく、読み手がすでに持っている知識(スキーマ)と文章とのやり取りで成り立つ、と論じられてきました 12。見出しで予想する手順1は、その知識を読む前に呼び起こす手立てです(くわしくは 予測読み)。
本物の英語には、教科書とは違う学びがある。 本物の教材の研究を続けてきた Alex Gilmore 氏は、総説で、教科書の英語と本物の英語の差、動機づけ、文章の難しさと課題の作り方などを、本物の教材をめぐる主な論点として整理しています 13。同氏が日本の大学2年生62人を対象に10か月かけて行った準実験では、本物の教材とそれに合わせた課題で学んだクラスが、教科書で学んだクラスより、コミュニケーション能力を測る8つのテストのうち5つで上回りました 14。ただしこれは大学生の研究で、本物の教材全般を使ったものです。新聞の効果を取り出して調べたものではありません。新聞を使えば英語力が伸びる、と言える研究ではありません。
ただし、本物の記事は語彙の負担が大きい。 語彙の研究で知られる Paul Nation 氏は、辞書なしで書かれた英語を理解するには、8,000〜9,000語族(play, plays, played のような変化形に加え、player, playful のような一定の派生語もまとめて1つと数える単位)が必要と見積もっています 15。中学・高校の生徒が、本物の英字新聞をすらすら読めないのは当然です。だからこのページでは、見出しとリードから「5W1Hだけを探す」ように目的をしぼります。
続報を続けて読むと、語彙の負担が軽くなる。 Nation 氏の指導のもとで Kyongho Hwang 氏が書いた修士論文は、英字新聞の記事を分析し、最もよく使われる2,000語と固有名詞を知っていれば、記事の語のおよそ90%をカバーできると見積もりました。さらに、同じ出来事を4日続けて追った続報の記事と、関係のない記事4本を比べ、続報のほうが2,000語の外の語がくり返し出てくるので、語彙の負担を大きく減らせると報告しています 16。高校のアレンジで続報を読ませるのは、このためです。
やさしく書き直した記事も、本物の記事も、それぞれに役割がある。 学習者向けにやさしく書き直した文章と本物の文章をコンピュータで比べた研究では、両者は言語的に大きく異なるものの、その違いは、それまで言われてきたとおりとは限りませんでした 17。どちらが良いと決めつけず、クラスの力に合わせて、先生が書いた記事・やさしく書き直したニュース・本物の記事を使い分けるのが現実的です。
まとめると、このページの6ステップの流れそのものを調べた研究はありません。学習指導要領の解説が示す読み方(見出しに注目し、5W1Hで情報を探し、考えをまとめる)を軸に、語彙の負担を減らす工夫(目的をしぼる・続報を読む・オリジナルの記事を使う)を組み合わせたのが、このページの提案です。
❓ よくある質問
Q. 英字新聞を使った英語の授業は、どんな流れで進めればいいですか?
記事を1本使い、①見出しだけで5W1Hを予想 → ②最初の段落(リード)で5W1Hを確かめる → ③本文を読み、いちばん大事な段落・削れる段落を考える → ④見出しをふつうの文に戻して文法のきまりを見つける → ⑤日本語の新聞と比べる(任意)→ ⑥自分の学校や地域のニュースを見出し+3文で書く、の6ステップで進めます。45〜50分が目安で、2時間に分けてもかまいません。
Q. 英語の新聞の見出しには、どんな文法のきまりがありますか?
よく見られるのは、冠詞(a, the)や be 動詞を省く、過去の出来事にも現在形を使う、未来のことを to+動詞の原形で表す、名詞を並べて短くする、といったきまりです 23。受け身も be が省かれ、過去分詞だけが残ります(例:Lost Dog Found in Park)3。ふつうの英作文ではこうした省略をしないことも、あわせて伝えます。
Q. 中学生に本物の英字新聞は難しすぎませんか?
書かれた英語を辞書なしで理解するには8,000〜9,000語族が必要という見積もりがあり 15、本物の記事をすらすら読めないのは当然です。中学では先生が書いた100語前後のオリジナルの記事を使い、本物の記事を使うときも「5W1Hだけを探す」と目的をしぼります。高校では、同じ出来事の続報を続けて読むと、同じ語がくり返し出てきて語彙の負担が軽くなるという分析もあります 16。
Q. 新聞記事をコピーして授業で配っても著作権は大丈夫ですか?
営利を目的としない学校の授業で、必要と認められる限度であれば、著作権法第35条により許諾なしで複製できます 5。運用指針は、新聞記事は授業に必要な限度内なら全部を複製しても権利者の利益を不当に害しない可能性が高い例にあげています。コピーは生徒と先生の数まで、クラウドに上げるときは設置者の補償金の手続きが前提で、だれでも見られる所には載せません 6。迷うときは学校の決まりを確認してください。
Q. ニュース・リテリングとはどう違いますか?
ニュース・リテリングは、短いニュースを聞いてキーワードをメモし、ペアに1分で話して伝え直す10〜15分の帯活動です。このページの活動は、記事を読んで見出し・リード・本文の型をつかみ、見出しの文法に気づき、最後に自分で記事を書く45〜50分の活動です。聞く・話すならリテリング、読む・書くならこちら、と使い分けます。
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📑 出典(17件)
本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。
- Purdue Online Writing Lab (2026). The Inverted Pyramid Structure. Purdue OWL(Purdue University) 公式ページ ✔ リンク確認済米パデュー大学のライティング教材。ニュースの逆ピラミッド(大事な事実から先に書く)の構成、リード文と Five Ws、利点と批判を説明
- Cambridge University Press & Assessment (2026). Newspaper headlines(English Grammar Today). Cambridge Dictionary 公式ページ ✔ リンク確認済ケンブリッジ大学出版局の文法解説。見出しでは冠詞や be 動詞を省く、過去の出来事にも現在形を使う、未来のことを to 不定詞で表す、と説明
- Moncomble, F. (2018). The deviant syntax of headlinese and its role in the pragmatics of headlines. E-rea, 15(2). doi:10.4000/erea.6124 ✔ DOI照合済英米の新聞の見出し(2014年の129本など)の文法を分析した論文。冠詞や be 動詞を省く、過去の出来事を現在形で書く、名詞を並べる、などの特徴と、その働きを論じる
- 文部科学省 (2019). 小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知) 公式ページ ✔ リンク確認済観点別学習状況の評価を「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点に整理した文科省の通知(2019年)
- 文化庁著作権課 (2026). 著作権テキスト(令和8年度版) 公式ページ ✔ リンク確認済文化庁の著作権の入門テキスト。学校の授業での複製・公衆送信(第35条)、非営利・無料の上演・演奏(第38条)、私的使用の複製と違法ダウンロード(第30条)の条件を解説
- 著作物の教育利用に関する関係者フォーラム (2020). 改正著作権法第35条運用指針(令和3(2021)年度版) 公式ページ ✔ リンク確認済教育関係者・権利者・有識者のフォーラムがまとめた、授業での著作物の複製・公衆送信の運用指針(SARTRAS のサイトで公開)
- 日本新聞協会 (2026). NIEとは. NIE 教育に新聞を 公式ページ ✔ リンク確認済日本新聞協会の NIE(教育に新聞を)の公式説明。1930年代のアメリカで始まり、日本では1985年に提唱。実践指定校の制度など
- 文部科学省 (2017). 中学校学習指導要領(平成29年告示) 公式ページ ✔ リンク確認済中学校の学習指導要領。外国語科の目標(5領域)・言語材料・指導計画の作成と内容の取扱いを示している
- 文部科学省 (2018). 高等学校学習指導要領(平成30年告示) 公式ページ ✔ リンク確認済高等学校の学習指導要領。総則の標準単位数・必履修科目(英語コミュニケーションⅠ)と、外国語科の各科目の目標・内容を示している
- 文部科学省 (2018). 高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 外国語編 英語編 公式ページ ✔ リンク確認済高校の科目構成(英語コミュニケーションⅠ〜Ⅲ・論理・表現Ⅰ〜Ⅲ)、「支援」の考え方、語数、授業は英語での趣旨を説明した公式の解説
- 文部科学省 (2017). 中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 外国語編 公式ページ ✔ リンク確認済中学校外国語科の目標(5領域)・言語材料(語数・文法事項)・指導計画の作成(授業は英語で行うことを基本とする等)を説明した公式の解説
- Carrell, P. L., & Eisterhold, J. C. (1983). Schema theory and ESL reading pedagogy. TESOL Quarterly, 17(4), 553-573. doi:10.2307/3586613 ✔ DOI照合済背景知識(スキーマ)が第二言語の読解を左右することを論じた古典的論文
- Gilmore, A. (2007). Authentic materials and authenticity in foreign language learning. Language Teaching, 40(2), 97-118. doi:10.1017/S0261444807004144 ✔ DOI照合済外国語学習で本物の教材(authentic materials)を使うことをめぐる研究の総説。教科書の英語と本物の英語の差、動機づけ、文章の難しさと課題の作り方などを整理
- Gilmore, A. (2011). "I prefer not text": Developing Japanese learners' communicative competence with authentic materials. Language Learning, 61(3), 786-819. doi:10.1111/j.1467-9922.2011.00634.x ✔ DOI照合済日本の大学2年生62人の10か月の準実験。本物の教材と課題で学んだクラスが、教科書で学んだクラスより、8つのテストのうち5つで上回った
- Nation, I. S. P. (2006). How large a vocabulary is needed for reading and listening?. The Canadian Modern Language Review, 63(1), 59-82. doi:10.3138/cmlr.63.1.59 ✔ DOI照合済書かれた英語の理解に8,000〜9,000語族、話し言葉に6,000〜7,000語族が必要と推定した論文
- Hwang, K. (1989). Reading newspapers for the improvement of vocabulary and reading skills. Victoria University of Wellington(修士論文) 公式ページ ✔ リンク確認済英字新聞の記事の語彙を分析した修士論文(指導教員は Paul Nation 氏)。同じ出来事を追う続報の記事を続けて読むと、関係のない記事を読むより、知らない語の負担が減り、同じ語に何度も出会える
- Crossley, S. A., Louwerse, M. M., McCarthy, P. M., & McNamara, D. S. (2007). A linguistic analysis of simplified and authentic texts. The Modern Language Journal, 91(1), 15-30. doi:10.1111/j.1540-4781.2007.00507.x ✔ DOI照合済学習者向けにやさしく書き直した文章と本物の文章を、コンピュータで言語的に比べた研究。両者は大きく異なるが、必ずしも予想どおりの違いではなかった
最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら









