予測読み ― タイトルと絵から「何が書いてあるか」を当ててから読む
本文を開く前に、タイトル・写真・キーワードだけを見せて「どんな話だと思う?」とペアで予想させます。たった3分の準備で、生徒は「答え合わせ」のつもりで本文を読み始めます。
- ⏱ 時間
- 5-10分
- 🧰 準備
- 少し
- 👥 形態
- ペア
- 🎯 技能
- リーディング・やり取り
- 📶 CEFR
- A1-B1

- 話題について生徒がすでに知っていること(背景知識)を呼び起こし、読む準備を整える。
- 「予想を確かめる」という読む目的をつくり、最後まで意味を追って読ませる。
- ペアで予想を話すことで、短い英語のやり取りの機会をつくる。
予測読みってなに?
ひとことで言うと、本文を読む前にタイトル・絵・キーワードから中身を予想し、その予想を確かめるつもりで読む読み方です。
映画の予告編を見てから本編を見るようなものです。予告編で「たぶんこうなる」と思っていると、本編で「やっぱり」「えっ、そうくるの?」と気づきながら見られます。予想が当たったかどうかより、確かめる目で読むことが大事です。
似た「読む前の活動」とのちがい
| 予測読み | 読む前の新出語の説明 | スキャニング | |
|---|---|---|---|
| 読む前にすること | タイトル・絵・キーワードから中身を予想する | 知らない語の意味を教わる | 問いを読んで、探す情報を決める |
| 読み方 | 予想と比べながら全体を読む | 本文を最初から読む | 答えの語や数字だけを探す |
| 読みながら考えること | 「予想は当たってる?」 | 「この語は習った」 | 「答えはどこ?」 |
やり方を3ステップで
- 見せる:本文はまだ配らず、タイトル・写真・キーワードだけを見せる。
- 予想する:ペアで「誰が出てくる?」「何が問題?」「どんな結末?」を話し、何組かの予想を黒板に書く。
- 読んで確かめる:本文を読み、当たった所に✓、はずれた所に✗をつけ、「どこが意外だった?」を話す。
授業の流れ(分ごと)
| 時間 | 先生 | 生徒 |
|---|---|---|
| 0:00〜0:30 | タイトル・絵・キーワード3〜6語を示す | 見る |
| 0:30〜1:30 | "Talk with your partner." | ペアで予想を話し、表に書く |
| 1:30〜3:00 | 何組かに予想を言ってもらい、板書 | 予想を発表 |
| 3:00〜6:00 | 本文を配る | 黙読。予想に ✓ / ✗ |
| 6:00〜8:00 | "Which guess was the closest?" | 答え合わせ・意外だった点を話す |

- 見せる(30秒):タイトル・写真やイラスト・キーワード(本文から選ぶ)を黒板やスクリーンに出す。本文はまだ配らない。
- 予想する(1分):ペアで「誰が出てくる?」「どこで?」「何が問題?」「どんな結末?」を話す。英語が難しければ日本語まじりでOK。
- 共有する(1〜2分):何組かに予想を言ってもらい、黒板に短く書く("A boy finds a bag." など)。予想はいくつ出てもよい。
- 読む:本文を配り、「予想は当たっているかな?」と黙読させる。当たった部分に✓、はずれた部分に✗。
- 答え合わせ:「いちばん近かったのは?」「どこが意外だった?」を話す。はずれた予想の中には、本文の意外な点や大事なポイントに気づく手がかりになるものがあります。
- 板書:黒板を左右に分け、左に「予想」、右に「本文では」を書くと、比べやすくなります。
予測読みに使えるオリジナルの「タイトル+キーワード」セットです。先生が本文を書くときの設計図にもなります。
中1〜中2
- Title: My Grandfather's Bike / Key words: old, red, garage, repair, ride together
- Title: The Lost Cat / Key words: poster, rain, neighbor, box, kittens
- Title: A Letter from Canada / Key words: pen pal, snow, photo, Japanese food, visit
- Title: The School Garden / Key words: seeds, summer vacation, water, tomatoes, salad
中3〜高1 5. Title: The Robot Teacher / Key words: classroom, mistake, students, laugh, human 6. Title: Plastic in the Sea / Key words: beach, turtle, bags, clean-up, volunteers 7. Title: Why Do We Yawn? / Key words: tired, brain, friends, copy, scientists
予想を引き出す問い 8. Who is in the story? 9. Where and when does it happen? 10. What goes wrong? 11. How does it end? 12. What do you already know about this topic?
論説文で使う問い(高校) 13. Is the writer for or against the idea? 14. What examples will the writer use?
- 小学校:絵本の表紙を見せて "What's this?" "What happens next?" とページをめくるたびに予想。読み聞かせの定番の問いかけです。
- 中学:新しい課に入るとき、教科書の扉の写真とタイトルで予想。キーワードは既習語から選ぶと話しやすくなります。
- 高校:論説文では、タイトルと各段落の最初の1文だけを読んで「筆者の主張」を予想させる。読み終えたら、予想と本文の主張を比べる。
- 大人数クラス:予想を全員に言わせる代わりに、「A:動物の話 B:家族の話 C:学校の話」の3択で挙手。1分ほどで、どの生徒も自分の予想を1つ持てます。
- 苦手な生徒が多いクラス:予想は日本語でOK、表には単語だけでよいとする。キーワードには絵や日本語訳を添えます。
- オンライン・タブレット:画像だけを共有し、予想をチャットや共有ボードに書きこむ。読み終わったら同じボードを見返して答え合わせ。
- 知識・技能:本文を読んで、予想との一致・不一致を正しく判断できる(✓/✗の正しさ)。
- 思考・判断・表現:タイトルやキーワードから、筋の通った予想を立て、英語(または日本語まじり)で伝えられる。
- 主体的に学習に取り組む態度:予想がはずれても、本文のどこが違ったかを考え、次の予想や読み方に生かそうとしている。1回の活動だけで決めず、単元を通して何回かのふり返りを並べ、粘り強さと読み方の調整を見ます。
下の表は、この時間の指導に生かすための観察の例(予想と比べ方を見る目安)です。通知表などの観点別評価は、単元の目標に合わせて観点ごとに規準を別に決めます。
| 段階(観察の例) | 予想の根拠 | 本文との照らし合わせ |
|---|---|---|
| A | キーワードを複数つないで予想を立てている | 一致・不一致を、本文の該当箇所を示して説明できる |
| B | キーワード1つをもとに予想を立てている | ✓✗はおおむね正しいが、根拠の説明があいまい |
| C | 予想が立てられない | ✓✗の判断に誤りが多い |
2つの列は別々に見ます(例:予想は単純でも、照らし合わせは正確な生徒もいます)。
予想が当たったかどうかは評価しません。「根拠のある予想」と「本文との比べ方」を見ます。
- 予想に時間をかけすぎて読む時間がなくなる → 予想は1〜2分で切る。タイマーを映すとけじめがつきます。
- 正解を先に言ってしまう → 「そう、これは犬の話です」と先生が答えると、読む目的が消えます。答え合わせは本文で。
- 予想が出ない・沈黙する → 3択(A/B/C)を示して選ばせる、または「Who?」だけに問いをしぼります。
- 予想がふざけた方向に行く → 楽しい予想は歓迎しつつ、「キーワードを2つ以上使って」とルールを足すと、根拠のある予想になります。
- はずれた生徒ががっかりする → 「はずれた所に、この話の意外な点や大事な所が隠れていることがある」と伝え、意外さを楽しむ雰囲気をつくります。
外国語で読むとき、理解は文字から意味を受け取るだけでは決まりません。読み手がもともと持っている知識(スキーマ)と文章とのやり取りで意味ができあがる、というのがスキーマ理論の考え方で、その知識は文化によっても違うと指摘されています。だからこそ、読む前に関連する知識を呼び起こす活動が大切になります 1。
タイトルやキーワードから予想するこの活動そのものを調べた実験ではありませんが、関連する「読む前の活動」を比べた実験があります。ブラジルの大学生40人が4つの文章を、それぞれ違う条件で読みました。本文に関係する絵を見せ、それについて話し合ってから読む(絵を見せるだけの条件ではありません)、本文の内容を1文で聞き、答えがありそうな問いを自分たちで考えてから読む、単語を先に教わってから読む、の3つの条件は、どれも何もせずに読むより多肢選択テストの点が高く、単語の事前指導は、ほかの2つより効果が小さかったのです。一方、自由に答えを書く問題では、条件による差は見られませんでした 2。自分たちで問いを立てる条件は、予想を立ててから読むこの活動に近い形です。読む前に新出語を説明することもよくありますが、絵や問いで中身を想像させる読む前の活動が、多肢選択の理解テストの点を高めた場合がある、という点は授業づくりの手がかりになります。
ただし、この実験はブラジルの大学生を対象にした結果で、中高生の教科書本文でも同じかはわかりません。新出語の確認が不要だという意味でもなく、予測と組み合わせるのが現実的です。
❓ よくある質問
Q. 予測読みは、どう進めますか?
本文を配る前に、タイトル・写真やイラスト・本文から選んだキーワード3〜6語を見せ、ペアで「誰が?どこで?何が問題?どんな結末?」を1分話させます。予想を板書したら本文を配り、当たった所に✓、はずれた所に✗をつけながら黙読させます。
Q. 読む前は、新出語の説明をしたほうがいいのではありませんか?
タイトルからの予想そのものを調べた実験ではありませんが、読む前の活動を比べたブラジルの大学生40人の実験では、本文に関係する絵を見て話し合う・本文の要約を聞いて自分たちで問いを考える・単語を先に教わる、のどれも何もせずに読むより多肢選択テストの点が高く、単語の事前指導はほかの2つより効果が小さめでした(自由記述の問題では差がありませんでした)2。大学生の結果なので、新出語の確認と予測を組み合わせるのが現実的です。
Q. 予想が出ずに、沈黙してしまいます。
「A:動物の話 B:家族の話 C:学校の話」のような3択を示して選ばせるか、問いを「Who?」だけにしぼります。苦手な生徒が多いクラスでは、予想は日本語でOK、表には単語だけでよいとします。
Q. 予想がはずれた生徒は、どうフォローしますか?
「はずれた所に、この話の意外な点や大事な点が隠れていることもある」と伝え、意外さを楽しむ雰囲気をつくります。予想が当たったかどうかは評価せず、根拠のある予想が立てられたか、本文と比べられたかを見ます。
Q. 高校の論説文でも、予測読みは使えますか?
使えます。タイトルと各段落の最初の1文だけを読んで「筆者の主張」を予想させ、読み終えたら、予想と本文の主張を比べます。中学なら、新しい課の扉の写真とタイトルで予想させると入りやすくなります。
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📑 出典(2件)
本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。
- Carrell, P. L., & Eisterhold, J. C. (1983). Schema theory and ESL reading pedagogy. TESOL Quarterly, 17(4), 553-573. doi:10.2307/3586613 ✔ DOI照合済背景知識(スキーマ)が第二言語の読解を左右することを論じた古典的論文
- Taglieber, L. K., Johnson, L. L., & Yarbrough, D. B. (1988). Effects of prereading activities on EFL reading by Brazilian college students. TESOL Quarterly, 22(3), 455-472. doi:10.2307/3587289 ✔ DOI照合済ブラジルの大学生40人。絵で状況をつかむ・要約を聞いて自分たちで問いを作る・単語の事前指導の3つの読む前活動で、多肢選択の理解テストの点が高まった(自由記述は差なし)
最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら





