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🎲 授業アクティビティ集中学校高校📖 約8分

ポスターセッション ― 同じ発表を、聞き手を替えて何度もくり返す

全員の前で1回だけ発表するより、教室の各所にポスターを貼り、訪れた聞き手に何度も説明する方が、一人ひとりが話す機会がぐっと増え、同じ説明をくり返すうちに、その場で話しやすくなることが期待できます。質問への即興の受け答えも自然に練習できます。

⏱ 時間
30-50分
🧰 準備
しっかり
👥 形態
グループ(3〜4人)
🎯 技能
スピーキング・やり取り
📶 CEFR
A2-B2
🛡️
このページのウラ取り 出典 3 件 ― 原田英語.comが集めて読んだ論文・専門書・公的資料。DOI・ISBN・公式ページは書誌データベースとも照合済み 原田英語.comと校閲担当が、主張と出典を1つずつ照合・AI(Codex)による独立チェック済み(2026-10-18) ウラ取りの仕組み →
ポスターセッション ― 同じ発表を、聞き手を替えて何度もくり返すのイメージ
💡ねらい
  • 同じ内容を、聞き手を替えて何度も説明することで、くり返しの中で表現を磨く。
  • 聞き手の質問にその場で答える、即興のやり取りを体験する。

ポスターセッションってなに?

ひとことで言うと、班ごとに作ったポスターを教室に貼り、発表者はポスターの前に立って、回ってくる聞き手に同じ内容を何度も説明する発表のしかたです。

🎈たとえるなら

文化祭の展示の説明係です。お客さんが来るたびに同じ説明をくり返すうちに、どこでつまずくか、どう言えば伝わるかがわかってきて、説明がなめらかになります。しかも毎回お客さんが新しいので、くり返しても飽きにくい。聞き手が替わることで、同じ説明のくり返しに自然な目的が生まれるのがポイントです。

全員の前での発表とのちがい

全員の前で1人ずつ発表 ポスターセッション
聞き手 クラス全員(1回だけ) 2人ずつ、何度も入れかわる
1人が説明する回数 1回 4回(前半または後半)
質問 時間が限られ、出にくい 毎回その場で受けて答える

やり方を3ステップで

  1. 作る:前の時間に、絵・図・キーワード中心のポスターを班で作る。
  2. 説明する:前半は各班の半分がポスターの前で発表者、残り半分が訪問者として回る(3分×4回)。
  3. 入れかえてふり返る:後半は役割を入れかえ、最後に「1回目と4回目で何が変わった?」を話し合う。

授業の流れ(分ごと)

※ポスター作りは前の1〜2時間で行い、本時はセッションのみ(50分)。

時間 活動 先生のポイント
0:00〜5:00 掲示・やり方の説明 前半・後半の役割を確認
5:00〜10:00 班内で最終練習 3分の説明を2人で分担して通しで
10:00〜24:00 前半セッション(説明3分×4回+途中の移動30秒×3回=13分30秒) 説明3分・移動30秒。最後の30秒で役割交替と移動
24:00〜38:00 後半セッション(役割交替) 同じ流れ
38:00〜45:00 ふり返り 1回目と4回目の違い
45:00〜50:00 全体共有 良かった質問・説明を紹介
ポスターセッション ― 同じ発表を、聞き手を替えて何度もくり返すの教室の配置と動き方
🗺️ 教室の配置と動き方(イメージ)
👣手順
  1. テーマとポスター作り(前時1〜2時間):例「日本の行事を紹介する」「SDGs の課題と解決策」。ポスターは絵・図・キーワードが中心で、英文は見出し程度に。
  2. 掲示と説明(5分):全班のポスターを教室の壁や黒板に間隔をあけて貼る。4人班なら、前半の発表者2人・訪問者2人を決めて板書。訪問者ペアごとに最初のポスターを1つずつ割り当てて板書する(例:1班の訪問者は2班のポスターから、2班の訪問者は3班のポスターから)。全ペアの開始位置がばらけるので、1つのポスターに聞き手が集まらない。
  3. 説明の練習(5分):班の中で、3分の説明(質疑をふくむ)を通して練習する。発表者が2人のときは、説明の前の部分と後ろの部分で分担し、毎回2人とも話すようにする。
  4. 前半セッション(3分×4回):各班の発表者2人がポスターの前に立ち、訪問者2人がペアで回る。訪問者は時間ごとに、全ペアが同じ方向(例:右どなり)の次のポスターへ動く。訪問者は最低1つ質問し、シートに記入。
  5. 後半セッション:役割を入れかえて、同じ流れをくり返す。
  6. ふり返り(7分):「1回目と4回目で、何が変わった?」を班で話し合い、シートに書く。
  7. 全体共有(5分):良かった質問・わかりやすかった説明を数人に紹介してもらう。
🗣️先生の英語(そのまま使える)
TPresenters, stay at your poster. Visitors, go to your starting poster and listen.
TYou have three minutes. Then visitors move to the next poster.
SOur poster is about Obon. Please look at this picture. People dance in the summer.
SWhy do people dance?
SThat's a good question. They dance to welcome their ancestors.
TVisitors, ask at least one question. "Why did you choose this topic?"
TPresenters, you'll explain four times. Try to make it better each time!
TSwitch roles. Now the visitors are the presenters.
TWhat changed from your first time to your last time?
SI didn't look at my notes the fourth time.
🏫そのまま使える素材(テーマ例と構成)

テーマ例

  1. Japanese festivals(日本の行事紹介)
  2. Our town's best spots(町のおすすめスポット)
  3. Food from around the world(世界の料理)
  4. Great people in history(偉人紹介)
  5. My dream job(夢の職業調べ)
  6. School trip report(修学旅行の報告)
  7. Animals in danger(絶滅危惧種)
  8. Ways to reduce plastic waste(プラスチックごみを減らす方法)
  9. Survey results of our class(クラスアンケートの結果)
  10. Our research project(探究の成果、高校)

ポスターの構成(4つの枠) 11. Title → What is it? → Interesting facts(図・写真)→ Our message 12. 英文は見出しとキーワードのみ。説明は口で。

🔁アレンジ
  • 小学校:「好きな国」や「行ってみたい場所」の絵ポスターで、This is ... . You can ... . の2〜3文。訪問者は Nice! とシールを貼る。
  • 中学:修学旅行・職場体験の報告などに。説明は1分30秒から。質問カードを訪問者に配ると、質問が出やすい。
  • 高校:探究の成果発表と組み合わせる。質疑の時間を長めにとり、データや根拠を問う質問を出させる。
  • 大人数クラス:40人なら4人ずつ10班。10枚のポスターを同時に開き、各班の2人が発表者、2人が訪問者に。訪問者20人が2人1組(10ペア)になり、ペアごとに別々の最初のポスターを割り当てて同じ方向へ回るので、各ポスターの聞き手は1回に2人ずつになる。前半と後半で役割を入れかえる。全員の前での発表より、一人あたりの発話量がずっと多くなる。
  • 苦手な生徒が多いクラス:説明を班の中で分担し、1人1枠(30秒)だけ担当にする。ポスターの絵を指さしながら話せば、言葉が少なくても伝わる。
  • オンライン・タブレット:スライド1枚をポスターにして、ブレイクアウトルームごとに発表者を置く。訪問者は部屋を移動する。
📊評価のポイント
  • 知識・技能:テーマについて、既習の語句や文で正しく説明できているか。
  • 思考・判断・表現:聞き手に合わせて、図を指しながらわかりやすく説明し、質問にその場で答えているか。くり返しの中で説明を改善しているか。
  • 主体的に学習に取り組む態度:訪問者として質問・コメントをし、発表者として、受けた質問やふり返りをもとに改善点を見つけ、次の回で説明のしかたを調整しようとしているか(改善の結果の大きさではなく、調整しようとする過程を見る)。
観点 A B C
説明(思考・判断・表現) 図や具体例を効果的に使い、要点を聞き手にわかりやすく伝えている 図を使い、必要な要点をおおむね伝えている 要点を伝えるのに支援が必要(読み上げるだけで聞き手に要点が伝わりにくい など)
質疑(思考・判断・表現) 質問に理由や例をつけて答える 短く答える 答えられない
改善の工夫(態度) 受けた質問やふり返りから改善点を具体的に見つけ、次の回で試している 改善点を見つけている 改善点を考えていない

メモを見ながら話すこと自体は減点しません。メモなどの支えを使っても、聞き手に要点が伝わっていれば「説明」は達成と見ます。

⚠️よくあるつまずきと対処
  • ポスターに英文をびっしり書いて読み上げになったら → 英文は見出しとキーワードだけ、を条件にする。作る段階で先生がチェックする。
  • 訪問者が聞くだけになったら → 「質問を最低1つ」「シートに一言コメント」など、訪問者の役目を決める。
  • 1回目に時間を使いすぎたら → 時間はタイマーで区切り、どの発表者も同じ回数(4回)説明できるようにする。
  • 人気のポスターに訪問者が集中したら → 訪問者ペアごとに最初のポスターを割り当て、「次は右どなりのポスターへ」と移動の順番を固定する。
  • 説明が毎回同じで改善がないときは → 2回目のあとに30秒の「作戦タイム」を入れ、受けた質問の答えを説明に入れるよう促す。
🔬なぜ効く?

ポスターセッションの強みは「くり返し」です。日本の大学生(英語学習者)32人が、聞き手を毎回替えながら同じ話すタスクを続けて6回くり返した研究では、くり返すうちにその場で話す速さが上がり、上がり方は最初の3回で最も大きく、5回目まで続きました 1。これは同じ時間の中での「その場の伸び」を調べたもので、長く続く力として定着するかを確かめたものではありません。発表者が新しい聞き手に何度も説明するポスターセッションは、この「くり返し」を自然な目的のある形で組みこめます。

専門英語(ESP)の授業で、伝える課題にくり返しを組みこんだ研究では、英語力が大きく違う2人の学習者がどちらも、内容をくり返し使う機会から恩恵を受けていました。同じタスクでも、学習者によって伸びる部分が違ったと報告されています 2。

さらに、ポスター発表のあとに自分の発話を文字起こしし、流暢さ・正確さ・複雑さの簡単な指標でふり返らせた実践も報告されています 3。発表を録音しておき、録音と文字起こしとつなげると、自分の発話をくわしくふり返り、次の改善目標を立てられます。応用として、1回目と4回目の両方を録音して比べると、くり返しでどこが変わったかを自分で確かめられます(これはこのページの提案で、研究で効果を比べたものではありません)。

❓ よくある質問

Q. 英語のポスターセッションは、どう進めますか?

ポスターは前の1〜2時間で作り、本時の50分はセッションだけにします。各班の半分が発表者としてポスターの前に立ち、残り半分が訪問者として3分ごとに回ります。前半4回が終わったら役割を入れかえ、最後に「1回目と4回目で何が変わった?」をふり返ります。

Q. 同じ発表を何度もくり返す意味はありますか?

あると考えられます。日本人英語学習者32人が同じ話すタスクを続けて6回くり返した研究では、その場で話す速さが上がり、上がり方は最初の3回で最も大きく、5回目まで続きました 1。ただし長く続く力になるかを調べた研究ではありません。毎回新しい聞き手に説明するので、くり返しに自然な目的が生まれます。

Q. ポスターの英文を読み上げるだけになってしまいます。

ポスターの英文は見出しとキーワードだけ、を条件にし、作る段階で先生がチェックします。絵・図・キーワードが中心のポスターにすると、図を指しながら自分の言葉で説明するようになります。

Q. 40人のクラスでもできますか?

できます。40人なら4人ずつ10班にし、10枚のポスターを同時に開きます。各班の2人が発表者、2人が訪問者になり、訪問者は2人1組で、ペアごとに割り当てた別々のポスターから回り始め、全ペアが同じ方向へ動くので、各ポスターの聞き手は1回に2人ずつです。前半と後半で役割を入れかえます。全員の前で1人ずつ発表するより、一人あたりの発話量がずっと多くなります。

Q. 訪問者が聞いているだけになってしまいます。

「質問を最低1つ」「シートに一言コメント」など、訪問者の役目を決めます。人気のポスターに訪問者が集中しないよう、訪問者ペアごとに最初のポスターを割り当て、「次は右どなりのポスターへ」と移動の順番を固定します。

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📑 出典(3件)

本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。

  1. Lambert, C., Kormos, J., & Minn, D. (2017). Task repetition and second language speech processing. Studies in Second Language Acquisition, 39(1), 167-196. doi:10.1017/S0272263116000085 ✔ DOI照合済日本人英語学習者32人が3種類の話すタスクを6回ずつくり返した研究。話す速さの伸びは最初の3回が最大で、5回目まで続いた
  2. Lynch, T., & Maclean, J. (2000). Exploring the benefits of task repetition and recycling for classroom language learning. Language Teaching Research, 4(3), 221-250. doi:10.1177/136216880000400303 ✔ DOI照合済ESP(専門英語)の授業で、伝える課題に「くり返し」を組みこんだ研究。レベルの違う学習者がそれぞれ別の面で伸びた
  3. Stillwell, C., Curabba, B., Alexander, K., Kidd, A., Kim, E., Stone, P., … (2010). Students transcribing tasks: Noticing fluency, accuracy, and complexity. ELT Journal, 64(4), 445-455. doi:10.1093/elt/ccp081 ✔ DOI照合済ポスター発表のあとに自分の発話を文字起こしし、流暢さ・正確さ・複雑さの簡単な指標でふり返らせた実践の報告

最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら