ジグソー活動 ― 情報を分け持ち、英語で教え合って1枚の絵を完成させる
本文や資料を4つに分け、それぞれの「専門家」が英語で説明し合ってはじめて全体がわかる。全員に「話さなければならない理由」がある協同学習の定番です。
- ⏱ 時間
- 30-45分
- 🧰 準備
- しっかり
- 👥 形態
- グループ(4人)
- 🎯 技能
- やり取り・スピーキング・リーディング
- 📶 CEFR
- A2-B1

- 自分しか持っていない情報を、相手にわかるように英語で説明する経験をさせる。
- 聞く側も、全体を理解するために本気で聞き、質問する状況をつくる。
ジグソー活動ってなに?
ひとことで言うと、1つの教材をいくつかに分けて班の1人ひとりが別々の部分を担当し、同じ担当どうしで内容を確かめてから元の班に戻り、英語で説明し合って全体を完成させる協同学習です。 班の人数や分け方は決まっていません。このページでは4人班・4分割(A〜D)で行います。
ジグソーパズルです。1人が持っているのは1ピースだけ。全員のピースがそろわないと絵にならないので、だれもが「話さなければならない理由」を持ちます。大事なのは、元の班に戻る前に、同じピースを持つ人どうし(専門家グループ)で説明の練習をしておくことです。
インフォメーション・ギャップとのちがい
広い意味では、ジグソーもインフォメーション・ギャップ(情報の「すき間」をやり取りで埋める活動)の一つです。ちがいは人数や情報の量ではなく、情報の分け方にあります。
| インフォメーション・ギャップ(一般) | ジグソー | |
|---|---|---|
| 情報の分け方 | 一方だけ、または両方が、相手の知らない情報を持つ | 全員が教材の別々の一部を持ち、全員が「伝える人」にも「聞く人」にもなる |
| このサイトでの実施例 | ペアで表の空欄を1問ずつ聞き合う | 4人班。専門家グループで準備 → 元の班で1人1分30秒ずつ説明し、聞き手が質問 |
やり方を3ステップで
- 専門家になる:同じパートの人が集まり、英文を読んでキーワードを5つメモし、1分で説明する練習をする。
- 教え合う:元の班に戻り、1人ずつ自分のパートを英語で説明する。聞き手は表にメモし、1つ質問する。
- まとめる:班で「日本との共通点と違い」を英語2文にまとめ、全体で共有する。
授業の流れ(分ごと)
| 時間 | 活動 | 先生のポイント |
|---|---|---|
| 0:00〜3:00 | 元の班でパート分担・やり方の説明 | A〜D のカードを配る |
| 3:00〜13:00 | 専門家グループで読む・キーワードメモ | 音読2回・わからない語の確認 |
| 13:00〜16:00 | 専門家グループで説明の練習 | 1人1分、英語で言ってみる |
| 16:00〜24:00 | 元の班で説明(1人1分30秒×4) | 聞き手は必ず1つ質問 |
| 24:00〜30:00 | 班で表とまとめの2文 | 共通点・相違点 |
| 30:00〜35:00 | 全体共有 | 2〜3班を指名して発表。残りの班はワークシートを提出 |

- 教材を4分割する:例「4つの国の学校生活」の短い英文を A〜D に分ける(ワークシートのオリジナル英文)。教科書の本文を段落で分けてもよい。
- 元の班(4人)でパートを決める:A〜D を1人1つ担当。机は4人で向かい合わせ。
- 専門家グループ(10分):同じパートの人が教室の四隅に集まり、内容を確認。音読を2回してから、「説明メモ」をキーワード5つまでで作る(文は書かない)。
- 説明の練習(3分):専門家グループの中でペアになり、メモを見ながら1分ずつ説明し合う(同時に練習するので、グループの人数が多くても3分で全員が練習できる)。
- 元の班に戻って説明(各1分30秒×4人):聞き手は表にメモし、質問を最低1つする。
- まとめの課題(6分):班で「日本との共通点と違い」を英語で2文にまとめる。
- 全体共有(5分):2〜3班を指名して2文を発表させ、先生が板書で整理する。残りの班のワークシートは集めて、次の授業のはじめにいくつか紹介する(40人・10班が全部発表すると5分では終わらない。全班に発表させるなら共有を10分にし、全体を40分の授業で行う)。
- 世界の学校生活(4か国)※ワークシートにオリジナル英文
- 4人の偉人の伝記:生まれ・業績・名言を1人ずつ
- 4つの季節の行事:日本の行事を ALT に紹介する文
- 環境問題の4つの原因:プラスチック・森林・水・エネルギー
- 4つの職業のインタビュー:仕事内容・大変なこと・やりがい
- 4つの国の朝ごはん:食べ物・時間・だれと
- 物語の4場面:場面ごとに分け、元の班で順番を並べかえる
- 観光地の紹介4か所:班で「修学旅行の行き先」を1つ決める
- スマホ利用の4つの資料:賛成・反対・データ・体験談(高校)
- 4つの発明品:いつ・だれが・何のために
- 教科書本文の4段落:段落ごとの要約を持ち寄って全体の要約を作る
- 小学校:4枚の絵カード(4人の好きなもの)を分けて持ち、"He likes soccer." と伝え合って表を完成させる簡易版に。
- 中学:教科書本文の段落ジグソー。専門家グループで音読を2回してから説明に入ると、英語での説明が安定する。
- 高校:異なる立場の4つの資料を分け、元の班で意見をまとめる。ミニ・ディベートの準備にもなる。
- 大人数クラス:40人なら4人×10班。専門家グループが10人になるので、さらに5人ずつ2つに分けると話しやすい。
- 苦手な生徒が多いクラス:専門家グループで「説明の型」(My part is about ... . First, ... . Second, ... .)を配り、穴埋めしてから練習する。パートの英文はさらに短く。
- オンライン・タブレット:パートごとの資料を別々に配信し、ブレイクアウトルームで専門家→元の班の順に部屋を移る。
- 知識・技能:自分のパートの内容を、既習の語句や文で正しく説明できているか。
- 思考・判断・表現:聞き手にわかるように要点を選んで伝え、班で共通点・相違点をまとめられているか。
- 主体的に学習に取り組む態度:説明の練習や元の班での説明をふり返り、相手に伝わるように言い方・質問のしかたを直そうとしているか(質問の回数など1回の行動だけで評定しない)。
| 評価項目(主な観点) | A | B | C |
|---|---|---|---|
| 説明(知識・技能) | 既習の語句や文を使い、自分のパートの内容を意味の通じる英語で説明できる | メモを見ながら、止まりつつも英語で説明できる | 英文を読み上げる・日本語で説明 |
| 聞き手(思考・判断・表現) | 必要に応じて聞き返したり確かめたりして、相手の要点を正確に表にまとめる | 相手の要点をおおむね表にまとめる | 表が埋まらない |
| まとめ(思考・判断・表現) | 表の情報から共通点と相違点を1つずつ選び、読み手に伝わる英語2文にまとめる | 共通点か相違点の一方を、伝わる英語1文にまとめる | 書けない・表の情報と合わない |
- 説明が日本語になったら → 専門家グループで「英語で1分説明する練習」をはさむと、元の班で英語で説明しやすくなります。メモは原則キーワードだけにする(言葉にするのに時間がかかる生徒には、説明の型や短い原稿を認め、練習しながら少しずつキーワードに減らす)。
- パートの難しさがバラバラで1つの班が止まったら → 分量と難しさをそろえる。どうしても難しいパートには、語注・図・説明の型をつけたり、2人で1パートを担当させたりして支える(得意な生徒にばかり難しいパートを割り当てると役割が固定するので、担当は毎回入れかえる)。
- 聞き手が受け身になったら → 「質問を1つ」「表にメモ」など、聞き手にも役目を持たせる。
- 欠席者が出てパートが抜けたら → 欠けた情報そのものを補う。たとえば、授業の前に班を組み替えて4人班にそろえる、残った生徒の1人がそのパートも専門家グループで準備して2つ説明する、隣の班の同じパートの専門家が説明に来る、など。各パートの要点カードを用意しておくと、どうしても補えない班に配れる。
- 時間が足りなくなったら → 専門家グループの時間を前の授業の宿題(パートを読んでくる)に回し、本時は説明から始める。
ジグソーの強みは「情報の交換が必須」になることです。古典的な教室研究では、情報交換が任意のタスクより、交換しないと課題が終わらないタスクの方が、聞き返し・理解の確認・繰り返しといった会話の調整が多く起き、先生主導の全体活動よりもペアやグループの方が調整が多くなりました 1。学習者どうしのグループワークは、タスクの組み立てに注意すれば、一斉授業に代わる有力な形だと論じられています 2。
協同学習全体については、1995年以降の教室での研究65本をまとめたメタ分析で、学力には中程度のプラスの効果(Hedges' g = .54)が確認されました。ただし著者自身が、出版バイアス(効果が出た研究ほど論文になりやすいこと)を統計的に補正しても、なお推定が楽観的になっている可能性と、ふだんの教室で行った準実験が中心で、ほかの要因を統制しにくいという限界を挙げています。学習への態度への効果は統計的にはプラスでも小さく(ES = .15)、著者も小さいと評価しています。しかも態度について分析できたのは13研究だけで、一般化には注意が必要です。また、学力への効果の大きさは、教科・年齢・文化によって変わることが示されています 3。また、英語の授業で「話す力」をジグソーで伸ばしたという研究は、このページを書くときに確認できた範囲では小規模な個別研究が多く、効果を一般化するには注意が必要です。
❓ よくある質問
Q. 英語の授業でのジグソーの進め方は?
①元の班(4人)で A〜D のパートを分担 ②同じパートの人が集まる専門家グループで読み、キーワード5つまでの説明メモを作る ③メモを見て1分で説明する練習 ④元の班に戻って1人1分30秒ずつ英語で説明 ⑤班で共通点と違いを2文にまとめ、全体で共有、の流れです。
Q. 説明が日本語になってしまうときは?
専門家グループで「英語で1分説明する練習」をはさむと、元の班で英語で説明しやすくなります。メモは原則キーワードだけにし、必要な生徒には説明の型や短い原稿を認めて、練習しながら少しずつ減らします。聞き手にも「質問を1つ」「表にメモ」という役目を持たせると、受け身になりません。
Q. 欠席者が出てパートが抜けたら?
欠けた情報そのものを補います。授業の前に班を組み替えて4人にそろえる、残った生徒の1人がそのパートも準備して説明する、隣の班の同じパートの専門家が説明に来る、などです。各パートの要点カードを用意しておくと安心です。パートの分量と難しさはそろえておき、難しいパートには語注・図・説明の型をつけて支えます(担当は毎回入れかえ、役割を固定しない)。時間が足りなければ、パートを読むのを前の授業の宿題にします。
Q. ジグソーには効果がありますか?
協同学習全体のメタ分析では、学力には中程度のプラスの効果が確認されています(学習への態度への効果は小さく、分析できた研究も少ないものでした)。また学力への効果の大きさは、教科・年齢・文化によって変わります 3。英語の授業で話す力をジグソーで伸ばしたという研究は、確認できた範囲では小規模なものが多く、一般化には注意が必要です。
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📑 出典(3件)
本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。
- Doughty, C., & Pica, T. (1986). "Information gap" tasks: Do they facilitate second language acquisition?. TESOL Quarterly, 20(2), 305-325. doi:10.2307/3586546 ✔ DOI照合済情報交換が「必須」のタスクほど、聞き返し・言い直しなどの会話の調整が多く起きることを示した古典的研究
- Long, M. H., & Porter, P. A. (1985). Group work, interlanguage talk, and second language acquisition. TESOL Quarterly, 19(2), 207-228. doi:10.2307/3586827 ✔ DOI照合済学習者どうしのグループワークを、第二言語習得研究の立場から支持した古典的論文
- Kyndt, E., Raes, E., Lismont, B., Timmers, F., Cascallar, E., & Dochy, F. (2013). A meta-analysis of the effects of face-to-face cooperative learning. Do recent studies falsify or verify earlier findings?. Educational Research Review, 10, 133-149. doi:10.1016/j.edurev.2013.02.002 ✔ DOI照合済協同学習の効果を教科をまたいでまとめたメタ分析(65本)。学力と態度にプラス
最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら






