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🎲 授業アクティビティ集中学校高校📖 約8分

録音して文字起こし ― 自分の英語を「見て」直すスピーキングのふり返り

話した英語は消えてしまうから、自分の誤りに気づきにくい。タブレットで録音し、ペアで文字に起こして直すと、自分の英語を外から見られるようになります。

⏱ 時間
20-30分
🧰 準備
少し
👥 形態
ペア
🎯 技能
スピーキング・文法・復習
📶 CEFR
A2-B2
🛡️
このページのウラ取り 出典 3 件 ― 原田英語.comが集めて読んだ論文・専門書・公的資料。DOI・ISBN・公式ページは書誌データベースとも照合済み 原田英語.comと校閲担当が、主張と出典を1つずつ照合・AI(Codex)による独立チェック済み(2026-10-18) ウラ取りの仕組み →
録音して文字起こし ― 自分の英語を「見て」直すスピーキングのふり返りのイメージ
💡ねらい
  • 話している最中には気づけない自分の誤りや言い回しに、文字にすることで気づかせる。
  • 直した表現を、もう一度話す活動で実際に使ってみる。

録音して文字起こしってなに?

ひとことで言うと、自分たちの英語の会話を録音し、聞こえたとおりに文字に書き起こして、それを見ながら自分たちで直す活動です。

🎈たとえるなら

スポーツのフォームをビデオで見直すようなものです。プレーしている最中は自分のフォームは見えませんが、映像なら外から見て「ひじが下がっている」と気づけます。英語も、話している最中は自分のまちがいに気づきにくいものです。um や言い直しもふくめ、ありのままを文字にすることが、外から見るための第一歩です。

録音を聞くだけの場合とのちがい

録音を聞くだけ 録音+文字起こし
残るもの 音(聞き直すたびに流れて消える) 文字(じっくり見直せる)
直す人 — まず自分たち、次に先生
そのあと — 直した表現を使って、同じ話題でもう一度話す

やり方を3ステップで

  1. 録音する:ペアで2分の会話を録音する。
  2. 文字にする:最初の30秒だけを、um や言い直しもそのまま書き起こす。
  3. 直して話す:赤ペンで直し、わからない所に?をつけて先生に見てもらい、次の時間に同じ話題でもう一度話す。

授業の流れ(分ごと)

※1時間目に「録音・文字起こし・自分で直す」、次の時間の最初に「もう一度話す・聞き比べ」を行う。

時間 活動 先生のポイント
0:00〜3:00 話して録音(2分) タブレットを机の真ん中に
3:00〜13:00 文字起こし(最初の30秒だけ) um や言い直しもそのまま
13:00〜20:00 自分たちで直す 赤ペン、チェック観点の表を使う
20:00〜22:00 提出 先生は授業後に?の部分にコメント
次時 0:00〜5:00 もう一度話して録音・聞き比べ 直した表現を使う
録音して文字起こし ― 自分の英語を「見て」直すスピーキングのふり返りの教室の配置と動き方
🗺️ 教室の配置と動き方(イメージ)
👣手順
  1. 話して録音(2分):ペアで Small Talk やロールプレイなどを行い、タブレットを机の真ん中に置いて録音する。
  2. 文字起こし(10分):最初の30秒だけをペアで書き起こす。えーと(um)や言い直しもそのまま書く。くり返し再生してよい。30秒でも、聞き取れない所をくり返し聞くので、10分は見ておく。慣れてきて1分に増やすときは、文字起こしと直しで20〜30分を見込む(1時間目の残りをすべて使う)。
  3. 自分たちで直す(7分):赤ペンで、誤りや「もっと良い言い方」を書きこむ。ワークシートのチェック観点の表を見ながら探す。わからない所には?をつける。
  4. 先生のチェック(授業後):先生が残りの誤りや?の部分に一言コメントを書く。全部直す必要はない。
  5. もう一度話す(次の時間・2分):直した表現を使って、同じ話題でもう一度話し、録音する。
  6. 聞き比べ(3分):1回目と2回目を聞き比べて、変わった点を書く。数字で見るなら、ペアの会話全体ではなく自分が話した語数を、自分が話した時間(または同じ決まった時間)で比べます。同じ話題の2回目なので、数字の変化はこの課題の中での目安で、話す力全体の伸びを示すものではありません。um(えーと)をゼロにすることが目的でもありません。
🗣️先生の英語(そのまま使える)
TRecord a two-minute conversation.
TNow listen and write down the first thirty seconds. Write everything, even "um" and "uh."
SCan we play it again?
TOf course. Play it as many times as you need.
TUse a red pen. Fix any mistakes you can find.
SHere, I said "He play soccer." It should be "He plays."
TGreat catch! If you're not sure, put a question mark. I'll check it.
TNext class, talk about the same topic again. Use your new expressions!
TListen to both recordings. What changed?
SWe said "um" only three times this time!
🏫そのまま使える素材(文字起こしのお題と直しの例)

録音するお題(2分)

  1. What did you do last weekend?
  2. Tell me about your favorite place.
  3. What do you want to do this summer?
  4. Role play: shopping for a T-shirt
  5. Agree or disagree: Homework is necessary.

よくある直しの例(中学) 6. I go to Osaka last week. → I went to Osaka last week. 7. She like music. → She likes music. 8. I have many homework. → I have a lot of homework. 9. Yes. → Yes, I did. It was fun.

よくある直しの例(高校) 10. I think so because ... (理由がない) → I think so because it saves time. 11. It was very very good. → It was amazing. 12. Um, um, um ... → Let me see ...

🔁アレンジ
  • 小学校:文字起こしはしない。録音を聞いて「言えた文に○」をつけるだけでも、自分の声を客観的に聞く体験になる。
  • 中学:文字起こしは30秒分のうち、自分の発話だけにしてもよい。直す観点を「三単現の s」「過去形」など1つにしぼる。
  • 高校:発表のリハーサルを文字起こしして直してから本番に臨む。文の長さや接続語の数など、簡単な指標で自分の発話を分析させる。
  • 大人数クラス:40人分の文字起こしを全部見るのは大変なので、先生は各ペアの「?マーク」の部分だけに答える。よくある誤りは全体で共有。
  • 苦手な生徒が多いクラス:文字起こしは自分の発言だけ、15秒分から。直す観点は1つだけにし、直し方の例を先に見せる。
  • オンライン・タブレット:音声の自動文字起こしを使う方法もあるが、誤りまで勝手に直されることがあるので、まずは自分の耳で書き起こすことをすすめる。録音や自動文字起こしは、学校・設置者が許可した端末とサービスだけで行います。
📊評価のポイント
  • 知識・技能:単元で扱った語句・文法などについて、必要な所を正しい・適切な形に直せているか(直した数そのものは評価に使わず、活動中の記録にとどめる)。
  • 思考・判断・表現:2回目の発話で、直した表現を使って内容をよりよく伝えているか。
  • 主体的に学習に取り組む態度:自分の発話を分析し、目標に向けて粘り強く直そうとしているか、直し方や練習のしかたを調整しようとしているか。複数回の記録やふり返りを並べて見る補助資料になります(「?」の数や、質問したという1回の行動だけでは評価しません)。
観点 A B C
気づき 自分の発話から直すべき所を適切に選び、理由をもって正しく直している(誤りが少ない人は、よりはっきり・豊かな言い方への言いかえも可) 一部を正しく直している 直せない
改善 2回目で直した表現を使い、内容がより伝わる 一部を使う 変化がない
ふり返り 1回目との違いを具体的に書く 感想を書く 記録がない
⚠️よくあるつまずきと対処
  • 全部を文字起こししようとして時間切れになったら → 短い会話でも書き起こすには時間がかかる。最初の30秒に限定し、さらに自分の発話だけを書く分担にする。
  • 先生が赤ペンで全部直したくなったら → 負担が大きい上に、生徒が自分で気づく機会を奪う。まず生徒が直し、先生は?の部分を中心に。
  • 直して終わりになったら → もう一度話して使ってみるところまでで1セット。次の時間の最初の5分を必ず確保する。
  • 教室がうるさくて録音が聞き取れないときは → まず教室の中で、ペアどうしの距離をあける、端末のマイクを口に近づける、イヤホンで聞く、などの工夫をする。廊下や隣の空き教室を使うなら、校内のルールに従い、通行や他の授業のじゃまにならず、先生が見通せる範囲に限る。
  • 録音データの扱いが心配なときは → 録音の目的、聞く人、保存先、消す時期を前もって決めて生徒に伝える。氏名など必要のない個人情報は録音しない。個人の端末や、学校が許可していない生成AI・文字起こしサービスには送らない。
  • 自分の声を聞くのを恥ずかしがったら → 最初は全員同時に再生してよいと伝え、先生自身の英語の録音を先に聞かせて「誰でも um が多い」ことを見せる。
🔬なぜ効く?

英語で学ぶ大人の学習者がペアで自分たちの会話を文字起こしし、話し合って直した実践研究では、学習者は多くの箇所を直し、その変更の大部分は良い方向への修正でした。そのあと先生がさらに直し、変更点について学習者と話し合いました。文字起こしと共同の修正が、比較的自然な形で自分の発話の形式に目を向けさせることがわかり、とくに語彙では先生の関わりが大切だと指摘されています 1。

大学の EFL の発表授業で、リハーサルを録音・文字起こしし、自分で直してから先生のフィードバックを受けた実践では、2週間後の同じ発表の本番で、修正した言語形式や、より良く組み直した表現の多くが本番でも使われ、発音・文法・内容の構成が改善していました 2。ただしこれは少人数の事例報告で比較のグループがなく、文字起こしの効果だけを取り出した結果でも、話す力全体の伸びを示したものでもありません。ポスター発表のあとに自分の発話を文字起こしし、流暢さ・正確さ・複雑さの簡単な指標で分析させる実践も報告されており、学習者が自分の英語の「研究者」になれる活動として紹介されています 3。

❓ よくある質問

Q. スピーキングの文字起こしは、どのくらいの長さをやらせますか?

最初の30秒だけで十分です。30秒でも、聞き取れない所をくり返し聞くので10分は見ておきます。慣れて1分に増やすときは、文字起こしと直しで20〜30分を見込みます。中学は30秒分のうち自分の発言だけでもよく、苦手な生徒が多いクラスは自分の発言だけ15秒分から始めます。

Q. 先生は、すべての誤りを直す必要がありますか?

ありません。全部直すと負担が大きい上に、生徒が自分で気づく機会を奪います。まず生徒が赤ペンで直し、わからない所に?をつけさせ、先生は?の部分を中心に一言コメントします。よくある誤りは全体で共有します。

Q. 自動の文字起こし機能を使ってもいいですか?

学校・設置者が許可した端末とサービスなら使う方法もありますが、誤りまで勝手に直されることがあるので、まずは自分の耳で書き起こすことをすすめます。えーと(um)や言い直しも、そのまま書かせるのがポイントです。

Q. 録音と文字起こしで、話す力は伸びますか?

ペアで自分たちの会話を文字起こしして直した実践研究では、変更の大部分が良い方向への修正で、自然に自分の発話の形式に目が向いていました 1。発表のリハーサルを文字起こしして直した大学生の小さな事例では、2週間後の同じ発表の本番で発音・文法・構成が改善していました。比較のグループのない事例で、文字起こしだけの効果や話す力全体の伸びを示したものではありません 2。

Q. 直して終わりにしないためには、どうすればいいですか?

次の時間の最初に、直した表現を使って同じ話題でもう一度話し、録音します。1回目と2回目を聞き比べ、変わった点を書かせるまでを1セットにします。語数を比べるなら、会話全体ではなく自分が話した語数で比べ、この課題の中での目安として扱います。

🎁 玉手箱で使えるツール

原田英語の「英語の先生の玉手箱」の無料ツール。登録なしで授業にそのまま使えます。

📑 出典(3件)

本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。

  1. Lynch, T. (2001). Seeing what they meant: Transcribing as a route to noticing. ELT Journal, 55(2), 124-132. doi:10.1093/elt/55.2.124 ✔ DOI照合済ペアで自分たちの会話を文字起こしして直し、先生がさらに直す活動。自然に形式に目が向くことを示した実践研究
  2. Mennim, P. (2003). Rehearsed oral L2 output and reactive focus on form. ELT Journal, 57(2), 130-138. doi:10.1093/elt/57.2.130 ✔ DOI照合済大学の EFL 発表授業で、リハーサルを録音・文字起こしして直させたところ、2週間後の本番で発音・文法・構成が改善した
  3. Stillwell, C., Curabba, B., Alexander, K., Kidd, A., Kim, E., Stone, P., … (2010). Students transcribing tasks: Noticing fluency, accuracy, and complexity. ELT Journal, 64(4), 445-455. doi:10.1093/elt/ccp081 ✔ DOI照合済ポスター発表のあとに自分の発話を文字起こしし、流暢さ・正確さ・複雑さの簡単な指標でふり返らせた実践の報告

最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら