1分間即興スピーチ ― くじで引いたお題で、30秒考えて1分話す
お題はその場でくじ引き。30秒だけ考えて、1分間ひとりで話し続ける。毎週くり返して、「その場で話をまとめる」練習を積みます。
- ⏱ 時間
- 12-14分
- 🧰 準備
- 少し
- 👥 形態
- グループ(4人)
- 🎯 技能
- スピーキング・帯活動
- 📶 CEFR
- A2-B1

- 原稿なしで、その場で考えをまとめて話す力を育てる。
- 「意見→理由→例→まとめ」の短い型を、くり返しで自動化する。
1分間即興スピーチってなに?
ひとことで言うと、その場でくじ引きしたお題について、30秒だけ考え(キーワード3つまでメモ)、原稿なしで1分間ひとりで話す活動です。4人班で順番に回し、聞き手が1つ質問します。
結婚式で急に「ひとことお願いします」と言われたときのスピーチです。原稿を書く時間はありませんが、「お祝い → 思い出 → エピソード → もう一度お祝い」のような話の型を知っていれば、なんとか話をまとめられます。この活動で大事なのも、OREO(意見→理由→例→意見)という型を、くり返しで体に入れることです。
1分間チャットとのちがい
| 1分間チャット | 1分間即興スピーチ | |
|---|---|---|
| 話す人 | 2人でやり取りする | 1人で続けて話す(学習指導要領の「話すこと[発表]」) |
| 準備 | なし(すぐ始める) | 30秒(キーワード3つまで) |
| 型 | 聞き返し・つなぎの表現で会話を続ける | 意見→理由→例→意見(OREO)でまとめる |
やり方を3ステップで
- お題を引く:4人班の真ん中に伏せたお題カードから1枚引き、読み上げる。
- 30秒考えて、1分話す:キーワードを3つまでメモし、OREO の型で1分話す。止まったら Let me see... でつなぐ。
- 質問とふり返り:聞き手の1人が質問し、全員が終わったら記録表に次の目標を書く。
授業の流れ(分ごと)
| 時間 | 活動 | 先生のポイント |
|---|---|---|
| 0:00〜1:00 | 型の確認(初回は3分) | OREO を全員で言う |
| 1:00〜1:30 | 1人目がお題を引く・30秒考える | キーワード3つまで |
| 1:30〜3:00 | 1分スピーチ+質問30秒 | 聞き手の1人が質問 |
| 3:00〜9:00 | 2〜4人目(1人2分ずつ) | 同じ流れで順番に進める |
| 9:00〜10:30 | 班で1人ずつ「よかった点」を伝え合う | 伝わった理由や例を1つ挙げる |
| 10:30〜12:00 | 記録表に記入 | 次の目標を書く |

- 型を板書(初回だけ):Opinion → Reason → Example → Opinion(OREO)。I think ... . → I think so because ... . → For example, ... . → So ... .
- 4人班を作り、話す順を決める:机を4つくっつけ、真ん中にお題カードを伏せて置く。
- お題を引く:1人目がカードを引き、読み上げる。
- 30秒考える:キーワードを3つまでメモしてよい。
- 1分話す:止まっても、Let me see... でつないで1分間話し続ける。時間係はタイマーを持つ。
- 質問1つ(30秒):聞き手の1人が質問し、話し手が答える。
- 次の人へ:全員終わったら、班の中で1人ずつ、聞き手から「よかった点」を1つ伝える(例:Your example about skiing was easy to understand.)。順位はつけない。そのあと記録表に記入する。
OREO(意見→理由→例→意見)で話せるように、お題はどれも「意見や選択を言える形」にしています。
身近なお題(中学)
- Summer or winter?
- What is your favorite food, and why?
- Where do you want to visit, and why?
- Many friends or a few close friends?
- What is the best way to spend a weekend?
- What is the best thing about our school, and why?
- Morning person or night person?
少し考えるお題(中3〜高校) 8. Is homework necessary? 9. What is the best way to learn English? 10. Should students use smartphones at school? 11. What would you do with one free day, and why? 12. What is one problem in our town, and how should we solve it?
- 小学校:30秒で「I like ... . It's ... . I ... every day.」の3文。お題は絵カードで。
- 中学:最初の学期は「好きなもの」など身近なお題で30秒から。学期ごとに1分、1分30秒と延ばす。
- 高校:社会的なお題を混ぜる。2回目は同じお題で別の班の人に話し、1回目で言えなかった表現を足す。
- 大人数クラス:4人班で同時に行えば、約12分で全員が話せる。先生は1班ずつ聞き、最後に、本人の了解を得て、伝わりやすかった理由や例をいくつか全体に紹介する(1人を「一番」として選ばない)。
- 苦手な生徒が多いクラス:考える時間を1分にし、お題を「二択」だけにする。最初は30秒スピーチから始め、型の Opinion と Reason の2つだけでよい。
- オンライン・タブレット:お題を個別に配信し、30秒後に録音開始。提出された録音から、次の時間の「よくある言い回し」を選ぶ。
- 知識・技能:既習の語句や文で、1分間まとまった内容を話せるか。
- 思考・判断・表現:聞き手に自分の考えがわかりやすく伝わるように、お題と聞き手に合わせて意見・理由・例を選び、整理してその場で話しているか(「話すこと[発表]」の即興性とつなげる)。OREO の型がそろっているかだけで判断しない。
- 主体的に学習に取り組む態度:止まりそうになっても話し続けようとしているか(粘り強さ)、記録表の目標を次の回で試し、話し方を変えようとしているか(自己調整)を、何回分かの記録と観察で見ます(記録表は形成的な振り返り資料)。
下の表は、毎回の活動で使うフィードバック用の目安です。「継続」「構成」は主に話すこと[発表]の知識・技能と思考・判断・表現、「質疑」は話すこと[やり取り]にあたるので、記録するときは分けておきます。
| 観点 | A | B | C |
|---|---|---|---|
| 継続 | 1分間ほぼ止まらずに話す | 止まるがつなぎ表現で続ける | 30秒未満で止まる |
| 構成 | 聞き手に伝わるように理由や例を選び、意見・理由・例・まとめがそろう | 意見と理由を言える | 意見だけ |
| 質疑([やり取り]として別に記録) | 質問に詳しく答える | 一言で答える | 答えられない |
- 原稿を書こうとする生徒がいたら → 30秒で書ける量はわずか。キーワード3つまで、を守らせる。
- 沈黙でやめてしまう生徒が多いときは → つなぎの表現(Let me see. / What else...?)を最初に教え、使ったらほめる。
- 毎回評価をつけたくなったら → 毎回点数化すると先生の負担が大きく、評価されることへの緊張が強くなる生徒もいる。たとえば学期に1〜2回、単元の目標や年間の評価計画に合わせてパフォーマンステストで見る、などが考えられる。
- お題が難しすぎて何も言えないときは → カードを1回だけ引き直してよいルールにする。身近なお題の割合を多めに。
- 聞き手が退屈したら → 聞き手に「理由と例を聞き取ってメモ」の役目を与え、質問はそのメモから作らせる。
中学校学習指導要領の解説では、「話すこと[発表]」で即興で話す力が求められ、これは1回の授業で身につくものではなく、1年生から継続的に取り組むことで高めていく必要があるとされています。メモやキーワードを頼りにした即興の発表では、多少の誤りやたどたどしさがあるのは当然だという認識を共有することも大切だと説明されています 1。
話す前に考える時間をとることにも意味があります。研究では、話す前の準備と、話題になじみがあることの両方が流暢さを高め、準備の効果の方が強く、準備によって話題になじみがない場合をある程度補えたという結果があります 2。日本人英語学習者144人の研究では、意見を述べるタスクの前の準備として、同じタスクのくり返し、内容を変えたくり返し、日本語での相談、英語での相談の4つを比べました。その結果、準備の種類によって、話す過程のいろいろな段階(内容を考える・言葉にする・自分の発話を点検する)の負担を、互いにおぎない合う形で減らす可能性が示されました 3。なお、どちらの研究も大学生が10分間準備した場合の研究で、このページの「30秒・キーワード3つまで」という設定を検証したものではありません。30秒は帯活動として短時間で行うための実践上の設定なので、生徒の様子に応じて1分程度まで延ばしてかまいません。お題を「身近なもの」から始め、慣れたら準備の形を変えていくのが現実的です。
❓ よくある質問
Q. 1分間スピーチには、どんな型を使いますか?
Opinion → Reason → Example → Opinion の OREO を使います。I think ... . → I think so because ... . → For example, ... . → So ... . の4文の流れです。型は初回だけ板書して全員で言い、くり返しで自動化していきます。
Q. 話す前に、考える時間はどのくらいとりますか?
お題を引いてから30秒です。メモはキーワード3つまでとし、原稿は書かせません。30秒で書ける量はわずかなので、原稿を書こうとする生徒にも「キーワード3つまで」を守らせます。
Q. 途中で沈黙して、やめてしまう生徒には?
Let me see. / What else...? などのつなぎの表現を最初に教え、使ったらほめます。お題が難しすぎて何も言えないときは、カードを1回だけ引き直してよいルールにし、身近なお題の割合を多めにします。
Q. 毎回スピーチを評価した方がいいですか?
毎回点数化すると先生の負担が大きく、評価されることへの緊張が強くなる生徒もいます。たとえば学期に1〜2回、単元の目標や年間の評価計画に合わせてパフォーマンステストで見る、などが考えられます。ふだんは順位をつけず、班の中で聞き手から1人ずつ「よかった点」(伝わった理由や例)を伝え、記録表に次の目標を書かせます。
Q. 即興のスピーチは、いつから取り組めばいいですか?
中学校学習指導要領の解説では、即興で話す力は1回の授業で身につくものではなく、1年生から継続的に取り組んで高めていく必要があるとされています。多少の誤りやたどたどしさは当然だという認識を共有することも大切だと説明されています 1。
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📑 出典(3件)
本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。
- 文部科学省 (2017). 中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 外国語編 公式ページ ✔ リンク確認済中学校外国語科の目標(5領域)・言語材料(語数・文法事項)・指導計画の作成(授業は英語で行うことを基本とする等)を説明した公式の解説
- Bui, G., & Huang, Z. (2018). L2 fluency as influenced by content familiarity and planning: Performance, measurement, and pedagogy. Language Teaching Research, 22(1), 94-114. doi:10.1177/1362168816656650 ✔ DOI照合済話す前の準備と、話題をよく知っていることの両方が流暢さを高め、準備は話題になじみがないことを補った研究
- Lambert, C., Aubrey, S., & Leeming, P. (2021). Task preparation and second language speech production. TESOL Quarterly, 55(2), 331-365. doi:10.1002/tesq.598 ✔ DOI照合済日本人英語学習者144人。意見を述べるタスクの前の4種類の準備(同じタスクのくり返し・別内容のくり返し・日本語での準備・英語での準備)を比べ、それぞれ別の面で発話を助けることを示した
最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら






