🔍
🎲 授業アクティビティ集中学校高校📖 約10分

1分間音読タイムトライアル ― 読めた語数を記録して、伸びを見える化

既習の本文を1分間だけ音読し、どこまで読めたかを数えて記録します。ペアで交代しても約5分で終わり、自分の伸びが数字で見えます。音読が「作業」から「挑戦」に変わる帯活動です。

⏱ 時間
5分
🧰 準備
少し
👥 形態
ペア
🎯 技能
リーディング・発音
📶 CEFR
A1-B1
🛡️
このページのウラ取り 出典 3 件 ― 原田英語.comが集めて読んだ論文・専門書・公的資料。DOI・ISBN・公式ページは書誌データベースとも照合済み 原田英語.comと校閲担当が、主張と出典を1つずつ照合・AI(Codex)による独立チェック済み(2026-10-18) ウラ取りの仕組み →
1分間音読タイムトライアル ― 読めた語数を記録して、伸びを見える化のイメージ
💡ねらい
  • 意味のわかった本文を、なめらかに・正確に読める状態にする(音読の流暢さ)。
  • 自分の伸びを数字で見て、音読練習を続ける意欲につなげる。
  • 「速く」だけでなく「正しく・まとまりで」読むことを習慣にする。

1分間音読タイムトライアルってなに?

ひとことで言うと、意味のわかった本文を1分間だけ音読し、正しく読めた語数をペアで数えて記録し、前回の自分の記録と比べる帯活動です。

🎈たとえるなら

体育の50m走で、自分のタイムを記録カードに書いていくようなものです。比べる相手は友だちではなく、前回の自分。ただし音読では「フォーム」も大事です。飛ばした語やまちがえた語は数えないので、早口でごまかすと記録は伸びません。正しく、意味のまとまりで読むことが前提です。

音読の段階練習とのちがい

音読の段階練習 1分間音読タイムトライアル
ねらい 聞く→全員で→ひとりで、と読める状態をつくる 読めるようになったかを確かめ、伸びを見る
時間 10〜15分 約5分
記録 チェック欄に✓ 1分間に正しく読めた語数

このページで数えるのは「1分間に正しく読めた語数」(WCPM)です。誤りも含めて1分間に読んだ語数を数える WPM とは、少しちがいます。

やり方を3ステップで

  1. 読む:ペアの A が、先生の合図で1分間音読する。B は本文を見ながら、飛ばした語・大きくまちがえた語に印をつける。
  2. 数える:行の右の累計語数を使って読めた語数を出し、まちがいを引いて記録表に書く。交代する。
  3. くらべる:前回の自分の記録と比べ、先生の内容の質問に1つ答える。同じ本文で2〜3回挑戦する。

授業の流れ(分ごと)

時間 先生 生徒
0:00〜0:30 ペアの役割(読む人・聞く人)を確認 Aが読む人、Bが聞く人
0:30〜1:30 "Ready, set, go!" で1分計測 Aが音読、Bは印をつける
1:30〜2:00 "Stop!" 語数を数えさせる 記録表に書く
2:00〜3:30 交代して1分計測 Bが音読、Aが聞く
3:30〜4:30 内容の質問を1問 答える・記録を前回と比べる
1分間音読タイムトライアル ― 読めた語数を記録して、伸びを見える化の教室の配置と動き方
🗺️ 教室の配置と動き方(イメージ)
👣手順
  1. 本文を用意:前の時間までに意味を理解し、音読練習をした本文。行の右端に「その行までの語数」を書いておくと数えるのが一瞬です(ワークシート参照)。
  2. ペアを組む:Aが読む人、Bが聞く人。Bは本文を見ながら、飛ばした語・大きく間違えた語に軽く印をつける。
  3. 1分間スタート:先生の合図で全員一斉に読む。「Stop!」でAは読んだ最後の語に指を置く。最後まで読めた生徒は、もう一度最初から読み続ける。
  4. 数えて記録:その行までの語数+行内の語数から、飛ばした・間違えた語を引いた数を記録表に書く。Bがサイン。
  5. 交代:Bが読む人になって同じように。
  6. 同じ本文で数回:次の時間以降も同じ本文で2〜3回挑戦し、前回の自分の記録をこえることが目標。最後に先生が1問だけ内容を聞く。
🗣️先生の英語(そのまま使える)
TOne-minute reading. Partner A, get ready. Ready, set, go!
TStop! Put your finger on the last word.
TPartner B, count the words. Don't count the words A skipped.
SYou read seventy-two words. Two mistakes.
TSo your score is seventy. Write it down.
TChange roles. Partner B, get ready.
TWrite your score. Next time, try to beat your own record, not your partner's.
TDon't just read fast. Read in chunks, like you're telling a story.
TQuick question. What did the writer do last summer?
SThe writer helped their grandfather pick corn.
TRight! Fast and correct. Great job.
🏫そのまま使える素材

タイムトライアル用のオリジナル短文と、語数の目安です(語数は本文中の語の数)。

中1〜中2向け(20語前後の短文。最後まで読めたら最初に戻って続ける。慣れたら教科書本文を40〜60語に区切って使う)

  1. I like Saturdays. I get up late and eat a big breakfast. Then I play soccer with my friends in the park. (22語)
  2. Our school has a big festival in October. Each class makes a show. Last year, my class did a short play in English. (23語)
  3. My brother is ten years old. He loves trains. He knows the names of all the stations on our line. (20語)

中3〜高1向け 4. Do you know why leaves change color in autumn? When the days get shorter, trees stop making green color, and other colors appear. (23語) 5. I joined the volunteer club last year. We clean the river near our school once a month. We have found many strange things there. (24語) 6. Some people say that cats don't care about their owners. But my cat always waits for me at the door when I come home. (24語)

数え方の約束(黒板に掲示) 7. 飛ばした語は数えない。 8. 別の語に読みかえた語、3秒以上止まって相手に教えてもらった語は数えない(授業用の簡単なルール)。 9. 自分で言い直して正しく読めたらOK。本文にない語を足しても、得点にも減点にもしない。 10. 発音のなまり(日本語っぽい発音など)は、意味がわかる語なら正しく読めた語として数える。 11. 最後まで読めたら最初に戻って続ける。

声かけの例 11. Beat your own record, not your partner's. 12. Fast is good. Clear is better.

🔁アレンジ
  • 小学校:語数ではなく「決まった文を1分で何回言えたか」に。教科書の短い会話文を、絵を見ながら言うのでもOK。
  • 中学:1年生は30〜40語程度の短い本文から。最初は語数でなく「つっかえずに読めた文の数」を数えると、苦手な生徒も参加しやすくなります。
  • 高校:同じ段落で1回目と3回目の語数を比べ、何割伸びたかを計算させる。ときどき難しさの近い初見の段落でも測り、伸びが他の文章に移っているかを確かめます。
  • 大人数クラス:全員同時に読むので、40人でも1分×2回+記録で5分に収まります。先生は読むのに苦労しているペアの近くで聞きます。
  • 苦手な生徒が多いクラス:直前に音声を1回聞く(聞き読み)か、コーラスで1回読んでから計測。記録は「前回より1語でも増えたら成功」と伝えます。
  • オンライン・タブレット:各自が1分間の音読を録音して提出。録音から話す速さを自動で測れるツールを使えば、総語数(WPM)を数える手間を減らせます。ただし自動の値は誤りを差し引かない目安なので、正しく読めた語数(WCPM)が必要なときは、録音と本文を照らして誤りを確かめます(音声認識が発音を聞きまちがえることもあります)。
📊評価のポイント
  • 知識・技能:本文を正確に、適度な速さで、意味のまとまりで音読できる(語数と誤りの数、聞いた印象で)。正確さ・流暢さの確認は、主にこの観点の形成的な評価(様子を見て次の指導に生かすもの)です。
  • 思考・判断・表現:この活動だけでは見きわめにくい観点です。扱うなら、「祖父の言葉が聞き手に伝わるように読む」など相手と目的を決め、どこを強く読み、どこで区切るかを理由とともに選ばせます。
  • 主体的に学習に取り組む態度:課題の改善に向けて粘り強く練習を続け、その中で、記録や振り返りから自分の課題(区切り・速さ・誤り)をつかみ、次の回の目標や練習のしかたを選び直しているか(記録が伸びたかどうか自体は、この観点の評価に使わない)。
段階 目安(練習した本文の音読テスト)
A 誤りが少なく、意味のまとまりで自然に区切って、適度な速さで読める
B 誤りは少ないが、早口になったり区切りが不自然な所があったりする
C 誤りが多く、区切りが意味のまとまりと合っていない

最後の内容の質問への答えは、音読の段階とは別に「内容理解」の記録として残します(答えは英語でも日本語でもよい、などの条件を先に決めておく)。

本人の記録の伸びは、毎回の声かけ(形成的なフィードバック)に使います。成績に反映するときは、上のような共通の規準で到達状況を見ます(初回から高い記録の生徒が不利にならないように)。

⚠️よくあるつまずきと対処
  • 速さだけを競い、早口の棒読みになる → 間違えた語は数えない・最後に内容を1問聞く、で歯止めを。「Fast is good. Clear is better.」と声をかけます。
  • 友だちと比べて落ちこむ → 比べるのは「前回の自分」だけ。記録カードは個人のものにし、全体に順位は出しません。
  • 聞く側が数え間違える → 行ごとの累計語数を本文に書いておけば、行の途中の語数を足すだけで済みます。
  • 苦手な生徒がつっかえて進まない → 計測の前にコーラスか聞き読みを1回入れる。最初の記録が低くても、伸びが見えやすいので励ましやすくなります。
  • 毎回同じ本文で飽きる → 3回挑戦したら新しい本文へ。ときどき難しさの近い初見の本文でも測ると、別の文章にもなめらかさが移っているかを見る手がかりになります(1本の結果は文章の難しさにも左右されるので、何本かで確かめる)。
🔬なぜ効く?

音読の流暢さ(正確に、適度な速さで、まとまりを意識して読めること)は、読む力全体の目安になる、と母語の読み研究では長く考えられてきました 1。単語をひとつずつ解読する作業が自動化されると、頭の余力を意味の理解に回せるからです。

外国語でも似た結果があります。韓国の高校生255人を調べた研究では、本文を音読する流暢さだけで、黙読したときの読解力の差の約2割(20.9%)を説明できました。単語(意味のない綴りの語も含む)を1つずつ音読する流暢さの影響を差し引いても、さらに約1割の説明力が残りました 2。つまり、文章をなめらかに声に出せる力は、単語を単独で読む流暢さとは別に、読解と関連していたのです(関係を示した研究で、音読練習の効果を調べたものではありません)。

日本の大学生55人の研究では、タイムド・リーディングと「チャンクとプロソディを意識した音読のくり返し」を1学期続けたグループでは、読む速さと理解度がともに上がり、読む速さは比べたグループ(話す練習をしたグループ)を有意に上回りました。ただし、終わったときの理解度には、グループ間で統計的に意味のある差はありませんでした。また、タイムド・リーディングだけのグループも同じくらい伸びています 3。なお、この研究の音読練習は、先生のお手本のあとについて区切りごとに読む・全員で読む・ペアで読むといった形で、1分間で語数を測るタイムトライアルではありません。同じ本文を何度か読む点は共通していますが、この活動そのものの効果を示す研究ではありません。さらに、グループは無作為に分けたものではなく、もとからあるクラスを使っています。練習したグループは外国語学部(必修の英語の授業が週5回)、比べたグループは法学部(週2回)の学生で、所属や英語の授業の数もちがうため、伸びを練習だけの効果とは言い切れません。

ただし、ここで紹介した研究は、音読と読解の「関係」や、音読を含む練習全体の効果を示したものです。「1分間タイムトライアル」という形式だけを取り出して比べた研究は見当たりません。

❓ よくある質問

Q. 1分間音読のやり方は?

ペアで A が読む人、B が聞く人になり、先生の合図で1分読みます。B は本文を見ながら、飛ばした語・大きく間違えた語に印をつけます。読めた語数からその分を引いて記録表に書き、交代します。最後に先生が内容を1問だけ聞きます。

Q. 語数を数えるのに時間がかかりませんか?

本文の行の右端に「その行までの語数」を書いておけば、行の途中の語数を足すだけで一瞬で数えられます。そこから飛ばした語・間違えた語を引いて記録表に書き、聞いた側がサインします。最後まで読めた生徒は、もう一度最初から読み続けます。

Q. 速さを競って、早口の棒読みになるときは?

間違えた語は数えない、最後に内容を1問聞く、で歯止めをかけます。「Fast is good. Clear is better.」と声をかけます。比べるのは前回の自分だけにし、全体に順位は出しません。同じ本文で2〜3回挑戦したら新しい本文へ進みます。

Q. 音読の流暢さは、読解力と関係がありますか?

韓国の高校生の研究では、本文を音読する流暢さだけで、黙読の読解力の差の約2割を説明できました 2。ただし、これは関係を示した研究で、「1分間タイムトライアル」という形式だけを取り出して効果を比べた研究は見当たりません。

🎁 玉手箱で使えるツール

原田英語の「英語の先生の玉手箱」の無料ツール。登録なしで授業にそのまま使えます。

📑 出典(3件)

本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。

  1. Fuchs, L. S., Fuchs, D., Hosp, M. K., & Jenkins, J. R. (2001). Oral reading fluency as an indicator of reading competence: A theoretical, empirical, and historical analysis. Scientific Studies of Reading, 5(3), 239-256. doi:10.1207/S1532799XSSR0503_3 ✔ DOI照合済音読の流暢さが読む力全体の目安になることを論じた、母語の読み研究の古典的論文
  2. Jeon, E. H. (2012). Oral reading fluency in second language reading. Reading in a Foreign Language, 24(2), 186-208. doi:10.64152/10125/66860 ✔ DOI照合済韓国の高校生255人。音読の流暢さが黙読の読解力の約2割を説明した
  3. Shimono, T. R. (2018). L2 reading fluency progression using timed reading and repeated oral reading. Reading in a Foreign Language, 30(1), 152-179. doi:10.64152/10125/66743 ✔ DOI照合済日本の大学生55人。タイムド・リーディングと音読のくり返しで、読む速さと理解がともに伸びた

最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら