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🎲 授業アクティビティ集中学校高校📖 約9分

リピーテッド・リーディング ― 同じ短い文章を3回読み、毎回の時間を記録する

やさしい短い文章を、音声で1回聞いてから、黙読で3回くり返し、毎回かかった時間を記録します。「2回目、3回目と速くなる」体験を通して、英語を英語の語順のまま処理する感覚を育てることを目指します。

⏱ 時間
10分
🧰 準備
少し
👥 形態
個人
🎯 技能
リーディング
📶 CEFR
A2-B1
🛡️
このページのウラ取り 出典 4 件 ― 原田英語.comが集めて読んだ論文・専門書・公的資料。DOI・ISBN・公式ページは書誌データベースとも照合済み 原田英語.comと校閲担当が、主張と出典を1つずつ照合・AI(Codex)による独立チェック済み(2026-10-18) ウラ取りの仕組み →
リピーテッド・リーディング ― 同じ短い文章を3回読み、毎回の時間を記録するのイメージ
💡ねらい
  • 単語をすばやく正確に認識し、内容の理解に注意を向けやすくする(読む流暢さ)。
  • 速く読めるようになる体験を通して、「英語を英語の順番で読む」感覚をつかむ。
  • 速くなっても内容がわかっていることを、最後に確かめる習慣をつける。

リピーテッド・リーディングってなに?

ひとことで言うと、同じ短い文章をくり返し読んで、なめらかに読めるようにする練習です(音読で行うことも黙読で行うこともあります)。このページでは、やさしい短い文章を、音声つきで1回、そのあと黙読で3回くり返して読み、毎回かかった時間を記録する形で行います。

🎈たとえるなら

同じジョギングコースを何回か走って、タイムを計るようなものです。2回目、3回目は道を知っているので迷わず走れ、まわりの景色を見る余裕も出てきます。読むことも同じで、単語でつまずかなくなると、内容に注意を向けやすくなります。ただし、速くなっても内容がわかっているかを確かめることが条件です。

似た活動とのちがい

リピーテッド・リーディング 多読 音読練習
文章 同じ短い文章 次々にちがう本 教科書の本文など
読み方 音読でも黙読でも行われる(このページでは、1回目は音声つき、そのあと黙読) 黙読 声に出す
記録 毎回の時間(1分あたりの語数) 読んだ量 回数など

やり方を3ステップで

  1. 聞きながら読む:音声を流し、目で文字を追う。
  2. 黙読を3回:毎回、読み終えた時間を黒板の経過時間で記録する。
  3. 確かめる:1分あたりの語数(WPM)を出してグラフにし、T/F の問題で内容がわかっているかを確かめる。

授業の流れ(分ごと)

時間 先生 生徒
0:00〜1:30 音声を流す 1回目:聞きながら目で追う
1:30〜1:45 日本語で内容を1問 答える
1:45〜4:00 黒板に10秒ごとの経過時間を書き足す 2回目:黙読。読み終えたら時間を記録
4:00〜6:00 同上 3回目:黙読・記録
6:00〜7:45 同上 4回目:黙読・記録
7:45〜9:00 早見表の使い方を示す WPM を出してグラフに点を打つ
9:00〜10:00 T/F の答え合わせ 内容チェック
リピーテッド・リーディング ― 同じ短い文章を3回読み、毎回の時間を記録するの教室の配置と動き方
🗺️ 教室の配置と動き方(イメージ)
👣手順
  1. 文章を選ぶ:知らない語がほとんどない、やさしい文章(教科書の1つ前の課、学習者向けのやさしい読み物など)。この10分版の時間配分なら100〜170語ほどが目安です(もっと長い文章なら15〜20分に延ばします)。語数を数えて、WPM の早見表を作っておく。時間内に読み終わらない生徒が出たら、全員が読み終わるのを待つか、短くした版を用意しておきます。
  2. 1回目:聞きながら読む:音声に合わせて目で文字を追う。意味がとれたかを、先生が日本語で1問だけ聞く。
  3. 2〜4回目:黙読×3回:先生は黒板に「0:10, 0:20, 0:30 ...」と経過時間を書き足し続ける。読み終えた生徒は顔を上げ、その時点の時間を記録する。
  4. WPMを計算:早見表で WPM を出し、グラフに3つの点を打つ。
  5. 最後に内容チェック:T/F で4問。速くなっても内容がわかっていることを確かめる。
  6. 1週間後にもう一度:同じ文章を1回だけ読み、前回の4回目と比べる。
🗣️先生の英語(そのまま使える)
TFirst, listen and read along. Follow the words with your eyes.
TQuick question in Japanese: トムは誰と釣りに行く?
TNow read silently. Raise your hand when you finish. Look at the board and write your time.
TRead it again. Can you read it faster this time? But don't skip anything.
SI finished in 95 seconds!
TGreat. Check the chart. How many words per minute?
SAbout 107.
TLook at your graph. Your fourth reading was much faster, right?
TNow for the final questions. True or false? "Tom goes fishing with his father."
TNext week, we'll read it one more time. Let's see if you remember it.
🏫そのまま使える素材

ワークシートの本文(The Dolphin・170語)に加えて、リピーテッド・リーディングに使えるオリジナルの短文(語数つき)と、毎回の内容チェック問題の型です。

短い文章(中2〜中3。くり返し練習用:語数が少ないので、黒板の10秒きざみでは WPM の差が大きく出すぎます。WPM を記録するなら個人のストップウォッチで1秒単位に計るか、WPM は出さずに練習だけに使う)

  1. Mai likes to bake. Last Sunday she made cookies for her grandmother. She put chocolate in some of them and nuts in others. Her grandmother ate three and said they were the best cookies in the world. (37語)
  2. Our town has a new library. It has a café, a music room, and a big space for children. I go there after school to study. It is quiet, and the chairs are comfortable. (34語)

内容チェック(T/F)の作り方の型 3. 登場人物をすり替える(Tom goes fishing with his father.) 4. 数をすり替える(The dolphin swam around the boat five times.) 5. 気持ちを逆にする(Tom was bored.) 6. 本文どおりの文(Tom drew a picture of the dolphin.) 7. 順番を入れかえる(Tom wrote in his diary before he went fishing.)

グラフの見方の声かけ 8. Look at the line. Is it going up? 9. Your 4th reading was ___ words per minute faster than your 2nd. 10. If your T/F score is low, slow down a little next time.

文章選びのチェック 11. 1ページに知らない語が1〜2語以内か 12. 文の長さが生徒の教科書と同じか、それより短いか

🔁アレンジ
  • 小学校:黙読は難しいので、知っている絵本を先生と一緒に読む「くり返し読み聞かせ」に。2回目以降は、決まった文で子どもが声をそろえます。
  • 中学:前の学期に学んだ教科書本文を使えば、新しく文章を探す手間がかかりません(語数を数えて早見表を作るだけ)。1年生で黙読3回が長すぎるときは、2回に減らします。
  • 高校:長文問題を解き終わったあとの本文で。答え合わせのあとに3回読むと、試験の文章が「流暢さの練習素材」に変わります。
  • 大人数クラス:先生は黒板に10秒ごとに経過時間を書き足すだけ。生徒は読み終わった瞬間に黒板の時間を見て書けばよいので、ストップウォッチがなくても一人一人が自分の時間を記録できます。
  • 苦手な生徒が多いクラス:文章を短く(50〜80語)し、黙読の間に「音声と一緒に小声で読む」をはさんでもOK(音声に合わせる回は全員同じ時間になるので記録せず、時間は各自の黙読で計ります)。グラフの点が上がる体験を優先します。
  • オンライン・タブレット:画面に文章とストップウォッチを並べて表示。各自のWPMを共有フォームに入力し、クラス全体の平均の変化を見せます。
📊評価のポイント

この活動の WPM と T/F は、形成的な評価・自己評価(指導と本人のふり返り)に使います。

  • 見ること:同じ文章を読むたびに速くなり、内容も正しく理解しているか(WPM と T/F の両方)。速さと理解のバランスを自分で調整できるか(T/F が低いときに速度を落とすなど)。グラフで自分の変化を確かめ、次の目標を立てているか。
  • 同じ文章をくり返したときの WPM の上がり方は、その文章に慣れた分も入っているので、読む力全体の伸びとは分けて考えます。
活動のふり返りの目安 目安
A 2回目から4回目でWPMが伸び、T/F も全問正解
B WPMは伸びたが、T/F で1問まちがえる
C WPMがほとんど変わらない・T/F で2問以上まちがえる

成績(観点別評価)に反映するときは、単元の目標に合わせて「読むこと」の評価規準を別に決め、初めて読む文章で必要な情報や概要・要点を捉えられるかなどを見ます。本人の伸びは、ほめて励ます材料(個人内評価)として生かします。

⚠️よくあるつまずきと対処
  • 文章が難しすぎて、くり返しても速くならない → 知らない語が多いと「解読」の練習にしかなりません。やさしい文章が条件です。
  • 速さだけを見て、とばし読みをする → 内容チェックを必ずセットに。速くなっても理解が落ちていないことを確かめます。
  • 3回目で飽きる → 1回ごとに「今度は場面を思い浮かべて」「今度は会話の声を想像して」など、読む視点を変える声かけを。
  • 時間の記録がばらばらになる → 先生が黒板に経過時間を書き足す方式にすると、どの生徒も同じ黒板の時間を見て書くので、記録のしかたがそろいます。
  • 伸びが見えない生徒がいる → 1週間後の再読(手順6)で、前回の記録より速く読めるかを一緒に確かめます。速くならなくても、理解や読み方の変化をいっしょにふり返り、長い目で見る活動だと伝えましょう。
🔬なぜ効く?

リピーテッド・リーディングは、同じ文章を何度も読むことで単語の認識を自動化し、そのぶん頭の力を内容の理解に使えるようにする練習です。母語(英語)の子どもを対象にした研究をまとめたメタ分析では、くり返し読んだ文章だけでなく、初めて読む文章の流暢さや理解にも効果が見られました 1。ただし、このメタ分析が効果を高める要素として挙げたのは、大人が聞きながら音読させる、まちがいを直す、目標の速さに届くまでくり返す、といった条件でした。このページの「黙読で3回」の手順にそのまま当てはまるとは限りません。

外国語の学習者でも結果が出ています。日本の大学生の研究では、音声のお手本を聞きながらのくり返し読みを続けたグループ(10人)は、練習で初めて読む文章の黙読の速さが上がり、多読のグループとの差はありませんでした。生徒の読む活動への見方も良くなりました。ただし事前と事後のテスト文章は難しさがそろっておらず、初見の文章への効果ははっきりしません 2。ベトナムの大学生の研究では、11週間続けたグループ(24人)は、練習した文章を読む速さが上がり、事後の理解のテストでは比べたグループ(26人)を有意に上回りました。ただし、練習していない文章を読む速さでは、比べたグループとの差は確かめられませんでした 3。どちらも数か月続けた研究で、1回10分の活動の効果を調べたものではありません。

いつ読み直すか、にも研究があります。台湾の16歳の学習者71人を、同じ文章を「5日間毎日」読む群と「5週間、週1回」読む群に分けると、すぐあとのテストでは毎日群の方が語彙の伸びが大きかった一方、その後に忘れた量は週1回の群の方が少なかったのです 4。この研究は語彙の覚え方についての結果で、このページの「初日に4回+1週間後に1回」という日程を直接調べたものではありませんが、間をあけて同じ文章に再び出会わせる工夫の参考になります(手順6)。

❓ よくある質問

Q. リピーテッドリーディングのやり方を教えてください。

1回目は音声を聞きながら目で文字を追い、2〜4回目は黙読を3回。先生は黒板に「0:10, 0:20, 0:30 ...」と経過時間を書き足し、読み終えた生徒はその時間を記録します。早見表で WPM を出してグラフに点を打ち、最後に T/F 4問で内容を確かめます。

Q. どんな文章を選べばいいですか?

知らない語がほとんどない、やさしい文章です。10分版なら100〜170語ほどが目安です。教科書の1つ前の課や、学習者向けのやさしい読み物が使えます。知らない語が多いと、くり返しても「解読」の練習にしかなりません。

Q. 同じ文章をくり返し読むと、初めての文章も速く読めるようになりますか?

母語の子どもの研究をまとめたメタ分析では、初めて読む文章の流暢さや理解にも効果が見られました(効果を高める要素として挙げられたのは、大人が聞きながら音読させる・まちがいを直す、などの条件)1。日本の大学生でも、音声のお手本を聞きながらのくり返し読みが、多読と同じくらい黙読の速さを伸ばしました 2。

Q. なぜ1週間後にもう一度読むのですか?

台湾の16歳の学習者71人の研究で、同じ文章を5日間毎日読む群は直後の語彙の伸びが大きく、5週間かけて週1回読む群はその後に忘れた量が少なかったからです 4。この研究は語彙の研究で、このページの日程や読む速さを直接調べたものではありませんが、間をあけて同じ文章にまた出会わせる参考になります。1週間後の再読では、1回目より速く読めるかを一緒に確かめ、速くならなくても理解や読み方の変化をふり返ります。

Q. 速さだけを気にして、とばし読みをする生徒がいます。

内容チェックを必ずセットにし、速くなっても理解が落ちていないことを確かめます。WPM と内容チェックは形成的な評価・自己評価に使い、成績には単元の目標に合わせた「読むこと」の評価規準(初めて読む文章で要点を捉えられるか など)を別に決めます。

🎁 玉手箱で使えるツール

原田英語の「英語の先生の玉手箱」の無料ツール。登録なしで授業にそのまま使えます。

📑 出典(4件)

本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。

  1. Therrien, W. J. (2004). Fluency and comprehension gains as a result of repeated reading: A meta-analysis. Remedial and Special Education, 25(4), 252-261. doi:10.1177/07419325040250040801 ✔ DOI照合済母語(英語)の子どもを対象にしたリピーテッド・リーディングのメタ分析
  2. Taguchi, E., Takayasu-Maass, M., & Gorsuch, G. J. (2004). Developing reading fluency in EFL: How assisted repeated reading and extensive reading affect fluency development. Reading in a Foreign Language, 16(2), 70-96. doi:10.64152/10125/66783 ✔ DOI照合済日本の大学生。音声つきリピーテッド・リーディングは、多読と同じくらい黙読の速さを伸ばした
  3. Gorsuch, G. J., & Taguchi, E. (2008). Repeated reading for developing reading fluency and reading comprehension: The case of EFL learners in Vietnam. System, 36(2), 253-278. doi:10.1016/j.system.2007.09.009 ✔ DOI照合済ベトナムの大学生。11週間のリピーテッド・リーディングで、理解は対照群を上回った(初見の文章の読速は対照群と有意差なし)
  4. Serrano, R., & Huang, H.-Y. (2018). Learning vocabulary through assisted repeated reading: How much time should there be between repetitions of the same text?. TESOL Quarterly, 52(4), 971-994. doi:10.1002/tesq.445 ✔ DOI照合済台湾の高校生71人。同じ文を毎日5回読むより、週1回×5週の方が語彙が長く残った

最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら