リアクション練習(相づち) ― 「繰り返す+一言感想」で聞き手を育てる
会話を続けるには、聞き手の反応も大切です。相手の言葉を繰り返し、Really? / That's nice! と一言返すことで、聞いていることが伝わり、話し手が話を続けやすくなることがあります。
- ⏱ 時間
- 6-10分
- 🧰 準備
- 少し
- 👥 形態
- 3人組(ペアでも可)
- 🎯 技能
- やり取り・リスニング・帯活動
- 📶 CEFR
- A1-B1

- 相手の話を「聞いているよ」と英語で示す反応の表現を身につける。
- 英語の会話で、聞いていることや気持ちを伝える反応の仕方を増やす。
リアクション(相づち)練習ってなに?
ひとことで言うと、相手の言ったことの中心の語をくり返したり(Kyoto?)、一言感想(That's nice!)を返したりする「聞き手の反応」を練習する活動です。
キャッチボールで、ボールを受けたときのグローブの「パシッ」という音です。受け取った音が聞こえると、投げた人は次のボールを投げやすくなります。会話でも、ちゃんと受け取ったことを、相手に聞こえる形で返すことが大事です。
リアクションの種類のちがい
| 種類 | 例 | はたらき |
|---|---|---|
| 繰り返し | Kyoto? | 聞いたことを確かめる |
| 一言感想 | That's nice! / Really? | 気持ちを返す |
| 共感 | Me, too. | 同じだと伝える |
| 質問(次の段階) | What did you do there? | 話を広げる |
やり方を3ステップで
- 反応なしを体験する:先生が話し、相手が無反応で聞く様子を見せて「話しやすかった?」と聞く。
- 表現を知る:繰り返し・一言感想・共感の表現を、ジェスチャーつきで練習する。
- 3人組で使う:話し手・聞き手・観察係を回し、聞き手は質問せずにリアクションだけで聞く。
授業の流れ(分ごと)
| 時間 | 活動 | 先生のポイント |
|---|---|---|
| 0:00〜1:00 | 反応なしの会話を見せる | 「話しやすかった?」と問う |
| 1:00〜3:00 | リアクションの種類を確認 | 表を全員で音読・ジェスチャーつき |
| 3:00〜4:00 | 選択問題で使い分け確認 | ワークシート |
| 4:00〜8:00 | 3人組で「リアクションだけ」練習 | 1ラウンド1分×3ラウンド。毎回役割を交代 |
| 8:00〜10:00 | ふり返り・掲示物に追加 | うれしかったリアクション |

- 反応なしの会話を見せる(1分):先生が話し、ALT や生徒が無反応で聞く。「話しやすかった?」と聞く。
- リアクションを教える(2分):ワークシートの表を音読。①繰り返し(Kyoto?)②一言感想(That's nice!)③共感(Me, too.)を中心に、ジェスチャーをつけて言う。
- 使い分けの確認(1分):選択問題を3問、全体で答え合わせ。
- 3人組で練習(全3ラウンド。1ラウンドは標準1分、初級は20〜30秒):話し手カード(下の素材)は、印刷して切っておくか、画面に1文ずつ映す。A が話し手カードの一文から話を始め、B は質問せずリアクションだけで聞き、C は観察シートに記録する。1ラウンドが終わるたびに役割を交代し(A→聞き手、B→観察係、C→話し手)、3ラウンドで全員が話し手・聞き手・観察係を1回ずつ行う。初級では、過去の出来事のカードに「いつ・どこで・だれと・どうだった」のメモ欄をつけておく(予定・希望・好みのカードは、カードの( )の手がかりを使う)。慣れたら「リアクションをしてから質問を1つ」に進める。
- ペアで行うとき:観察係は置かず、話し手と聞き手を1回ずつ交代する。話し終わったら、聞き手が観察シートに自分の使ったリアクションを思い出して書き、話し手が「うれしかった反応」を1つ伝える。
- ふり返り(2分):「言われてうれしかったリアクション」を共有し、教室の掲示物に追加する。
- I went to a new restaurant last weekend.
- I got a present from my grandmother.
- I lost my umbrella yesterday.
- I saw a famous person at the station.
- My cat had kittens.
- I have a test tomorrow.(教科・準備したこと・気持ち)
- I watched a scary movie last night.
- I made curry for my family.
- I fell off my bike, but I'm OK.
- I want to go to Hawaii someday.(理由・したいこと・だれと)
- I don't like cold weather.(理由・好きな季節・冬にすること)
- My brother started a new job.
- 小学校:「繰り返し」と「一言感想」を、手のジェスチャーつきで覚える(繰り返しは手でボールを返すしぐさなど)。
- 中学:Really? の言い方(上がり調子・下がり調子)で気持ちが変わることを体験させる。音読練習とつなげてもよい。
- 高校:反応を細かく分ける。驚き(No way!)、共感(I know what you mean.)、理解の確認(So you mean ...?)。ディスカッションの前の準備運動に。
- 大人数クラス:先生が話し、全員が一斉にリアクションを返す「コール&レスポンス」で練習してから、ペアに移る。
- 苦手な生徒が多いクラス:最初は「繰り返し」だけに集中させる。相手の話から内容の中心になる語を1つ選んでくり返せばよい、と伝える(難しければ、くり返す語を先生がカードで示す)。
- オンライン・タブレット:カメラオフだと、うなずきや表情が相手に見えません。声で相づちを返す練習がそのまま役に立ちます。チャットでの反応(Wow! Nice!)も有効。
単独の活動で評価するより、Small Talk やインタビューの中でリアクションを使えているかを観察します。
- 知識・技能:場面に合ったリアクションの表現を使えているか(選択問題で知識も確認できる)。
- 思考・判断・表現:相手の話の内容(うれしい話・困った話)に合わせて、反応を選んでいるか。
- 主体的に学習に取り組む態度:相手が話しやすくなる反応を考え、ふり返りをもとに反応を選び直すなど、相手に配慮しながらやり取りをよくしようとしているか。短い1回の活動で決めず、単元の中の何回かの Small Talk やインタビューで続けて見ます。
下の表は、活動中の観察メモです(成績のための A/B/C ではありません)。
| 観察項目 | できている | もう少し | 次の目標 |
|---|---|---|---|
| 種類 | 内容に合わせて、いくつかの反応を使い分ける | 同じ反応が多い | 別の反応を1つ増やす |
| 適切さ | 話の内容に合った反応を選ぶ | ときどき合わない反応 | うれしい話・困った話で反応を変える |
| 繰り返し | 相手の話の中心の語を自然に繰り返す | 促されると繰り返す | 中心の語を1つ選んで繰り返す |
- Really? だけを連発していたら → 同じ調子で機械的にくり返すと、不自然に聞こえることがある。観察シートで反応を記録し、話の内容や気持ち、イントネーションに合わせて別の反応も選ぶよう意識させる。
- 日本語の「うん」「へえ」が出たら → 最初は自然なこと。気づいたら英語で言い直す、くらいのゆるさで。
- 練習だけで終わって本番で使えないときは → 練習だけで終えず、Small Talk やインタビューの前に1〜2分入れて、すぐに実際のやり取りで使う機会につなげる。
- 恥ずかしがって棒読みになったら → 先生が大げさに演じて見せ、ジェスチャーと表情をつけると声も出やすい。
- 悪い知らせに That's nice! と返してしまったら → 選択問題の3問目のような「困った話」を練習に混ぜ、反応の使い分けを確認する。
ここで紹介する研究は、相づちの使われ方や教室の会話を調べたもので、このリアクション練習そのものの効果を調べたものではありません。
相づちの使い方は、文化によって違うことがあります。日本人参加者とイギリス人参加者による英語の会話8組を分析した事例研究では、日本人の参加者は話し手の語数あたりで少し多く相づちを打ち、イギリス人の参加者は相づちの種類が豊かでした。日本人の参加者は間があいたあと、相手のしぐさのあと、付加疑問や "ya know" のあとに相づちを多く打ち、こうした共有されていない相づちの習慣が否定的な印象やステレオタイプにつながりうるとして、日本の英語教育で相づちにもっと注目すべきだと結論づけています。ただし8組の参加者の間での結果で、国や文化の全体の特徴とは言えません 1。
また、教室のペア活動を録音した研究では、はっきりした聞き返しなどの意味交渉は少なく、代わりに学習者どうしが関心や励ましを示し、助け合いながら課題を進めている姿が見られました 2。相づちも、関心や励ましを伝え、教室の会話を支える大切な道具の1つだと言えます。小学校高学年についての文部科学省の研修資料でも、相手の話した内容の中心となる語の「繰り返し」と、簡単な「一言感想」が、対話を続けるための基本的な表現として示されています 3。
❓ よくある質問
Q. 英語の相づち・リアクションは、何から教えればいいですか?
①相手の言ったことの中心の語の繰り返し(Kyoto?)②一言感想(That's nice!)③共感(Me, too.)を中心に、ジェスチャーをつけて言わせます。苦手な生徒が多いクラスでは、相手の話から中心になる語を1つ選んでくり返す「繰り返し」に集中させます。
Q. なぜ英語の相づちを練習する必要があるのですか?
日本人参加者とイギリス人参加者による8組の英語の会話を調べた事例研究では、参加者の間で相づちを打つタイミングや種類に違いがあり、共有されていない相づちの習慣が否定的な印象につながりうるとして、日本の英語教育で相づちにもっと目を向けるべきだと結論づけています。8組の参加者の間での結果で、国や文化の全体の特徴とは言えません 1。なお、これは相づちの使われ方の研究で、リアクション練習そのものの効果を調べたものではありません。
Q. 生徒が Really? ばかり連発します。
同じ調子で機械的にくり返すと、不自然に聞こえることがあります。3人組の練習で観察係に反応を記録させ、話の内容や気持ち、イントネーションに合わせて別の反応も選ぶよう意識させます。悪い知らせに That's nice! と返さないよう、困った話も練習に混ぜて使い分けを確認します。
Q. 小学校高学年の Small Talk でも、相づちを指導しますか?
します。小学校高学年についての文部科学省の研修資料でも、相手の話した内容の中心となる語の「繰り返し」と、簡単な「一言感想」が、対話を続けるための基本的な表現として示されています 3。小学校では手のジェスチャーつきで覚えさせます。
Q. 練習しても、本番の会話で使えません。
練習だけで終えず、Small Talk やインタビューの前に1〜2分入れて、すぐに実際のやり取りで使う機会につなげます。評価も、Small Talk やインタビューの中でリアクションを使えているかを観察して行います。
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📑 出典(3件)
本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。
- Cutrone, P. (2005). A case study examining backchannels in conversations between Japanese–British dyads. Multilingua, 24(3), 237-274. doi:10.1515/mult.2005.24.3.237 ✔ DOI照合済日本人とイギリス人の英語の会話で、相づち(バックチャネル)の使い方の違いが誤解や否定的な印象につながることを示した事例研究
- Foster, P., & Ohta, A. S. (2005). Negotiation for meaning and peer assistance in second language classrooms. Applied Linguistics, 26(3), 402-430. doi:10.1093/applin/ami014 ✔ DOI照合済教室のペア活動では意味交渉そのものは少なく、相づち・励まし・助け合い・自己修正が会話を支えていたことを示した研究
- 文部科学省 (2017). 小学校外国語活動・外国語研修ガイドブック. 文部科学省 公式ページ ✔ リンク確認済小学校外国語の研修用の公式資料。Small Talk の目的(既習表現の定着・対話の続け方)と「対話を続けるための基本的な表現」を説明
最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら





