プラスワン質問 ― 答えたら「もう1つ聞く」で会話を続ける練習
教室の英会話は「1問1答」で止まりがち。相手の答えを受けて関連する質問をもう1つ足す、それだけで、会話をもう一往復、二往復と続けやすくなります。
- ⏱ 時間
- 8-10分
- 🧰 準備
- 少し
- 👥 形態
- ペア・3人組
- 🎯 技能
- やり取り・スピーキング・帯活動
- 📶 CEFR
- A1-B1

- 相手の答えをよく聞き、その中身に関連した質問をその場で作る。
- 会話を「1問1答」から「やり取りの連続」に変える。
プラスワン質問ってなに?
ひとことで言うと、相手が答えたら、その答えの中身について質問をもう1つ足して、会話を続ける練習です。
キャッチボールで、ボールを受け取ったら必ず投げ返すのと同じです。「Do you like music?」「Yes.」で終わるのは、ボールを受け取ったまま持って帰ってしまう状態です。相手が投げてくれた答えのボールを使って、次の質問を投げ返すのが大事なところです。
1問1答・話題を変える質問とのちがい
| 1問1答 | 別の話題に変える質問 | プラスワン質問 | |
|---|---|---|---|
| 例 | Do you like music? / Yes. / OK. | Do you like music? / Yes. / Do you like sports? | Do you like music? / Yes. / What kind of music? |
| 会話 | すぐ止まる | 続くが、話が深まらない | 相手の答えをもとに広がる |
| 聞き手の役割 | 答えを聞くだけ | 自分の質問リストを読む | 答えをよく聞いて、その場で質問を作る |
やり方を3ステップで
- 見る:先生が「止まる会話」と「続く会話」を演じ、どこがちがうかを考える。
- 1つ足す:ペアで、相手の答えに関連する質問(When? / Who with? / How was it? など)を1つ足して話す。
- 2つ足す:相手を替えて、プラスワン質問を2つに増やし、どの質問で話が広がったかをふり返る。
授業の流れ(分ごと)
| 時間 | 活動 | 先生のポイント |
|---|---|---|
| 0:00〜2:00 | 悪い例・良い例の比較 | 先生が2人分を演じる |
| 2:00〜4:00 | 質問の言葉の確認・練習問題 | ワークシートで質問を作る |
| 4:00〜6:00 | 練習1:プラスワンを1つ | 話題を変えない |
| 6:00〜8:00 | 練習2:相手を替えてプラスワンを2つ | 観察係が数える |
| 8:00〜10:00 | ふり返り・共有 | 話が広がった質問を発表 |

- 悪い例と良い例を見せる(2分):先生が2人分を演じる。悪い例「Do you like music? / Yes. / OK.」、良い例「... Yes. / What kind of music? / J-pop. / Who's your favorite singer?」。
- 質問の言葉を確認(2分):What kind of ...? / When? / Where? / Who with? / How was it? / Why? を板書。ワークシート(人数分を印刷しておく)の練習問題で、答えに対する質問を2〜3個作る。印刷できないときは、練習問題の答えの文を2〜3個板書し、ノートに質問を書かせる。
- 練習1(2分):A が最初の質問、B が答える、A が「プラスワン質問」をする。B は答えたら1文足し、同じ質問を相手にも聞けるときは How about you? で返す。
- 練習2(2分):相手を替えて、プラスワンを2つに増やす。3人組なら1人は観察係として、プラスワン質問の回数を数える。
- ふり返り(2分):「いちばん話が広がった質問」をペアで1つ選び、何人かに発表してもらう。
- I like music. → What kind of music? / Who's your favorite singer?
- I went to the sea. → Who did you go with? / How was it?
- I have a dog. → What's its name? / How old is it?
- I play tennis. → How often do you play? / When did you start?
- I watched a movie. → What movie? / Was it scary?
- I want to go to Canada. → Why? / What do you want to do there?
- I read a book. → What was it about? / Do you recommend it?
- I'm tired. → Why? / What did you do yesterday?
- I like cooking. → What can you cook? / Who taught you?
- I'm in the brass band. → What instrument do you play?
- I think school uniforms are good. → Why do you think so? / Can you give me an example?(高校)
- I want to be a nurse. → Why? / What do you need to do for that?(高校)
- 小学校:Small Talk の「さらに質問」として、What ... do you like? → I like fruits. → What fruits do you like? の1往復を練習する。
- 中学:教科書の会話文を読んだあと、「この会話に質問を1つ足すなら?」と考えさせてから演じる。
- 高校:意見の話題で Why do you think so? / Can you give me an example? / What if ...? など、考えを深める質問を足す。
- 大人数クラス:3人組にし、1人は「観察係」として、プラスワン質問が出た回数を数える。観察係も毎回交替。
- 苦手な生徒が多いクラス:使う質問を2つにしぼって始める(したこと・出来事には How was it?、好きなものには What kind of ...?)。先生が答えを書いたカード(I went to the sea. など)を用意し、それを見て質問を作る練習から始める。
- オンライン・タブレット:チャットで「最初の答え」を出し、全員がその答えへのプラスワン質問を1分間チャットに書きこむ。先生は良い質問を2〜3個選んで紹介する。
- 知識・技能:疑問詞を使った疑問文を正しく作れているか(ワークシートの練習問題でも確認できる)。
- 思考・判断・表現:相手の答えの内容に合った質問を、その場で選んで会話を続けているか(「話すこと[やり取り]」の評価とつなげやすい)。
- 主体的に学習に取り組む態度:ふり返りで「話が広がった質問」「止まった場面」を見つけ、次の会話で質問のしかたを変えて、粘り強く会話を広げようとしているか。この10分の活動だけでは決めず、何回かの活動とふり返りの記録から見ます(この観点は、粘り強い取組の中で自分の学習を調整しようとしているかを含めて見るものです 1)。
| 観点 | A | B | C |
|---|---|---|---|
| 質問の関連性 | 答えの内容をふまえ、会話が自然に広がる質問をしている | 答えの内容に関連する質問をしている | 答えとの関連がうすい質問・話題を変える |
| 会話の続き方 | 1つの答えにプラスワン質問を2つ以上続けられる | プラスワン質問を1つ続けられる | 質問が続かない |
| 疑問文の正確さ | ほぼ正しい形で質問する | ときどきまちがうが通じる | 質問の形にならない |
| やり取り | 答える側も1文足し、聞き返せるときは How about you? で返す | 答えるだけ | 一言で終わる |
- 話題を変えてしまったら → 「音楽好き?」の次に「スポーツは?」と別の話題に飛ぶのは追加質問ではない。「相手の答えの内容について聞く」と教える(最初は、答えの中の言葉を使って What kind of music? のように聞くと作りやすい)。
- 尋問のようになったら → 質問ばかりで自分のことを言わないと、相手が疲れる。答えたら自分のことも1文言い、同じ質問を返せるときは How about you? で返す、をセットにする(What's its name? のように相手に当てはまらない質問には使わない)。
- 答えが一言で終わって質問の材料がないときは → 聞かれた側にも「答え+1文」(Yes. I listen to it every day.)のルールをつける。
- 質問が思いつかず沈黙したら → 掲示した質問カードを指さして選ばせる。答えの種類に合うものを選ぶ(したこと・出来事なら How was it? / Who did you go with?、好きなもの・したいことなら What kind of ...? / Why do you like it?)。Why? だけだと問いつめているように聞こえることがあるので、Why do you like it? のように文で聞かせる。
- 疑問文の語順がくずれたら → 練習前にワークシートで3問だけ書かせ、先生がその場で確認してから話させる。
中学校学習指導要領の解説は、会話を継続・発展させるために必要なこととして、聞き返しや確かめ、相づちやつなぎ言葉、自分のことを伝えることに加えて、相手の答えや自分の発言に「関連する質問」を付け加えることを挙げています。さらに、会話の流れに応じて関連する質問を即座にする場面を様々な言語活動の中に設定し、会話を続ける力が習慣的に身につくようにしたいとしています 2。小学校の研修資料でも、相手の話をより詳しく知るための「さらに質問」が、対話を続けるための基本的な表現の1つに入っています 3。
追加の質問だけを取り出して指導の効果を調べた研究は、ほとんど見当たりません。ただ、より広い「会話の方略」については、教えることで伸ばせる可能性が示されています。会話が行きづまったときの方略(言いかえ・時間かせぎなど)が教えられるかを論じた研究では、焦点をしぼった指導によって、少なくとも一部の方略について使用の質と量が伸びる可能性が示されました 4。また、12週間の授業で、流暢さを保つ・意味を確かめ合うといった会話方略を意識させる訓練を受けたグループ(28人)が、口頭テストの得点を有意に伸ばし、訓練のないグループ(34人)では伸びが有意ではなかったという研究もあります(女性の英語学習者62人の研究)5。プラスワン質問は、こうした研究を手がかりにした、会話を続けるための練習の1つです。
❓ よくある質問
Q. 追加質問には、どんな質問の言葉を使いますか?
What kind of ...? / When? / Where? / Who with? / How was it? / Why? を板書して使わせます。質問が思いつかず沈黙したら、掲示した質問カードから、答えの種類に合うものを選ばせます(したこと・出来事なら How was it?、好きなものなら What kind of ...? / Why do you like it?)。
Q. 話題を変えてしまう生徒には、どう教えますか?
「音楽好き?」の次に「スポーツは?」と別の話題に飛ぶのは追加質問ではありません。「相手の答えの内容について聞く」と教えます(最初は答えの中の言葉を使うと作りやすくなります)。Do you like music? / Yes. / What kind of music? / J-pop. / Who's your favorite singer? のような良い例を、先生が2人分演じて見せます。
Q. 質問ばかりで尋問のようになるときは?
質問ばかりで自分のことを言わないと、相手が疲れます。答えたら How about you? で返す、をセットにします。聞かれた側にも「答え+1文」(Yes. I listen to it every day.)のルールをつけると、質問の材料が増えます。
Q. 学習指導要領では、追加質問はどう扱われていますか?
中学校の学習指導要領解説は、会話を継続・発展させるために、相手の答えなどに「関連する質問」を付け加えることを挙げ、即座に質問する場面を様々な言語活動に設定したいとしています 2。小学校の研修資料でも「さらに質問」が対話を続ける基本の表現に入っています 3。
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📑 出典(5件)
本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。
- 文部科学省 (2019). 小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知) 公式ページ ✔ リンク確認済観点別学習状況の評価を「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点に整理した文科省の通知(2019年)
- 文部科学省 (2017). 中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 外国語編 公式ページ ✔ リンク確認済中学校外国語科の目標(5領域)・言語材料(語数・文法事項)・指導計画の作成(授業は英語で行うことを基本とする等)を説明した公式の解説
- 文部科学省 (2017). 小学校外国語活動・外国語研修ガイドブック. 文部科学省 公式ページ ✔ リンク確認済小学校外国語の研修用の公式資料。Small Talk の目的(既習表現の定着・対話の続け方)と「対話を続けるための基本的な表現」を説明
- Dörnyei, Z. (1995). On the teachability of communication strategies. TESOL Quarterly, 29(1), 55-85. doi:10.2307/3587805 ✔ DOI照合済コミュニケーション方略(言いかえ・時間かせぎなど)は教えられるのかを論じ、指導によって使う量と質が伸びうることを示した論文
- Nakatani, Y. (2005). The effects of awareness-raising training on oral communication strategy use. The Modern Language Journal, 89(1), 76-91. doi:10.1111/j.0026-7902.2005.00266.x ✔ DOI照合済EFL の女性学習者62人。12週間、コミュニケーション方略を意識させる訓練をしたグループが口頭テストの得点を伸ばした
最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら






