Small Talk(スモールトーク)の進め方 ― 1〜2分×2回、相手を替えて話す
授業のはじめに、身近な話題で1〜2分のやり取りを相手を替えて2回。1回目と2回目の間の「先生の中間指導」で、既習表現を思い出して使い、会話を続ける表現を2回目にすぐ試す機会がつくれます。
- ⏱ 時間
- 5-8分
- 🧰 準備
- なし
- 👥 形態
- ペア
- 🎯 技能
- 帯活動・やり取り・スピーキング
- 📶 CEFR
- A1-A2

- これまでに習った表現を、授業のたびにすこしずつ「使って」思い出させ、定着させる。
- 「繰り返す」「一言感想を言う」「さらに質問する」など、対話を続けるための表現を習慣にする。
Small Talk ってなに?
ひとことで言うと、授業のはじめに、好きな食べ物や週末の出来事などの身近な話題で、相手を替えて1〜2分の英語の対話を2回ほど行う活動です。
文部科学省の研修ガイドブックでは、主な目的が2つにまとめられています。1つは、これまでに習った表現をくり返し使って定着させること。もう1つは、相づちや質問で対話を続ける方法を身につけることです 1。1回目と2回目の間に、先生が「言いたかったけど言えなかった表現」をクラスで確かめる中間指導を入れるのが特徴です。
部活の練習前の軽いパス回しのようなものです。新しい技を教える時間ではなく、もう知っている技(=既習表現)を、相手を替えながら気軽にくり返します。途中で監督(=先生)が「今のパス、こうするともっと通るよ」と一言アドバイスし、2回目で試す。新しいことより、知っていることを「使える」ようにするのが目的です。
似た活動とのちがい
| Small Talk | あいさつのルーティン | 1分間チャット | |
|---|---|---|---|
| 話題 | 身近な話題(週末・好きなもの など) | 気持ち・日付・天気の決まった流れ | お題だけ出して即興で |
| 回数 | 相手を替えて2回(間に中間指導) | 毎時間同じ流れをくり返す | 1分間を続ける |
| ねらい | 既習表現の定着と、対話を続ける方法 | 決まり文句を自分の言葉に育てる | 沈黙をうめて会話を続ける |
やり方を3ステップで
- 見本を見せる:先生が「週末にパン屋さんに行った」など、自分に実際にあったことを英語で2〜3文話し、何人かの児童・生徒に質問して見せる。
- 話す→中間指導:ペアで1〜2分話したら、言えなかった表現や上手な続け方をクラスで確かめる。
- 相手を替えてもう一度:中間指導の表現を使って2回目を話し、記録カードでふり返る。
授業の流れ(分ごと)
| 時間 | 活動 | 先生のポイント |
|---|---|---|
| 0:00〜1:30 | 先生のモデル(先生と数人のやり取り) | 作り話ではなく、先生に実際にあったことを話す |
| 1:30〜3:00 | 1回目のペア対話 | 机間で「言えなかった表現」を拾う |
| 3:00〜5:00 | 中間指導 | 表現を1〜2個、続け方を1つ紹介 |
| 5:00〜6:30 | 相手を替えて2回目 | 中間指導の表現を使うよう促す |
| 6:30〜7:30 | 一言ふり返り・記録カード | 3つのチェックを記録カードに個別に書く |

- ペアの組み方を決めておく:「1回目は隣の人、2回目は前(または後ろ)の人」と、年度はじめに決まりを作っておく。毎回同じ決まりなので、「次はだれと?」と迷わず、すぐ2回目に入れる。
- 先生が見本を見せる(1〜2分):先生に実際にあったことを英語で2〜3文話す(例:I went to a bakery on Sunday. I ate a melon pan.)。続けて何人かの児童・生徒に "How about you?" と聞く。単語だけの返事には、先生が文にして返す(Park. → Oh, you went to the park.)。
- 1回目のペア対話(1分〜1分30秒):隣の人と同じ話題で話す。先生は机間を回り、日本語で言いかけた語をメモする。
- 中間指導(2分):「言いたかったけど英語で言えなかったことは?」と聞き、出てきた表現をクラスで確認・板書する。上手に続けていたペアのやり取りを1つ紹介する。
- 相手を替えて2回目(1分〜1分30秒):中間指導で出た表現を使ってみる。
- 一言ふり返り(1分):「相手の言葉を繰り返せた?」「一言感想を言えた?」「さらに質問できた?」の3つを、記録カードに一人ひとりチェックする(手を挙げさせる場合は任意にする)。
- Food — What food do you like? / What did you eat for breakfast?
- Sports — What sport do you like? / Do you play any sports?
- Weekend — What did you do last weekend?
- Summer vacation — Where did you go this summer?
- Animals — What animal do you like? Why?
- Birthday — When is your birthday? What do you want for your birthday?
- School events — What's your favorite school event?
- Seasons — Which season do you like, summer or winter?
- Hobbies — What do you do after school?
- Dream — What do you want to be in the future?
- TV and games — What's your favorite TV show or game?
- Places in town — Where do you want to go in our town?
- 小学校:文部科学省の資料では、第6学年で主に児童どうしが行う活動として紹介されています 1。最初は先生と児童の対話を全体で見せる時間を長めに。5年生で使う場合は、先生と児童のやり取りを中心にした形から始めるのが筆者のおすすめです。
- 中学:話題を単元の文法とつなげる(過去形の単元なら週末の話題)。2回目は「質問を1つ増やす」などの条件をつける。
- 高校:「最近のニュース」「教科書の話題について一言意見」など社会的な話題へ。時間を2分に延ばし、相手の答えに理由を聞く。
- 大人数クラス:「隣→前後→斜め」のように相手の替え方を決めておくと、席を立って相手を探さずに、すぐ次のペアで話し始められる。中間指導で紹介するペアは、机間指導中に見つけておく。
- 苦手な生徒が多いクラス:記録カードの Model conversation を見ながら話してよいことにする。1回目は先生と全体でのやり取り、2回目だけペアにしてもよい。
- オンライン・タブレット:チャットに「言いたかったけど言えなかった日本語」を書かせて、その場で英語を返す。年度の初めと終わりに、同じ話題・時間・支援の条件で Small Talk を録画すると、自分のふり返りの資料にできる。録画や保存は学校の個人情報保護・情報セキュリティの決まりに従い、見る人の範囲と保存期間を決めておく。
Small Talk は練習の場なので、その場で点数はつけず、記録カードと数回の観察で見とります。下の表は、指導に生かすための観察メモの例です。記録に残す評価は、単元や学期の中のいくつかの資料(パフォーマンステスト・記録カードのふり返りなど)からまとめて判断します。
- 知識・技能:既習の語句や表現を使って、質問したり答えたりできているか。
- 思考・判断・表現:相手の答えに合わせて、繰り返し・一言感想・さらに質問などで対話を続けているか。
- 主体的に学習に取り組む態度:「思考・判断・表現」と一体で見ます。目的や相手を意識して伝え合おうとしているか、記録カードのふり返り(言いたかった語・次にやってみること)をもとに、やり取りの仕方を工夫しているか。1回の指示に従ったかどうかだけで判断しません。
| 観察項目(公式の観点別評価の表ではありません) | A | B | C |
|---|---|---|---|
| やり取り | 繰り返し・一言感想・さらに質問を自分から使う | 1〜2種類を使える | 答えるだけで終わる |
| 表現 | 目的や相手に応じて、いくつかの既習表現を組み合わせて自分から使う | 既習表現を文で使う | 単語だけで答えることが多い |
| ふり返りの生かし方 | ふり返りで見つけた課題を、次の Small Talk で自分から試している | 先生に促されると試す | 次に試すことを先生と一緒に決める |
- 毎回、新出表現の練習になってしまったら → Small Talk は既習表現を使う場と割り切り、新しい文法は本時の展開で扱う。
- 誰かになりきる会話になったら → 資料では、役を演じるのではなく、自分自身の本当の出来事や気持ちをやり取りすることが大切だとされています 1。先生のモデルも本当の話にする。ただし、話したくないこと(家庭のこと・休みの過ごし方など)は答えなくてよい、と最初に伝えます。別の話題を選ぶ、一般的な好みを話す、パスする、などの選択肢を用意しておきます。
- 中間指導をとばしたくなったら → 2回くり返すだけでは、言えなかった表現が解決されないこともあります。中間指導を入れると、必要な表現をクラスで確かめて2回目にすぐ試す機会がつくれるので、2分は確保する。
- 単語だけで答える子が多いときは → 先生が自然なやり取りの中で正しい文にして返す(Sea. → You went to the sea.)。直すのではなく「言い直して返す」。
- 話題がなくて沈黙したら → 話題と最初の質問を板書し、最初の質問だけは全員が言えるように全体で1回言わせてから始める。
文部科学省の研修ガイドブックは、Small Talk の主な目的を2つにまとめています。1つは既習表現をくり返し使って定着させること、もう1つは対話の続け方を指導することです。授業のはじめに相手を替えて1〜2分程度の対話を2回程度行う活動として説明され、「対話を続けるための基本的な表現」として、あいさつ・繰り返し・一言感想・確かめ・さらに質問・終わりのあいさつが例示されています 1。
「同じ話題を相手を替えてくり返す」ことに関連する研究もあります。日本人の大人の英語学習者32人が、説明・物語・意見の話すタスクを、話し手と聞き手を交替しながら相手を替えて6回行った研究では、話す速さは5回目まで上がり、とくに最初の3回の伸びが大きく、5回目と6回目の間には差がありませんでした 2。ただし、くり返しの効果と、ほかの人の話を聞いた効果は分けられていないと著者自身が述べています。また、1回の授業の中での短期的な変化で、ひとりで話すタスクです。児童生徒どうしのやり取りである Small Talk そのものを調べた研究ではありません。また、言語の授業(コース全体)を4本柱でバランスよく組むべきだという考え方では、流暢さの練習は「ほぼ知っている言葉だけで」「意味を伝えることに集中し」「ふだんより少し速く」「たくさん」行うことが条件とされ、コース全体の時間のおよそ4分の1をあてるよう提案されています(各授業を毎回4等分するという意味ではありません) 3。Small Talk は、このうち「ほぼ知っている言葉で」「意味を伝えることに集中する」という2つの条件とは合っています。ただし、流暢さの練習と言えるには、ふだんより速く話すよう促す工夫と、十分な量を話すことも必要です(4分の1は Small Talk だけでなく、コース全体での配分の目安です)。
❓ よくある質問
Q. Small Talk の目的は何ですか?
文部科学省の研修ガイドブックは、主な目的を2つにまとめています。既習表現をくり返し使って定着させることと、対話の続け方を指導することです。授業のはじめに、相手を替えて1〜2分程度の対話を2回程度行う活動として説明されています 1。
Q. Small Talk の中間指導では、何をしますか?
1回目のあとに「言いたかったけど英語で言えなかったことは?」と聞き、出てきた表現をクラスで確認・板書します。上手に続けていたペアのやり取りも1つ紹介し、2回目でその表現を試させます。2回くり返すだけでは、言えなかった表現が解決されないこともあるからです。
Q. Small Talk で、新しい文法を練習させてもいいですか?
Small Talk は既習表現を使う場と割り切り、新しい文法は本時の展開で扱います。コース全体の時間のおよそ4分の1(毎回の授業を4等分するという意味ではありません)を、ほぼ知っている言葉で意味を伝える流暢さの練習にあてるという考え方もあり 3、Small Talk は「既習の言葉で」「意味の伝達に集中する」点ではこの考え方と合っています。流暢さの練習と言えるには、ふだんより速く話すよう促す工夫と、十分な量を話すことも必要です。
Q. 単語だけで答える子が多いときは、どうしますか?
先生が自然なやり取りの中で、正しい文にして返します(Sea. → You went to the sea.)。直すのではなく「言い直して返す」のがポイントです。話題がなくて沈黙するときは、最初の質問を板書し、全体で1回言わせてから始めます。
Q. Small Talk は、どう評価しますか?
練習の場なので、その場で点数はつけず、記録カードと数回の観察で見とります。相手の答えに合わせて繰り返し・一言感想・さらに質問で対話を続けているか、ふり返りをもとにやり取りの仕方を工夫しているか、などを見ます。記録に残す評価は、単元や学期のいくつかの資料からまとめて判断します。
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📑 出典(3件)
本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。
- 文部科学省 (2017). 小学校外国語活動・外国語研修ガイドブック. 文部科学省 公式ページ ✔ リンク確認済小学校外国語の研修用の公式資料。Small Talk の目的(既習表現の定着・対話の続け方)と「対話を続けるための基本的な表現」を説明
- Lambert, C., Kormos, J., & Minn, D. (2017). Task repetition and second language speech processing. Studies in Second Language Acquisition, 39(1), 167-196. doi:10.1017/S0272263116000085 ✔ DOI照合済日本人英語学習者32人が3種類の話すタスクを6回ずつくり返した研究。話す速さの伸びは最初の3回が最大で、5回目まで続いた
- Nation, I. S. P. (2007). The four strands. Innovation in Language Learning and Teaching, 1(1), 2-13. doi:10.2167/illt039.0 ✔ DOI照合済授業の活動を「意味中心のインプット・意味中心のアウトプット・言語に焦点を当てた学習・流暢さの養成」の4つに分け、ほぼ同じ時間を配分するよう提案した論文
最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら






