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🎲 授業アクティビティ集中学校高校📖 約8分

スキャニング競争 ― 「答えだけ」を本文から最速で探し出す

先に問いを見せてから、本文の中から答えの語や数字だけを探させます。全部を読まなくていい、という体験が「1語ずつ訳さないと読めない」という思いこみを見直すきっかけになります。テストの長文対策にもなるゲーム感覚の読む練習です。

⏱ 時間
5-10分
🧰 準備
少し
👥 形態
個人・ペア
🎯 技能
リーディング・ゲーム
📶 CEFR
A1-B1
🛡️
このページのウラ取り 出典 2 件 ― 原田英語.comが集めて読んだ論文・専門書・公的資料。DOI・ISBN・公式ページは書誌データベースとも照合済み 原田英語.comと校閲担当が、主張と出典を1つずつ照合・AI(Codex)による独立チェック済み(2026-10-18) ウラ取りの仕組み →
スキャニング競争 ― 「答えだけ」を本文から最速で探し出すのイメージ
💡ねらい
  • 「全部をていねいに読む」以外の読み方(必要な情報だけを探す読み方)を体験させる。
  • 数字・固有名詞・キーワードを手がかりに、目を素早く動かす練習をする。
  • 問いを先に読んで読む目的をはっきりさせる習慣をつける。

スキャニングってなに?

ひとことで言うと、スキャニングは、探す情報(日付・数字・名前など)を先に決めて、本文全体をていねいに読まずに、その情報だけをすばやく探す読み方です。スキャニング競争は、探す情報を問いの形で先に示し、それをゲームにした練習です。

🎈たとえるなら

駅の時刻表から、自分が乗る電車の時刻だけを探すようなものです。時刻表を上から全部読む人はいません。「何時の、どの行き先」と探すものを決めてから見るので、すぐ見つかります。探すもの(問い)を先に決めてから本文を見るのがコツです。

ほかの読み方とのちがい

スキャニング スキミング 精読
目的 日付・名前・数字など決まった情報を探す 全体の大まかな内容をつかむ ていねいに全体を理解する
読む範囲 答えのまわりだけ 全体をざっと 全部
向いている場面 時刻表・お知らせ・テストの情報検索 記事の見出しや段落の頭を見て内容をつかむとき 教科書本文の内容理解

やり方を3ステップで

  1. 問いを読む:本文は裏返しのまま、問いを3〜5問だけ先に読む。
  2. 探す:合図で本文を表にし、答えを見つけたら線を引いて手を挙げる。
  3. 確かめる:全員で答えを確認し、同じ文章で問いを変えて2〜3ラウンド行う。

授業の流れ(分ごと)

時間 先生 生徒
0:00〜1:00 本文を裏返しで配り、問い1〜3だけを板書か画面で読ませる 問いを読んで、探す語を予想
1:00〜3:00 "Go!" 30秒ほど全員に探させ、各自が答えを書いてから全体で確認 本文を表にして答えを探す
3:00〜5:00 問い4〜6でラウンド2 探す・線を引く
5:00〜7:00 問い7〜8でラウンド3(7は言いかえ、8は直接探す問い) 探す・考える
7:00〜9:00 「どうやって見つけた?」を聞く 探し方のコツを言葉にする
9:00〜10:00 振り返り チェック
スキャニング競争 ― 「答えだけ」を本文から最速で探し出すの教室の配置と動き方
🗺️ 教室の配置と動き方(イメージ)
👣手順
  1. 素材:日付・数字・名前が多い文章が向いています(お知らせ、スケジュール表、広告、伝記、ニュース、教科書本文)。ワークシートのお知らせ文はそのまま使えます。
  2. 問いを先に見せる:3〜5問。答えは本文中の語や数字そのもの。問いは板書か画面に映し、本文(ワークシート)は裏返しのまま。
  3. 合図でスタート:本文を一斉に表にし、答えを見つけたら線を引いて手を挙げる。30秒ほどは全員に探させ、各自が答えを書いてから一斉に確認する(早く見つけた人は、答えの根拠になる語にも線を引いて待つ)。
  4. 次の問いへ:同じ文章で、問いを変えて2〜3ラウンド。最後のラウンドは「Pets are not allowed. → 犬は連れて行ける?」のように、少し言いかえた問いにすると、意味を考えて探す練習になります。
  5. ふり返り:「どうやって見つけた?」と聞き、「数字を探した」「大文字を探した」「Price という語を探した」など、探し方のコツを言葉にさせる。黒板に「スキャニングのコツ」としてためていきます。
🗣️先生の英語(そのまま使える)
TDon't read every word. Just find the answer.
TRead questions one to three first. What words will you look for?
SNumbers! "Fireworks."
TGood idea. Ready, go!
TFound it? Underline it and raise your hand.
S8:30 p.m.!
TCorrect! How did you find it so fast?
SI looked for the word "fireworks."
TNext round. This time, find the name of the person to call.
TLast round. Question seven: Can you bring your dog? The word "dog" is not in the text. Think!
TGreat job. Scanning is a skill for tests and for real life.
🏫そのまま使える素材

ワークシートのお知らせ文(Green Hill Summer Festival)で使える追加の問いと、ほかの素材の作り方です。

追加の問い(お知らせ文)

  1. What time does the festival start?
  2. Where is the festival?
  3. When is the deadline to sign up for the dance contest?
  4. Who can join the Bon dance?
  5. Where can you buy ice cream?
  6. Is it free for a 10-year-old child?
  7. What should you bring for trash?

少し考える問い(言いかえ・推測) 8. You are 15 years old. How much do you pay?(12歳以上は500円→15歳は500円) 9. How much time is there between the start of the taiko show and the start of the fireworks?(4:30と8:30→4時間) 10. Can you join the dance contest if you sign up on August 5?(No)

探し方のコツ(黒板にためる) 11. 数字の問い → 数字・時刻・お金の記号を探す 12. 人の問い → 大文字で始まる語(Ms. Kato)を探す 13. 場所の問い → Place / at / in などの語を探す 14. 問いのキーワードと同じ語・似た語を探す(dog → Pets)

🔁アレンジ
  • 小学校:絵本や絵カードの中から「apple はどこ?」と1語を探す、文字探しゲームに。アルファベットの大文字探しから始めてもOK。
  • 中学:教科書の本文を使い、問いを生徒が作って出し合う。問いを作る段階でも本文をよく読むことになるので、読む練習が2回分になります。
  • 高校:図表つきの文章で、「設問を先に読む→該当箇所を探す」練習に。そのあと、見つけた部分の前後だけを精読します。
  • 大人数クラス:手を挙げる代わりに、見つけた行番号を小さなホワイトボードに書いて一斉に上げる。だれが見つけられたかを、先生が一度に確かめられます。
  • 苦手な生徒が多いクラス:問いを日本語で示し、答えは英語の語に線を引くだけでOKに。最初の問いは数字の問いにすると、苦手な生徒も見つけやすくなります。
  • オンライン・タブレット:本文を数十秒だけ画面共有し、答えをチャットに早押しで書きこむ形に。スキャニング用のゲームツールも使えます。
📊評価のポイント
  • 知識・技能:問いに合う情報を、本文から正確に見つけられる(正答数)。言いかえられた問い(dog → Pets)でも、意味の対応に気づいて答えを見つけられる。
  • 思考・判断・表現:この競争だけでは見にくい観点です。見るなら、目的や場面を決めた課題(例:「大人2人と10歳の子ども1人で、4:20に南駅に着く。入場料は全部でいくら?太鼓のショーに間に合う?理由も」)で、複数の情報をもとに判断して答えられるかを見ます。
  • 主体的に学習に取り組む態度:探し方のコツを自分の言葉で説明し、次に生かそうとしている。1回のふり返りだけで決めず、何回かの活動を通して、粘り強さと探し方の調整を見ます。
段階(正確さ中心) 目安
A 言いかえの問いを含め、ほぼ全問を正しく見つけられる
B そのまま書いてある答えは見つけられるが、言いかえの問いで迷う
C 答えを見つけられない問いが多い

速さ(何秒で見つけたか)や探し方は、本人へのフィードバックに使い、成績の段階には入れません。定期テストでは、時間競争を外し、目的・場面を決めたお知らせ文や図表から情報を探す問題に作り直して評価できます。

⚠️よくあるつまずきと対処
  • 最初から全部を読んでしまう → 「問いを先に読む」「探す語を決めてから表にする」を毎回くり返す。時間制限を短めにすると、探す読み方に切りかわります。
  • 答えが本文に「そのまま」ない問いで止まる → 最初のラウンドは語や数字そのものが答えの問いに。言いかえの問いは最後のラウンドで。
  • いつも同じ生徒が勝つ → ペア戦にしたり、「見つけた人は次の問いを出す側に回る」ルールにしたりして、速い生徒だけで終わらない形にする。
  • 探す読み方ばかりで、内容を深く理解しなくなる → 文章全体をじっくり理解する力は育ちにくいので、発問のはしご などの精読とセットで使いましょう。
🔬なぜ効く?

読む力の指導では、精読(ていねいに読む)・多読(たくさん読む)に加えて、速く読む練習もバランスよく入れることがすすめられています 1。スキャニングは「必要な情報だけを探す」読み方で、テストの長文や日常の読み物(時刻表・案内)でよく使う力です。

また、読む前の問いに関係する実験があります。ブラジルの大学生40人が4つの文章をそれぞれ違う条件で読んだ実験では、「本文の内容を1文で聞き、答えがありそうな問いを自分たちで考えてから読む」「絵で状況をつかむ」「単語を先に教える」の3つのどれをしたときも、何もしないで読んだときより理解のテスト(多肢選択)の点が高くなりました。単語の事前指導は効果があったものの、ほかの2つより小さめでした。自由に答えを書く問題では差は見られませんでした 2。この研究の問いは学生が自分で作ったもので、スキャニング競争のように先生の問いを先に読む形とは違いますが、読む前に問いを持つと読む目的がはっきりし、注意を向ける場所が決まりやすい、と考えられます。

ただし、スキャニング競争という活動そのものの効果を比べた研究はほとんど見当たりません。「探す読み方」ばかりになると、文章全体をじっくり理解する力は育ちにくいので、精読とセットで使いましょう。

❓ よくある質問

Q. スキャニングとは、どんな読み方ですか?

文章を全部ていねいに読むのではなく、日付・名前・数字などの必要な情報だけを探す読み方です。テストの長文や、時刻表・案内などの日常の読み物でよく使います。読む力の指導では、精読・多読に加えて速く読む練習もバランスよく入れることがすすめられています 1。

Q. スキャニング競争は、どう進めますか?

本文を裏返しで配り、問いを3〜5問だけ先に読ませます。合図で本文を表にし、答えを見つけたら線を引いて手を挙げます。最初の3人が見つかったら全員で確認し、同じ文章で問いを変えて2〜3ラウンド行います。

Q. 問いを先に見せるのはなぜですか?

ブラジルの大学生40人の実験では、本文の内容を1文で聞いて自分たちで問いを考えてから読んだときは、何もしないで読んだときより多肢選択の理解テストの点が高くなりました 2。先生の問いを先に読む形とは少し違いますが、読む前に問いを持つと、読む目的がはっきりし、注意を向ける場所が決まりやすいと考えられます。

Q. いつも同じ生徒が勝ってしまいます。

ペア戦にしたり、「見つけた人は次の問いを出す側に回る」ルールにしたりして、速い生徒だけで終わらない形にします。大人数なら、見つけた行番号を小さなホワイトボードに書いて一斉に上げる方法もあります。

Q. スキャニングばかりで、内容を深く理解しなくなりませんか?

探す読み方ばかりでは、文章全体をじっくり理解する力は育ちにくいので、精読とセットで使います。最後のラウンドで「Pets are not allowed. → 犬は連れて行ける?」のような言いかえた問いを出すと、意味を考えて探す練習にもなります。

🎁 玉手箱で使えるツール

原田英語の「英語の先生の玉手箱」の無料ツール。登録なしで授業にそのまま使えます。

📑 出典(2件)

本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。

  1. Nation, I. S. P., & Macalister, J. (2020). Teaching ESL/EFL Reading and Writing (2nd ed.). Routledge doi:10.4324/9781003002765 ✔ DOI照合済読む・書く指導の定番の教科書。速読・多読・精読のバランスを解説
  2. Taglieber, L. K., Johnson, L. L., & Yarbrough, D. B. (1988). Effects of prereading activities on EFL reading by Brazilian college students. TESOL Quarterly, 22(3), 455-472. doi:10.2307/3587289 ✔ DOI照合済ブラジルの大学生40人。絵で状況をつかむ・要約を聞いて自分たちで問いを作る・単語の事前指導の3つの読む前活動で、多肢選択の理解テストの点が高まった(自由記述は差なし)

最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら