まずはこの3つ
- 欽定訳聖書(1611年)とシェイクスピアは決まり文句の二大源泉
- 物語ごと覚える:good Samaritan=倒れた人を助けた旅人
- 誤用に注意:お金でなく「お金への愛」が諸悪の根源
1旧約聖書から:物語が比喩になった15
- an eye for an eye★★★目には目を(同じ仕返し)出エジプト記。本来は「受けた害以上の復讐を禁じる」決まり
- the apple of one's eye★★★目に入れても痛くないほど大切な人申命記・詩編など。apple は「瞳」のたとえ
- by the skin of one's teeth★★★かろうじて、間一髪でヨブ記。歯の皮ほどのわずかな差で助かる
- forbidden fruit★★★禁断の果実(手を出してはいけない物)創世記・エデンの園。聖書には「リンゴ」とは書かれていない
- a scapegoat★★★身代わり、罪をかぶせられる人レビ記。人々の罪を負わせて荒野に放ったヤギ
- a drop in the bucket★★★焼け石に水、ごくわずかイザヤ書。バケツの中の一滴。英では a drop in the ocean も
- There's nothing new under the sun.★★★日の下に新しいものは何もない伝道の書(コヘレトの言葉)。歴史は繰り返す
- the writing on the wall★★★不吉な前兆ダニエル書。王の宴の壁に謎の手が滅亡を予告する文字を書いた
- feet of clay★★★(偉い人の)意外な弱点ダニエル書。金の頭を持つ像の足が鉄と粘土でできていた
- a land of milk and honey★★★豊かな土地、楽園出エジプト記。神が約束した「乳と蜜の流れる地」
- David and Goliath★★★弱者が強者に挑む戦いサムエル記。少年ダビデが巨人ゴリアテを石投げで倒した。報道の定番
- the Tower of Babel★★★バベルの塔(言語の混乱)創世記。天に届く塔を築こうとした人々の言葉を神が乱した
- A leopard can't change its spots.★★★人の性格は変わらないエレミヤ書の「豹はその斑点を変えられるか」から。≒三つ子の魂百まで
- see eye to eye★★★意見が完全に一致するイザヤ書の言葉が元。否定文で使うことが多い
- Am I my brother's keeper?★★★他人のことなど知ったことか創世記。弟アベルを殺したカインが神に答えた言葉
2新約聖書から:イエスのたとえ話15
- a good Samaritan★★★困っている人を助ける親切な人ルカ福音書。倒れた旅人を助けたサマリア人。救助者を守る「善きサマリア人法」も
- a wolf in sheep's clothing★★★羊の皮をかぶった狼(善人を装う危険人物)マタイ福音書。偽の預言者への警告
- the salt of the earth★★★善良で頼りになる人々マタイ福音書「あなたがたは地の塩である」。人をほめる言葉
- turn the other cheek★★★仕返しをしないマタイ福音書。右の頬を打たれたら左の頬も向けよ
- go the extra mile★★★期待以上の努力をするマタイ福音書。1マイル行けと強いられたら2マイル行け。面接・仕事の話で
- Man shall not live by bread alone.★★★人はパンのみにて生きるにあらずマタイ福音書(元は旧約の申命記)。物質だけでは心は満たされない
- A house divided against itself cannot stand.★★★内部分裂した家は立ちゆかないマルコ福音書など。リンカーンが奴隷制をめぐる演説で引用して有名
- the prodigal son★★★放蕩息子(悔い改めて戻った者)ルカ福音書。財産を使い果たして戻った息子を父が喜んで迎えた
- at the eleventh hour★★★ぎりぎりの時に、土壇場でマタイ福音書。日の出から数えて第11時(夕方5時ごろ)に雇われた労働者も同じ賃金をもらった
- wash one's hands of★★★〜から手を引く、関係を断つマタイ福音書。総督ピラトが手を洗い、イエスの処刑への責任を否定した
- a doubting Thomas★★★疑い深い人ヨハネ福音書。復活したイエスの傷に触れるまで信じなかった弟子トマス
- Physician, heal thyself.★★★医者よ、自分を治せルカ福音書。≒医者の不養生。人に言う前に自分を正せ
- The spirit is willing, but the flesh is weak.★★★心は燃えても、肉体は弱いマタイ福音書。やる気はあるが体がついていかない(ダイエット・早起きに)
- Those who live by the sword die by the sword.★★★剣で生きる者は剣で滅びるマタイ福音書の言葉を短くした形。暴力は暴力を呼ぶ
- The love of money is the root of all evil.★★★金銭を愛することはすべての悪の根であるテモテへの手紙。「お金が諸悪の根源」と love of を落として引用されがち
3シェイクスピアから:名台詞が日常語に20
- To be, or not to be: that is the question.★★★生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ『ハムレット』。重大な二択のパロディにも使う
- All the world's a stage.★★★この世はすべて舞台だ『お気に召すまま』。人はみな役者、と続く
- the green-eyed monster★★★嫉妬『オセロー』。green=嫉妬の色。green with envy も同じ発想
- Brevity is the soul of wit.★★★簡潔こそ知恵の真髄『ハムレット』。wit は古い意味の「知恵」。長話の老臣が言う皮肉
- Et tu, Brute?★★★ブルータス、お前もか『ジュリアス・シーザー』。劇中でもラテン語。信頼した人の裏切りに
- It's Greek to me.★★★ちんぷんかんぷんだ『ジュリアス・シーザー』の用例で有名。ギリシャ語=わからない物の代表
- What's done is done.★★★済んだことは仕方がない『マクベス』のマクベス夫人の台詞。≒覆水盆に返らず
- wear one's heart on one's sleeve★★★感情をあらわにする『オセロー』。心を袖につけて見せる
- a wild-goose chase★★★無駄な追跡、骨折り損『ロミオとジュリエット』が最初の記録。元は馬の追いかけ競走の名
- a pound of flesh★★★(契約どおりの)冷酷な取り立て『ヴェニスの商人』。借金の担保に肉1ポンドを求める金貸し
- The course of true love never did run smooth.★★★真の恋の道はけっして平坦ではない『夏の夜の夢』。did は強調
- A rose by any other name would smell as sweet.★★★バラはどんな名前で呼んでも甘く香る『ロミオとジュリエット』の台詞(原文は by any other word)。名前より中身
- Neither a borrower nor a lender be.★★★金は借りるな、貸すな『ハムレット』。be が文末の古い語順の命令文
- Something is rotten in the state of Denmark.★★★何かがおかしい(不正のにおいがする)『ハムレット』。組織の腐敗を示す引用で
- Parting is such sweet sorrow.★★★別れはこんなにも甘く切ない『ロミオとジュリエット』のバルコニーの場面。矛盾語法の代表例
- vanish into thin air★★★跡形もなく消える『テンペスト』の into thin air から広まった
- in one fell swoop★★★一挙に、一度に『マクベス』。fell は古語の「残忍な」(fall の過去形ではない)
- The lady doth protest too much, methinks.★★★あの女は言い張りすぎだと思う『ハムレット』。protest は古い意味の「誓う」。今は「むきに否定するのは怪しい」
- Uneasy lies the head that wears a crown.★★★王冠をいただく頭は安らがない『ヘンリー四世 第2部』。責任ある者の苦労。倒置文
- Some are born great, some achieve greatness, and some have greatness thrust upon them.★★★生まれつき偉大な者、努力で偉大になる者、周りに偉大な立場へ押し上げられる者がいる『十二夜』。英作文でリーダー論に
目から鱗!なぜ聖書とシェイクスピアなのか
シェイクスピア(1564〜1616年)の活躍と、英語訳聖書の決定版「欽定訳聖書」(1611年)はほぼ同じ時代。どちらも何百年も英語圏の人々が読み・聞き続けたため、台詞や聖句がそのまま日常の決まり文句になった。長文では the Good Samaritan や a David-and-Goliath battle のように説明なしで出るので、出典の物語を知っている人が有利。
誤解・誤引用に注意6
- ✕Money is the root of all evil.(聖書)○The love of money is the root of all evil.聖書の原文は「お金への愛」
- ✕God helps those who help themselves.(聖書)○聖書にはない格言古代ギリシャ以来の考え。フランクリンの暦などで広まった
- ✕禁断の果実=リンゴ(聖書に明記)○聖書は「木の実」としか言わないリンゴ説は後の絵画などで広まった
- ✕Wherefore art thou Romeo?=ロミオ、どこにいるの?○なぜあなたはロミオなの?wherefore=why(where ではない)
- ✕Alas, poor Yorick! I knew him well.○Alas, poor Yorick! I knew him, Horatio.『ハムレット』の有名な誤引用
- ✕Adam's apple(のどぼとけ)は聖書の言葉○聖書の言葉ではなく、由来ははっきりしない「果実がのどにつかえた」は俗説
確認テスト
- 1We won the game by the skin of our .正解は teeth。間一髪。ヨブ記から
- 2A man stopped to help the injured cyclist. He was a real good .正解は Samaritan。困った人を助ける人
- 3She is the of her father's eye.正解は apple。apple=瞳
- 4I can't read this contract. It's to me.正解は Greek。ちんぷんかんぷん
- 5Jealousy is often called the -eyed monster.正解は green。『オセロー』から
- 6My donation was just a drop in the .正解は bucket。ごくわずか
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