まずはこの3つ
- まず中学英文法と基本語。土台がないと何をしても伸びにくい
- 毎日15分を固定の時間に。量より「途切れないこと」
- 読み返すより思い出す練習、詰め込むより間隔をあけて復習
大人の英語は「仕組み」で勝つ
大人は時間が少ないが、目的がはっきりしていて、学び方を選べる。方法を3つに絞り、毎日同じ時間に少しずつ。いろいろ試して全部が中途半端になるのが、やり直しで起こりやすい失敗の代表だ。
1毎日の土台をつくる5
- 1毎日15分の音読中学〜高校初級の教科書レベルの英文を、音声をまねて声に出す。意味を思い浮かべながら読む。同じ文章を数日くり返すと、文の形が口と耳に残る。
- 2単語は間隔反復アプリで復習の間隔を少しずつ広げると、一度に詰め込むより記憶が長持ちする(分散学習:Cepeda et al., 2006)。アプリが復習日を自動で決めてくれる。1日10語程度から。
- 3思い出す練習読み返すより、何も見ずに思い出す方が記憶に残る(テスト効果:Roediger & Karpicke, 2006)。日本語を見て英語を言う、例文の空所を埋めるなど。
- 4やさしい本の多読知らない語がほとんどない英文を大量に読む。辞書は引かず、わからない所は飛ばす。語の98%程度を知っていると理解しやすいとされる(Hu & Nation, 2000)。
- 5多聴(聞き流しと集中を分ける)通勤中は内容を知っている音声を流し、1日5分だけはスクリプト(台本)を見ながら集中して聞く。わからない音を確かめる時間を必ずつくる。
2話す・書く5
- 1シャドーイング音声を聞きながら、少し遅れて影のように声でまねる。まずスクリプトを見て意味を確認してから行う。いきなり難しい音声でやると、ただの雑音になる。
- 2AI英会話AIを相手に、話す練習を時間や人目を気にせずできる。自分の言いたいことを英語で言い、より自然な言い方を聞いて言い直す。学習効果の研究はまだ発展途上。
- 3英語日記を3行今日あったこと・感じたことを3文で。書けなかった表現は調べて書き直す。言いたいのに言えない表現が、そのまま自分専用の教材になる。
- 4独り言で実況家事や通勤中に、していることを英語でつぶやく(I'm making coffee now.)。相手がいなくても、言葉が出てこない所に気づける。
- 5人と話す機会をつくるオンライン英会話や英会話サークルで、実際の相手と話す。事前に話したい話題を3つ英語でメモしておくと、時間が無駄にならない。
3理解を深める5
- 1中学英文法の総復習時制・助動詞・比較・関係詞・仮定法まで、中学〜高校初級の文法を1冊で通す。会話もニュースも、この骨組みの上に成り立っている。
- 2好きな分野を英語で料理・スポーツ・仕事の分野など、興味のある内容を英語で読む・見る。知っている内容なら、英語が難しくても推測できる。
- 3動画は英語字幕で日本語字幕では英語が耳に入りにくい。2回目以降は英語字幕、慣れたら字幕なしで。短い動画を何度も見る方が効果的。
- 4やさしい英語ニュース学習者向けに語彙を制限したニュースサイトから始める。日本語で知っているニュースを英語で読むと理解しやすい。
- 5発音の基本ルール母音・子音の出し方、音のつながり(an apple→アナップル)を一度学ぶ。自分で出せる音は聞き取りやすくなる。
4続ける仕組み5
- 1「もし〜したら英語」を決める「電車に乗ったら単語アプリを開く」のように、場面と行動をセットで決めておくと実行しやすい(実行意図:Gollwitzer, 1999)。
- 2習慣化は2か月単位で考える新しい健康習慣がほぼ自動的にできるまでの日数は、ある研究で推定中央値66日、人によって18〜254日と大きくばらついた(Lally et al., 2010)。3日でできなくても気にしない。
- 3目標を行動で決める「ペラペラになる」ではなく「毎日15分音読」「月に本を2冊」など、できたかどうかがわかる行動で決める。
- 4記録をつける学習した日にカレンダーに印をつける、語数や時間をメモする。積み上がった記録を見ると続けやすい。
- 5試験を目標に置く英検やTOEICなどの受験日を決めると、学習に期限と目安ができる。目的(仕事・旅行・資格)に合う試験を選ぶ。
目的別:この3つから始める
| 目的 | まずやる3つ | 1日の目安 |
|---|---|---|
| 基礎からやり直したい | 中学英文法・単語アプリ・音読 | 30分 |
| 話せるようになりたい | 音読・独り言・AI英会話 | 20〜30分 |
| 聞けるようになりたい | 多聴・シャドーイング・発音ルール | 20分+通勤時間 |
| 読めるようになりたい | 多読・やさしいニュース・単語アプリ | 30分 |
| 資格を取りたい | 試験の公式問題・単語アプリ・思い出す練習 | 30〜60分 |
やり直し英語の落とし穴5
- ✕教材を次々に買い替える○1つの教材を最後まで使う始めの部分ばかりくり返し、先に進まない
- ✕聞き流すだけで話せるようになると思う○意味のわかる音声を、集中して聞く時間もつくる意味を確かめずに聞き流すだけでは理解につながりにくい
- ✕週末にまとめて3時間○同じ3時間を毎日に分ける(1日25分ほど)間隔をあけてくり返す方が記憶に残りやすい
- ✕いきなりネイティブ向けのニュースや映画○学習者向けのやさしい素材からわからない語が多すぎると理解も学習も進みにくい
- ✕間違いを恐れて話さない○話して、直して、言い直す言えない所に気づくことが上達の入り口
研究を読むときの注意
分散学習やテスト効果は多くの研究で確かめられた学習の原則だが、「この方法で何か月で話せる」と保証するものではない。シャドーイングやAI英会話のように、研究が進行中の方法もある。続けられる方法を選び、自分の記録で学習量と伸びを確かめるのが実践的だ。
参考にした資料
- Cepeda, N. J., et al. (2006). Distributed practice in verbal recall tasks: A review and quantitative synthesis. Psychological Bulletin, 132(3), 354–380.
- Roediger, H. L., & Karpicke, J. D. (2006). Test-enhanced learning. Psychological Science, 17(3), 249–255.
- Gollwitzer, P. M. (1999). Implementation intentions: Strong effects of simple plans. American Psychologist, 54(7), 493–503.
- Lally, P., et al. (2010). How are habits formed: Modelling habit formation in the real world. European Journal of Social Psychology, 40(6), 998–1009.
- Hu, M., & Nation, I. S. P. (2000). Unknown vocabulary density and reading comprehension. Reading in a Foreign Language, 13(1).
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