まずはこの3つ
- 知らない語がほとんどない、やさしすぎるくらいの本を選ぶ
- 辞書は引かない。わからない所は飛ばし、つまらなければやめる
- 量は語数で記録。精読と組み合わせて両輪で伸ばす
多読の正体
精読が「難しい英文を1文ずつ正確に分析する」練習なら、多読は やさしい英文を大量に、日本語に訳さず英語のまま理解する 練習。目的は、語や構文を「知っている」状態から「速く自動的にわかる」状態にすること。長文を最後まで読み切るスタミナと速さは、ここで育つ。
Day & Bamford の多読の10原則
多読研究者の Day と Bamford が、うまくいく多読プログラムの特徴としてまとめたもの(2002)
| 原則 | 意味 | 受験生ならこうする |
|---|---|---|
| 1 読む物はやさしい | 辞書がなくても楽に読める英文 | 教科書より1〜2段やさしい本から |
| 2 いろいろな題材がそろっている | 物語・ノンフィクション・ニュースなど幅広く | 長文に出るテーマの読み物も混ぜる |
| 3 読む物は自分で選ぶ | 興味のある物を選び、合わなければやめてよい | 表紙と最初の1ページで選ぶ |
| 4 できるだけたくさん読む | 量が大切 | 毎日15分など、時間を決めて読む |
| 5 目的は楽しみ・情報・大意 | 細部まで正確に訳すことが目的ではない | 話の流れがつかめればOK |
| 6 読むこと自体が報酬 | テストや課題で縛らない | 感想は一言メモ程度にとどめる |
| 7 速く読む | ゆっくり分析しながらではなく、すらすら | なるべく返り読みせず、前から読む |
| 8 一人で黙って読む | 自分のペースで読む | すき間時間にスマホで読むのもよい |
| 9 教師は方向づけと手引きをする | 多読の進め方や本の選び方を示す | 先生・このシートで方法を確認 |
| 10 教師は読み手の手本になる | 先生自身も読む姿を見せる | 読んだ本を友達と紹介し合う |
日本で広く知られる「多読三原則」3
- 1辞書は引かない辞書を引くたびに読む流れが止まる。辞書が必要な本は、今の自分にはまだ難しいというサイン。
- 2わからない所は飛ばす知らない語があっても、前後の文脈で意味を推測するか、そのまま先へ進む。全体の流れがわかれば十分。
- 3つまらなくなったらやめる途中でやめてよい。合わない本を我慢して読むより、別の本に替えた方が量を読める。
レベル選びの目安4
- 1知らない語は1ページ数語まで研究では、物語文を辞書なしで十分に理解するには、語の98%程度を知っていることが目安とされる(Hu & Nation, 2000)。250語のページなら知らない語は5語ほど。
- 2すらすら読める速さ1分あたりの語数=読んだ語数÷かかった分数。止まらずに読めて、速さが落ちない本が合っている(速さの数字は人によって違うので、自分の記録と比べる)。
- 3迷ったら下のレベルやさしすぎると感じるくらいがちょうどよい。速く大量に読めるので、結果的に読む力が早く伸びる。
- 4最初のページでチェック1ページ読んで、知らない語を指で数える。多すぎたら1段下のレベルへ。
読む量の目安と記録
語数は目安(編集部)。研究で決まった数字ではない
| 期間 | 量の目安 | 記録すること |
|---|---|---|
| 1日 | 15〜20分(やさしい本なら数千語) | 書名・語数・ひと言感想 |
| 1か月 | やさしい本を10冊以上 | 合計語数、レベルの変化 |
| 節目 | 日本の多読では「100万語」がよく目標にされる | 継続の節目。レベルは読みやすさで調整 |
読む・聞く・音読の組み合わせ4
- 1聞き読み音声に合わせて文字を目で追う。一定の速さで前から読む練習になり、返り読みのくせが減る。
- 2多聴やさしい音声をたくさん聞く。まずは一度読んだ話を音声だけで聞くと、内容を知っているので音と意味がつながりやすい。
- 3音読気に入った1ページだけ、声に出して読む。多読の「量」に、音読の「定着」を足す。
- 4精読と分ける受験の長文は精読で構造を確認し、多読では訳さず楽しむ。目的を分けると、どちらも効く。
続けるコツ4
- 1時間と場所を固定通学の電車、寝る前の15分など、毎日同じ場面で読む。
- 2記録を見える化読んだ語数を足していき、グラフや表にする。増えていく数字が続ける力になる。
- 3シリーズ物を読む同じ登場人物・同じ作者の本は語彙がくり返し出るので読みやすい。
- 4仲間と紹介し合う読んだ本を友達とすすめ合うと、次に読む本が見つかり、続けやすい。
多読のよくある誤解5
- ✕難しい本をたくさん読めば早く伸びる○やさしい本をたくさん読む難しいと量が読めず、訳読になってしまう
- ✕わからない語は全部辞書で調べる○推測して飛ばす。気になる語だけ後で読む流れが止まると多読の効果が薄れる
- ✕1冊は最後まで読まないといけない○つまらなければ途中でやめる合わない本を続けると量が減る
- ✕多読だけで受験英語は十分○精読・単語・文法と組み合わせる入試の難しい構文は精読で確認が必要
- ✕日本語に訳しながら読む○英語のまま、絵や場面を思い浮かべる1文ずつ訳すと遅くなり、多読の目的から外れる
なぜやさしい本で伸びる?
知っている語・文法でも、何度も出会うことで処理が速く自動的になる。知らない語がごく少ない英文なら、前後から意味を推測でき、新しい語も少しずつ身につく。十分な理解には98%程度の語を知っていることが目安という研究(Hu & Nation, 2000)は、「やさしい本」を選ぶ根拠の1つだ。
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参考にした資料
- Day, R., & Bamford, J. (2002). Top ten principles for teaching extensive reading. Reading in a Foreign Language, 14(2), 136–141.
- Waring, R., & McLean, S. (2015). Exploration of the core and variable dimensions of extensive reading research and pedagogy. Reading in a Foreign Language, 27(1), 160–167.
- Hu, M., & Nation, I. S. P. (2000). Unknown vocabulary density and reading comprehension. Reading in a Foreign Language, 13(1).
- 原田英語:多読ベスト
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