原田先生の毎日英語!

情報漏洩は英語で data breach|ソースネクスト・ヤマト運輸・コミックシーモアの発表を英語で読む+今すぐやる3つ

ソースネクスト、ヤマト運輸、コミックシーモアと、会員情報の流出のニュースが立て続けに出ています。「情報漏洩」や「不正アクセス」は英語で何と言うのでしょうか。各社の発表の中身を整理しながら、海外ニュースで必ず出てくる言葉、お詫び文の英語、だましのメールを見抜く英語、そして今日すぐやるべき対策までまとめました。

情報漏洩(data breach)のイメージ。半分開いた金庫のような扉からデータが水のように漏れ出し、学生が虫めがねで調べている原田先生の毎日英語!|10月17日

Data Breach「情報漏洩」は英語で、データ・ブリーチ。
3行でわかる今日のポイント
  • 10月15〜16日、ソースネクスト(約2,252万件の可能性)・コミックシーモア・ヤマト運輸(約531万件)が相次いで会員情報の流出を発表
  • 英語では「情報漏洩」=data breach、「不正アクセス」=unauthorized access、「乗っ取られた」=compromised
  • いちばん大事なのは、同じパスワードを使っているほかのサービスも変えること。理由は「credential stuffing」という攻撃です
PART 1

何が起きた?3社の発表を1枚で整理

Google の検索ランキングでも「ソースネクスト」「コミックシーモア」がそれぞれ20万件以上検索されるなど、関心が一気に高まりました。各社の公式発表(10月17日朝の時点)を並べるとこうなります。

ソースネクスト
10月15日発表 / 件数:22,519,960件(流出した可能性)
出た(出た可能性がある)情報:メールアドレス、パスワード、氏名、住所、電話番号、生年月日、会社名など最大13項目(人によって違う)
カード情報:対象外
コミックシーモア(NTTソルマーレ)
10月16日発表 / 件数:精査中
出た(出た可能性がある)情報:メールアドレス、ハッシュ化されたパスワード、生年月日、性別、ニックネーム
カード情報:保有しておらず流出なし
ヤマト運輸
10月16日発表(第4報) / 件数:約531万件(うちメールアドレスつき約49万件)
出た(出た可能性がある)情報:「クロネコ代金後払いサービス」利用者の氏名、住所、電話番号、メールアドレス、商品明細など
カード情報:含まれていない(パスワードも)

ソースネクストは、会員の情報を取り出すための仕組み(API=アプリどうしが情報をやりとりする窓口)を、第三者が10月9日から13日まで不正に使っていたと説明しています。すでに全員のパスワードを変更済みで、ログイン時に新しいパスワードの再設定を求めています。コミックシーモアは10月15日午前11時35分からサービスを止めて調査中で、再開時に全会員にパスワードの再設定を求める予定です。

英語ハック:「可能性」と「確定」は英語でも言い分ける

ソースネクストは「流出した可能性」、ヤマト運輸は「持ち出されたことが判明」。英語のニュースもこの差をはっきり書き分けます。
Customer data may have been exposed.(さらされたかもしれない)
The personal information of about 5.3 million customers was leaked.(漏れた)
may have+過去分詞=「〜したかもしれない」。入試の英文でも、筆者の確信度を読む大事なサインです。

PART 2

「情報漏洩」は英語で? data breach と leak の違い

海外のニュースで「情報漏洩」と言えば、まず data breach(データ・ブリーチ)。読み方は「ブリーチ」で、髪を脱色する bleach(ブリーチ)とは別の単語です。r と l の違いなので、音声で聞き比べておきましょう。

ニュースの1文

SourceNext reported a data breach that may have affected about 22.5 million members.
ソースネクストは、約2,250万人の会員に影響した可能性があるデータ侵害(情報漏洩)を報告した。
 
breach破れ目・違反
←
break壊す
=
同じ語源守りを「破る」

breach は break(壊す)と同じ語源で、もとは「城壁などの破れ目」。だから data breach は「守りを破られて、中のデータを取られた」という、攻撃者のいる事件のイメージです。breach of contract(契約違反)のように「ルールを破る」の意味でも使います。

英語 ニュアンスとよく出る形
data
breach
守りを破られて情報を取られた事件。ハッキングの見出しの定番。
suffer a data breach(被害にあう)
data
leak
「漏れた」という結果に注目。設定ミスで外から見えていた場合にも。
be leaked(漏れる)
exposed 「さらされた」。本当に盗まれたかは不明なときに便利。
may have been exposed
security
incident
会社の発表で好まれる、やわらかい言い方。
a security incident occurred

leak は、もとは水やガスが「漏れる」。秘密や情報にもそのまま使えて、a leaked photo(流出した写真)、a news leak(情報のリーク)のように日本語の「リーク」の元になっています。

PART 3

「不正アクセス」「乗っ取られた」を英語で

日本語の「不正アクセス」は、英語では unauthorized access。authorize(許可する)に un- がついて「許可されていない」です。日本の不正アクセス禁止法も、英語では unauthorized computer access と訳されています。

  1. Hackers gained unauthorized access to the company’s servers.
    ハッカーが会社のサーバーに不正アクセスした。gain access=「アクセスを手に入れる」

  2. My account was compromised, so I changed my password right away.
    アカウントが乗っ取られたので、すぐにパスワードを変えた。

  3. The attackers abused an API to pull member data.
    攻撃者はAPIを悪用して会員データを引き出した。abuse=「本来の使い方から外れて悪用する」

英語ハック:compromise は「妥協」だけじゃない

単語帳で compromise=「妥協(する)」と覚えた人は多いはず。でもセキュリティの英語では「危険にさらす・乗っ取られる」の意味で毎日のように出てきます。a compromised password(漏れてしまったパスワード)、compromised accounts(乗っ取られたアカウント)。1つの単語に「意味の顔」が2つある語は、出てきた場面とセットで2枚目のカードを作ると忘れません。

PART 4

お詫び文を英語にすると? そのまま使える4文

今回の各社のお知らせは、どれも同じ型でできています。①お詫び ②何が起きたか ③何が無事か ④今後の対応。英語の会社の発表もまったく同じ型なので、4文で書けるようになります。英作文や英語の面接にも使えます。

We sincerely apologize for the inconvenience and concern this has caused.
多大なるご迷惑とご心配をおかけしておりますことを、深くお詫び申し上げます
 sincerely=「心から」。日本語の「深く」にあたる定番の副詞です。
We are working with outside experts to investigate the cause and the scope of the incident.
外部の専門機関と連携し、原因と影響範囲の調査を進めております
 「影響範囲」は scope。the scope of the damage(被害の範囲)もよく出ます。
Credit card information was not affected.
クレジットカード情報は対象外です
 affect=「影響を与える」。受け身で「影響を受けていない=無事」。
Passwords were stored in hashed form.
パスワードはハッシュ化された形で保存されていました
 in ~ form=「〜の形で」。in written form(書面で)も同じ形です。
PART 5

「ハッシュ化」のハッシュは、ハッシュドポテトのハッシュ

ハッシュ(hash)の語源のイメージ。細かく刻んだハッシュドポテトと、鍵を細かいキューブに刻む機械
hash の元の意味は「細かく刻む」。刻んだジャガイモと、刻んで元に戻せなくしたパスワード(イメージ)

コミックシーモアの発表に出てきた「ハッシュ化されたパスワード」。この hash、実は朝ごはんの hash browns(ハッシュドポテト)と同じ単語です。元はフランス語の hacher(細かく刻む)で、斧の hatchet も親戚。

パスワードを「細かく刻んで混ぜて、元の形に戻せなくする」から hash。刻んだジャガイモを元のジャガイモに戻せないのと同じです。ただし「よくあるパスワード」を片っぱしから刻んで、できた形を見比べれば当てられてしまうこともあります。短くて単純なパスワードは、ハッシュ化されていても安心できません。

PART 6

これから来る「二次被害」を英語で見抜く

フィッシング(phishing)のイメージ。釣り針にメールとスマホのエサがぶら下がり、スマホの形の魚たちが警戒している
phishing はメールやSMSをエサにした「釣り」。うまい話のリンクには食いつかない(イメージ)

流出のあとに本当に怖いのは、会社を名乗るニセのメールやSMS(phishing=フィッシング)。3社とも「不審なメールやSMSのリンクを開かないで」と呼びかけています。phishing は「釣り」の fishing をもじった、1990年代のハッカー生まれの言葉。f を ph にするのは、電話回線のハッキングを phreaking と書いたのと同じ、当時のハッカー仲間の“当て字”の流行です。

英語 意味としくみ
phishing フィッシング:ニセのメールでニセのサイトに誘い、パスワードなどを入力させる
smishing スミッシング:SMS+phishing。宅配の不在通知を装うのが定番
vishing ビッシング:voice+phishing。電話でだます
credential
stuffing
パスワードリスト攻撃:漏れたIDとパスワードの組を、ほかのサイトに次々に試す

今回いちばん大事なのが最後の credential stuffing。credentials(ログイン情報)を stuff(詰め込む)=漏れた組み合わせを、ほかのサイトのログイン画面に機械で大量に「詰め込んで」試す攻撃です。だから各社とも「同じ組み合わせを使っているほかのサービスも変えて」とお願いしているのです。

パスワードの使い回しのイメージ。並んだたくさんのドアに同じ鍵が刺さっていて、1本の合鍵で全部開いてしまう
1本の合鍵で全部のドアが開く。パスワードの使い回しはこれと同じです(イメージ)
  1. Don’t reuse the same password across multiple sites.
    複数のサイトで同じパスワードを使い回さないで。

  2. This kind of attack is called credential stuffing.
    この種の攻撃はクレデンシャル・スタッフィング(パスワードリスト攻撃)と呼ばれる。

  3. Never click links in suspicious emails or text messages.
    怪しいメールやSMSのリンクは絶対に押さないで。suspicious=「疑わしい」(suspect の形容詞)

英語のフィッシングメールのあやしさメーター
1注意
Dear Customer, 名前ではなく「お客様各位」。本物はあなたの名前で呼ぶことが多い
2注意
unusual activity(いつもと違う動き)を検出しました、とあおる
3危険
Verify your identity(本人確認を)とリンクを押させる
4危険
within 24 hours、immediately など、期限で急がせる
5アウト
Your account has been suspended.(停止しました)+パスワードやカード番号の入力
PART 7

英語ハック×セキュリティ:今日やる3つ

① 使い回しをやめるreuse をゼロに
🔑3社のどれかに登録していて、同じパスワードをほかでも使っているなら、ほかのサービスのほうを今日中に変える。パスワード管理アプリを使うと、サービスごとに別のパスワードを楽に作れます。
② 2段階認証をオンtwo-factor authentication
📱パスワードが漏れても、スマホに届く番号がないとログインできなくなります。英語の画面では Turn on two-factor authentication
③ 英単語4つの「パスフレーズ」で、守りながら単語も覚える

長いパスワードほど破られにくいので、関係のない英単語を4つ以上ランダムに並べた「パスフレーズ」はおすすめの作り方です(例の形:breach-otter-violin-meadow のように。これ自体はマネしないで)。覚えたい単語を混ぜれば、ログインするたびに単語の復習になります。ただし歌詞や有名なフレーズ、名前や誕生日は入れない。サービスごとに別のものにする。この2つは必ず守りましょう。

2段階認証の画面でよく出る英語も押さえておけば、海外のサービスでも迷いません。

Enter the six-digit verification code we sent to your phone.
あなたのスマホに送った6桁の確認コードを入力してください
 digit=数字1文字(桁)。Remember this device(この端末を記憶する)、Trust this browser もよく出ます。
PART 8

5問クイズで今日の英語をチェック

Q1ニュースで「情報漏洩」と言うときに一番よく使う英語は?
data breach が定番。breach は break と同じ語源で「守りを破る」です。
Q2“My account was compromised.” の意味は?
セキュリティの英語の compromised は「危険にさらされた・乗っ取られた」。
Q3credential stuffing とはどんな攻撃?
credentials(ログイン情報)を stuff(詰め込む)。使い回しが一番の弱点です。
Q4hash(ハッシュ化)の元の意味は?
フランス語の hacher(刻む)から。ハッシュドポテトと同じ単語です。
Q5次のうち、フィッシングメールでよく見る英語は?
期限であおってリンクを押させるのが典型。本物の会社は「メールでパスワードは聞きません」と書きます。
ボタンを押して答えてね
PART 9

よくある質問

「情報漏洩」は英語で何と言いますか?
ニュースでいちばんよく使われるのは data breach(データ・ブリーチ)です。「情報が漏れた」と動詞で言うなら be leaked、「さらされた可能性がある」なら may have been exposed。会社の発表では a security incident(セキュリティ上の事案)という言い方もよく出てきます。
data breach と data leak の違いは何ですか?
data breach は「守りを破られて情報を取られた」事件で、攻撃者がいるイメージです。data leak は「漏れた」という結果に注目する言葉で、設定ミスなどで外から見える状態になっていた場合にも使います。日常の会話ではほぼ同じように使われますが、ハッキング事件の見出しは data breach が定番です。
「不正アクセス」は英語で何と言いますか?
正式には unauthorized access(許可されていないアクセス)です。会話では「ハッキングされた」= got hacked、「アカウントが乗っ取られた」= my account was compromised とよく言います。
流出の対象かもしれないとき、まず何をすればいいですか?
①その会社の公式サイトの発表で対象範囲を確認する、②同じメールアドレスとパスワードの組み合わせを使っているほかのサービスのパスワードを変える、③2段階認証をオンにする、④会社を名乗る不審なメールやSMSのリンクを開かない、の4つです。ソースネクスト、NTTソルマーレ(コミックシーモア)、ヤマト運輸の発表も、ほぼ同じことを呼びかけています。
「ハッシュ化されたパスワード」なら安全ですか?
ハッシュ化とは、パスワードを元に戻せない文字列に変えて保存することで、そのままでは読めません。ただし短くて単純なパスワードは、よくあるパスワードを片っぱしから試す方法で当てられることがあります。「ハッシュ化されていたから大丈夫」と考えず、同じパスワードを使っているサービスは変更しておきましょう。

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出典

この記事は2026年10月17日朝の各社の発表をもとにまとめています。件数や対象範囲は今後の調査で変わることがあるので、最新の情報は各社の公式発表で確認してください。